[読書] 永井均『なぜ意識は実在しないのか』(岩波、07年11月) (写真は、デカルト『人間論』の中の図版。「魂の場所」は難問中の難問。) 永井氏の新著が出た。「私と他者の非対称性」を一貫して追究してきた永井氏は、『私・今・そして神』『西田幾多郎』などの近著で、他の哲学者の学説を検討しながら、自説をさらに豊かに表現することを試みてきた。『私・今・そして神』では、独在的な<私>の「開闢」を「ライプニッツ原理」と呼び、その<私>を「われわれの中の一人である私」に客観化してしまう「カント原理」と対比するという仕方で議論がなされた。本書では、デイヴィッド・チャーマーズの大著『意識する心』を批判的に検討しながら、その対比がさらに洗練されて提示されている。面白い本なので、いくつかの論点の紹介とコメントをしてみたい。 「他者にも私と同様な意識はあるのか?」という問いは、永井氏によれば、奇妙な問いである。
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