読書 新潮2009年1月号に掲載された佐藤友哉の長編小説『デンデラ』を読む。ちなみに「デンデラ」というのは、ちょっとググってもらえばわかると思うけど、岩手県遠野市にあったという口減らしのために老人を捨てていた野っぱらのこと。柳田国男の研究で有名だそうな。 この物語は、斎藤カユという70歳の老女が姥捨て山である「お山」に棄てられたところから始まる。カユは気を失い、そして夢見ていた極楽浄土ではなく、藁の上にて目を覚ます。なんと「お山」の向こうには、姥捨てにあった老女たちが協力して暮らす「デンデラ」という村ができていたのだ。彼女は死ねなかった、──というところから物語は始まる。なんたるどきどきの導入。 この『楢山節考』のその後のようなはじまりを読んでぼくは佐藤友哉の想像力に脱帽した。二次創作的発想というよりは推理小説的発想だ。綾辻行人が『そして誰もいなくなった』をモチーフに『十角館の殺人』を書い