汐留会場の濃密な展示空間を巡った方ならば、出口直前の壁面に印象的な映像が流されていたのを覚えておいでだろう。タイトルは「La ligne de vie」(制作監督:大槻一雅、製作:カッテンカビネット)。《竹籠座小椅子》(1947-49頃)、《中座椅子》(1957頃)、《はまぐり型テーブル》(1948頃)、《東京日仏学院》(1951)の階段室、《西田幾多郎博士記念歌碑》(1951)、そして《新宿駅西口広場》(1966)の斜路。それらを特徴づける「曲線」を次々にカメラでなぞるようにとらえた映像作品だ。坂倉準三という建築家は自ら鉛筆をもってスケッチをおこすことはほとんどなかった。かわりに所員たちの図面を徹底的に吟味し、議論し、朱筆を加え、修正を重ねさせることで設計を進めていたという。その厳しい眼は何にフォーカスを合わせていたのだろうか。所員たちの回想などからは、それがプランの整合性と、ファサード