サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
bigissue-online.jp
ビッグイシューでは、ホームレス問題や活動の理解を深めるため、学校や団体などで講義をさせていただくことがあります。 今回の訪問先は、兵庫県・灘中学校の3年生の授業。社会科の片田先生が「同じ社会に生きるものとして、社会に出た時の“共感”の基盤をつくり、民主的な市民、行動する市民を育てていきたい」とビッグイシューに声がけいただき実現。 「怖い」「くさい」「汚い」・・・忌憚のない「ホームレスの人」へのイメージ 出張授業の前にホームルームなどの時間を利用して取っていたアンケートによると、灘中の生徒の皆さんが持っていた「ホームレスの人」のイメージは大半がネガティブなものでした。 灰色の吹き出しはネガティブ、黄色系がポジティブな色分けにしたところ、圧倒的にネガティブなイメージ まずは、「ホームレス」として「怖い」「自堕落」といったイメージでひとくくりにしがちな思い込みに対して、これまでに数百人のホームレ
「反ホームレス施策」なるものが、世界各地でかれこれ何十年にもわたり ”当たり前” のものになっている。徘徊禁止法、座りこみ禁止条例などあからさまなものから、街の設備や公共スペースに埋め込まれているものまで、そのかたちはさまざまだ。 所有者や考案者が意図した人以外の利用を妨げる “やさしくない” 設計 ー「排除アート」と呼ばれることもあるー が、都市デザインの潮流としていろんなかたちで見られるようになっており、その矛先は他でもないホームレスの人々に向けられている。すでに社会の片隅に追いやられ、休憩や眠れる場所を探している彼らが、公共スペースを利用しづらくなっている米国の事情についてレポートする。 ** 有名書店の店先にスプリンクラー、事例に事欠かない米国の現状 米国の主要都市でも、その悪質な事例がはっきりと目に見える形で広がっている。 2013年、ニューヨークのグリニッチビレッジにある老舗書
日本では「ホームレスの人と対等にビジネスをする」「路上でモノを売る」ということになじみがないためか、販売者本人やビッグイシュー日本が様々な誤解や偏見、攻撃、嫌がらせに近い行為をうけることがしばしばあります。 【目次】 ・ビッグイシューは「貧困ビジネス/悪徳商法」という思い込み └ビッグイシューのしくみ └「貧困ビジネス/悪徳商法」? └「生活保護を受けさせないで路上に固定化している」? └「ホームレスの人々から搾取している」? └「ホームレスの人々にノルマを課し不当な苛酷労働させている」? └「ホームレスの人々の脱税を黙認している」? └「ビッグイシューの役員は私腹を肥やしている」? └「ホームレスの人々を雇用しないことが貧困ビジネスの証」? └「決算公告を出さないことこそが貧困ビジネスの疑惑の証」? └「赤字なんて帳簿しだいでどうにでもなる」? └「寄付や広告費は丸儲け」? ・「路上での
こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。日弁連が生活保護の申請についてのパンフレット「あなたも使える生活保護」をアップしているので、ご紹介いたします。 「実は少ししんどい」あなたへ あなたも使える生活保護(PDF) 生活保護にまつわるよくある誤解 パンフレット「あなたも使える生活保護」には、生活保護にまつわる「よくある誤解」についても言及されています。 まずは申請にまつわる誤解。生活保護は、働いている人でも、若者でも、持ち家・車があっても申請ができる制度です。パンフレットにもありますが、「給料が最低生活費以下であれば、足りない分が支給される」ということもあまり知られていません。 最低生活費についても、具体的な例が提示されています。こちらのサイトでは計算シートも公開されているので、さらに詳しく知りたい方はぜひダウンロードして確認してみてください。 しばしば話題になる「不正受給」につ
23歳のバフィーは人生でセックスの経験がない。今後セックスをしたいとも全く思っていない。彼女は人口の少数派である無性愛者に属しているのだ。人口の1%ほどである彼らへの人々の理解度は、決して満足できるものではない。 「ほとんどの人は無性愛が何なのか知らないわ。もしくは気にもしていないの。」とバフィーは言う。「親友の2人は私を嘲笑うし、学校の教室の前で私が無性愛者だと暴露する人もいるのよ。」 【Photo: REUTERS/Amir Cohen】 これは、多くの人々が愕然とする一言だろう。大抵の人間がこの世で最も素晴らしいと明言するものに、興味すらないなどありえるのだろうか? これは、バフィー(23歳)の言葉である。なお、バフィーという名前は本名ではない。彼女は新聞上や暮らしている場所で、自分の本名を見たくないのだと言う。彼女はとある大都市の大学生である、ということだけ伝えておこう。 そして、
こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。「『若者の住宅問題』―住宅政策提案書調査編―」の発表に合わせて行われた記者会見の内容を、書き起こし形式でお伝えします。 会見では「つくろい東京ファンド」などの活動に取り組む稲葉剛さんがお話くださいました。現代のホームレス問題、貧困問題の現状に深く切り込んだ内容となっておりますので、調査のPDFと合わせてどうぞご一読ください。 稲葉:私は認定NPO法人「自立サポートセンターもやい」で生活困窮者の相談支援活動を行っています。 「もやい」の事務所には年間700世帯から900世帯の方の相談を行っています。実際来られている方の約3割が20代、30代の方で、その傾向は2003年頃からあります。 親との同居が4分の3を占めているということについては、一時期「パラサイトシングル」という言葉が流行ったように、いわゆる自己責任的な見方をする人も出てくるでしょう
ビッグイシューでは、ホームレス問題や活動の理解を深めるため、学校や団体などで講義をさせていただくことがあります。 今回の訪問先は岡山県の男女共同参画推進センター(ウィズセンター)。 “社会的包摂”をテーマにした企画講座としてビッグイシュー日本のスタッフである長崎が40名の市民の方にお話させていただきました。 当日は岡山でビッグイシューの販売をしている丸本さんと、ビッグイシューの販売サポーターである「特定非営利活動法人岡山・ホームレス支援きずな」のスタッフも参加 日本のホームレス問題やビッグイシューの取り組みについて説明したのち、女性のホームレス、女性の貧困について解説しました。 ** ビッグイシューの販売者に女性が少ないのはなぜ? ビッグイシューの販売者は、現在全国に約120人いますが、そのうち女性の販売者は1名のみです。 「何で、女性の販売者はいないんですか?」と聞かれることが多いのです
社会に受け皿がない。単身女性3人に1人が貧困 女性ホームレスはめったに見かけないという人が多いかもしれない。 しかし、女性ホームレスは確実に存在する。 雨宮処凛さんが出会ったホームレス状態の女性たちとは? 夜間は「身を隠す」ことに必死 「単身女性の3人に1人が貧困」。昨年末に発表されたこの数字はこの国の人々に大きな衝撃を与え、「貧困女子」なる言葉も生み出した。 「だけど、ホームレスはみんな男性で、女性ホームレスなんて見たことがない」という人もいるかもしれない。が、数こそ少ないものの、「見えづらい」だけで女性ホームレスは確実に存在する。 女性の場合、路上生活はさまざまな危険にさらされることから、本人が必死に「気づかれない」ようにしていることも多い。年越し派遣村の翌年、09年末から10年明けにかけて開催された「公設派遣村」にも、女性の姿はちらほらとあった。中には、20代の女性もいた。 さまざま
老朽化する水道インフラに、国・自治体が直面する財政難―。その突破口として「日本の水道をすべて民営化しよう」と政府が動き始めている。しかし、水道を民営化した多くの国々では、水道の「再公営化」が湧き起こっている。海外の水道事情にくわしい佐久間智子さん(アジア太平洋資料センター理事)に話を聞いた。 z※ビッグイシュー日本版 242号(2014.7.1)より記事転載 〝儲かる民営化〟最後は社会に依存、コレラが蔓延した南アフリカ 今、ライフラインである水道が転換期を迎えている。 たとえば、水道管。法律で定められた耐用年数40年を過ぎた水道管は「ほぼ地球一周分(3万8千キロメートル)」もあり、これは今後さらに増えていく。その他にも、老朽化した浄水場やダムを更新・修繕していくために、今後50年間で57兆円のお金が必要になるという。「…でも、税金や水道料金だってちゃんと払っているんだから、行政がちゃんとや
世界的な音楽家であると同時に、数々の環境・平和活動にも取り組む坂本龍一さん。3・11市民のつどい「Peace on Earth(ピース・オン・アース)」に参加した坂本さんが語る、3・11後の日本の変化と社会活動、そして未来。続きを読む 2024年5月1日発売のビッグイシュー日本版478号の紹介です。 表紙は「坂本龍一」、特集は『「はやぶさ2」。リュウグウの石は語る』です。 続きを読む 2020年11月から、北海道の寿都町と神恵内村で行われてきた文献調査の報告原案がNUMO(原子力発電環境整備機構)より公開された。原案は経済産業省の放射性廃棄物小委員会技術ワーキンググループ(WG)で審議されている。同案は最終的に縦覧されるが、800ページという膨大なもので、とても読み切れるものではない、と批判が起きている。 続きを読む 紀元前399年、アテネではソクラテスを死刑に処することが公開裁判で確定し
この問いについて考えさせられるトラブルはしばしば日本でも話題になる。2019年10月、関東を大型台風が襲ったときに路上生活者が避難所への入所を断られた件、そして2020年6月の支援団体による炊き出しに都が都庁敷地内からの退去を要請した件などだ。 そんななか、これらのトラブルとまさに同じテーマを持つ映画、『パブリック 図書館の奇跡』が上映されることになった。映画の舞台はアメリカ・シンシナティ。大寒波の到来によって命の危機を感じたホームレスの人々が、図書館のワンフロアを占拠するというストーリーだ。 7/17(金)公開『パブリック 図書館の奇跡』/予告編 この公開を記念して2020年7月8日、『映画を通し考える、日本の公共性を持つ空間のあり方と未来』というイベントがオンラインで開催され、NPO法人ビッグイシュー基金のスタッフ、川上が登壇した。 公共とは、パブリックとは何なのか、そして今私たちにで
<住宅政策提案書発表シンポジウム「市民が考える住宅政策」大阪編 レポートpart.2を読む> 住宅政策提案書発表シンポジウム「市民が考える住宅政策」大阪編 レポートpart.3 司会:阪井さん、ありがとうございました。続きまして、第2部にいきたいと思います。第2部は、「これからの住宅政策のあり方」ということで住宅政策提案書をもとに検討委員から提案をさせていただきます。それではお手元の住宅政策提案書をもとに沿いながら提案を頂きたいと思います。それでは第一章「不安定居住の変遷と広がりについて」稲葉剛委員からお話をいただきます。 不安定居住の変遷と広がりについて 稲葉:時間があと8分ということでかなり早口になるかと思いますが、よろしくお願いいたします(笑)。 「不安定居住の変遷と広がりについて」ということで、ここにいらっしゃる方の中にもよくご存知の方もいらっしゃると思いますが、ちょっとこの間の流
よく目にする数字として、日本は先進国の中で貧困率が高く、「貧困率が15.6%」や「6人~7人に1人が貧困ラインを下回っている」というものがあります。「日本に貧困層がそんなにたくさんいるなんて実感がない」という人のために下記に解説いたします。 先進国35ヶ国中、貧困率が7番目に高い日本OECD加盟国の相対的貧困率のグラフを見ると、日本が先進国のなかでも「相対的貧困率」が高い国であることがわかります。 (イーズ 未来共創フォーラムより) 日本の子どもの相対的貧困率は上昇傾向にあったが、27年で減少厚生労働省の平成28年の資料を見ると、子どもの相対的貧困率は1990年代半ば頃からおおむね上昇傾向にあったのが、27年で減少に転じたことがわかります。なお、子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は15.6%であり、そのうち,ひとり親世帯の相対的貧困率は50.8%と、大人が2人以上いる世帯に比べて高い水準と
「ホームレス支援とアート」イベント、続いて、参加者も交えた質疑応答がなされました。 イベントレポート2を読む Q:図書館は「みんなのもの」だけど、ホームレスの人が利用すると一般の人は戸惑わないか? 参加者A: マットさんのプレゼンの中で、図書館の周りで野宿をしている人たちを迎え入れるというお話がありましたが、路上生活の人のためだけの施設ではないところに迎え入れたとき、職員の方は理解していても、一般の利用者は、そういう状況をどう受け止めるのでしょうか。あと、路上生活の方たちは、何を目的として施設に入るのか、もしご存知でしたら教えていただきたいです。 質疑応答タイム。左はマット・ピーコックさん、右はアオキ裕キさん。 マット・ピーコック: 図書館のような施設、組織というのは、門戸を開放したいと考えています。そして、人々は様々な反応をします。しかし、図書館に入る権利は、ホームレスの人も、ホームレス
ビッグイシュー・オンライン編集部より:女子高生サポートセンターColaboの仁藤さんの記事です。少年犯罪に対してどう向き合うべきか、重要な提言となっておりますのでぜひご一読ください。(仁藤夢乃さん公式ブログより、一部編集して転載) 川崎市中学生殺害事件。あなたは声をかけ、手を差し伸べる人となれるか 川崎市の中学一年生、上村くんの死を悲しんでいる人は多い。私もその一人です。 だけど、もし彼が今も不良グループの一員として深夜徘徊していたら、あなたは彼に声をかけただろうか。 近隣の方などの「異常さになんとなく気づいていた」というコメントも報道で数々取り上げられています。残念に思います。 街で出会う少年少女たちの抱える問題は、子どもたちだけではどうにもできないものばかりです。大人が勇気を出して一歩踏み出さない限り、変わりません。 そんななか、「川崎中学生殺害事件に極刑を!」という署名集めサイトのペ
こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。前々からちゃんとお話を伺いたかった、NPO法人Future Dream Achievement(以下、「FDA」)の成澤さん。ついに念願かなってじっくりお話を聞かせていただくことができました。楽しいインタビューとなったのでお楽しみください。 成澤さんプロフィール: 1985年佐賀県生まれ。網膜色素変性症という視覚を徐々に失う難病を抱えながらも、埼玉県立大学保健医療福祉学部を7年間かけて卒業。大学在学中に2年間の引きこもりと決定的な挫折を経験する。 就学の傍らインターン生としてベンチャー企業に勤務。世界一明るい視覚障がい者として、2009年に独立。障がい者雇用に関する、コンサルティングやイベント企画で全国を飛び回る。2011年12月1日よりNPO法人FDAの事務局長に就任。就労困難者に就労に至るまでのトレーニング環境を提供している。
<住宅政策提案書発表シンポジウム「市民が考える住宅政策」大阪編 レポートpart.3を読む> 住宅政策提案書発表シンポジウム「市民が考える住宅政策」大阪編 レポートpart.4 司会:稲葉さん、ありがとうございました。続きまして住宅政策提案委員会委員長の平山洋介先生より提案をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 平山:今、稲葉さんから不安定居住の話があったのですが、私の方からは不安定居住を生み出す母体としての住宅事情がどうなっているのか、という問題について駆け足でお話しします。 まず、このデータは、年齢別に持ち家率の変化を見たものです。日本の住宅政策は「みなさん家を買ってくださいね」と持家取得を促す方針を基本としています。この方針は、戦後一貫して続いています。ところが、現在では、若い人の持家率が大幅に下がっています。もうすでに、容易に家を買える時代ではなくなっている、というこ
ビッグイシューでは、ホームレス問題や活動の理解を深めるため、高校や大学などで講義をさせていただくことがあります。 今回は早稲田大学ボランティアセンター「ボランティア論2」の時間に、ビッグイシュー日本東京事務所長の長崎、そして販売者の上野さんがお邪魔しました。 ホームレス状態に至る経緯・・・怠けていたからなるわけではない ・仕事を失う (非正規雇用だと解雇されやすい/寮つきの仕事は解雇とともに住まいを失う) ・頼れる家族がいない (家族との縁が切れている/家族も経済的・精神的に不安定な状態/暴力的であるなどのケース) ・健康状態がよくない (発達の特性や、怪我や病気など) 学生の皆さんやその家族の多くが特に意識せず享受してきた基盤やつながりを、生まれつき・または人生の過程で享受できなってしまった状態にある人が存在しているということ、それらをだんだんと失ってホームレス状態となり、ビッグイシュー
昨今話題に上がることが多くなった「子どもの貧困」。 なぜそのような状況が起こるのでしょうか? 子どもは子どもだけで生きておらず、一生子どものままではいません。 子どもの貧困問題解決には、その先に繋がる「大人の貧困」について知り、一緒に考える必要があると考え、このようなイベントを開催しました。 路上生活をしている方の自立を応援し続けてきた”ビッグイシュー”と、2年間の教員経験を通じて「教室から社会を変える」の実現を目指す “Teach for Japan”の話を通じて、一緒に考えてみました。 【日時】 2017年3月22日(水) 19:00-22:00 【場所】 まなび創生ラボ 【主催】 有限会社ビッグイシュージャパン 認定NPO法人ビッグイシュー基金 認定NPO法人Teach For Japan 【協力】 まなび創生ラボ(株式会社クリックネット) まずは約30人の参加者がグループに分かれて
ホームレス状態になってしまった人に、そこから抜け出すために必要な情報を届ける『路上脱出ガイド』。ビッグイシュー基金が事務局となって発行しているこのガイドの中には、「食べものがないとき」、「体調がわるいとき」、「相談したいとき」にどうすればいいか、どこに行けばいいか、などの情報が載っています。東京・大阪はじめ、札幌や名古屋などでも各都市版が生まれており、東京・大阪版は初版の2010年以降、これまでに68,861冊を配布してきました。 この路上脱出ガイド、どのようにして必要な方に届けているのでしょうか? 一番多い配布方法は、掲載しているホームレス支援団体をはじめ、相談や夜回りの現場で当事者の方に手渡しするケース。また、「近所でよく見かけるホームレスの方に何かしてあげたい」という市民の方からガイドを手渡ししてもらうこともあります。その他、webページからダウンロードすることもできるため、「宿泊中
ジャーナリストのヨハン・ハリは言う。鬱病は脳内物質の機能不全が原因なのではなく、私たちの生き方に対する反応だというのが彼の主張だ。 彼は3年もの年月をかけて世界をめぐり、鬱病や不安障害の分野で目覚ましい発見や革新的治療法をもたらした科学者や医者に取材した。そのリサーチ結果と自身の鬱体験談をまとめたのが、最新著書『Lost Connections: Uncovering the Real Causes of Depression – and the Unexpected Solutions』(2018年1月出版、未邦訳)だ。 表紙 (Bloomsbury Publishingのご厚意により) 前著『Chasing the Scream: the First and Last Days of the War on Drugs』(未邦訳)が薬物依存やその治療についての捉え方を変えるきっかけとなっ
加速する気候危機に対し、世界で最も温室効果ガスを排出している組織「米軍」の存在はあまり知られていない。京都議定書の合意により、最も信頼される気候変動の報告書でも計算対象外とされ、米国も排出量を公開していない。米ルイス&クラーク大学のマーティン・ハートランズバーグ名誉教授(経済学)によるレポートをお届けする。 2007年、曲技飛行を行う米海軍の「ブルーエンジェルス」Photo: U.S. Navy photo 世界最大の石油消費組織、米軍 4人の研究者が推定値を算出 気候変動が起こっているのは誰の目にも明らかになってきた。天候パターンは劇的に変化し、台風や洪水、干ばつ、森林火災といった自然災害が頻発。多くの人の暮らしや命を脅かしている。化石燃料に依存した経済システムによって大気中に放出される温室効果ガス(二酸化炭素やメタンガスなど)は増え続ける一方で、政府や企業の行動を変えるべく何百万人もの
怒りは自然な人間感情。だが日本の社会で怒りは歓迎されない。怒らないことが社会の暗黙のルールになっている。 そんな日本社会で22年、怒ることを自らに課してきた哲学者、中島義道さんの怒る技術とは? 生きていくため、怒り始めた 中島義道さんは、駅や電車のスピーカー騒音、点字ブロック上の駐輪など、日常レベルで限りなく怒っている、怒りの実践者だ。かつ自分の怒りを冷静に分析し考察し、怒りに関連する著書を何冊も書いてきた哲学者でもある。 しかし、もともと中島さんは怒る人ではなかった。子供時代から青年時代までを振り返っても、真の意味で怒ったことがなかったという。だが、33歳でウィーンに留学したことが人生を変える。中島さんによると、当時のウィーンは能率が悪く、大学の事務局も市役所も事務員たちは勝手で高圧的。そんな状況に投げ込まれ、中島さんは生きていくため、彼らと対等にやりあうため、怒り始めたのだった(『ウィ
街角で雑誌販売をするビッグイシュー販売者は、人通りが見込める場所に立つことが多い。そのため、その場所は、選挙時には選挙活動にも使われることもよくある。 選挙期間になると、ビッグイシューを応援してくださる方の中には「選挙活動で人が集まりすぎて、販売者が販売しづらいのでは?」「候補者は販売者のことをいないものとしているのではないか?」とご心配をいただくことがあるため、実際のところを東京9名・大阪13名の販売者に聞いてみた。 Mihajlo Maricic/iStockphoto *この記事内の調査は、2021年に行われたものです。また、ビッグイシューの販売者の選挙中の状況を紹介するものであり、ビッグシューの販売が選挙活動に優先されるべきなどという主張ではありません。 「選挙活動で困った経験はあるか?」→22人中14人が「困ったことがある」 「選挙活動で困った経験はあるか?」の問いに対し、22人
ファストファッションは多くの人の犠牲の上に成り立っていることを、どのくらいの人が意識しているだろうか。近年、アパレル産業の生産拠点がアジアから東欧の旧共産圏に移す動きが起きていることを受け、セルビアのストリート誌『Liceulice』がその実態を取材した。アパレル業界の世界的労働組合「Clean Clothes Campaign(以下、CCC)」のセルビア支部、ボヤナ・タミンジヤとステファン・アレクシッチに話を聞いた。 *1989年にオランダで設立されたアパレル業界における世界的な非政府系労働組合。世界の250以上の団体と連携し、労働環境改善を働きかけている。 https://cleanclothes.org ー 近年、アパレル産業の生産拠点がアジアから東欧の旧共産圏に移す動きが強まっています。セルビアではどういった影響が見られますか? 大手スポーツ用品ブランドの生産が旧ユーゴスラビアで行
(2008年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第102号より) メンバーシップも、仕事も、社会も。「偶然」「趨勢」「慣行」がつくった若者の悲劇をこえる 若者と仕事を取り巻く問題が大きな社会問題となっているが、その状況はいまだ改善されず、若年労働市場でいったい何が起きているのかも明らかになっていない。 気鋭の教育社会学者である本田由紀さん(東京大学准教授)が語る、若年労働市場を襲った悲劇の全貌と、目指すべき社会構想。 現実と言説による二重の排除。悲劇は景気循環でも、若者のせいでもなかった 「これでは、あまりにひどすぎるじゃないか」 いま、そんな若者の切実な叫び声が、いたるところで上がっている。ある派遣社員は工場で命綱さえ持たせてもらえない状況に憤り、就職氷河期に社会に出た者は30代半ばを過ぎ、安定雇用どころか、不安定な仕事にすら就けない絶望を前に、窮状を訴える。 かつて、
日本全国に約3200館あるという公共図書館。あなたの地域の図書館はどのようなもので、あなたはどのくらいの頻度で利用しているだろうか。 日本の図書館関係者は、利用者のリクエストに徹底的に応えるという形で堅苦しい図書館のハードルを下げてきた。2月1日発売のビッグイシュー日本版・304号の特集では、全国の公共図書館の取り組みから驚きの事例を紹介している。304号から一部読みどころをピックアップ。 その予算が通る理由は、ヒット商品をも生み出すビジネス支援 鳥取県と言えば最も人口が少ないことで知られている。そのなかの図書館において、資料購入費が1億円と全国4位を維持しているという。 図書館を「無料貸本屋」と捉えたら、この予算はとてもではないが、少ない人口に不釣り合いな資料購入費と思えてしまう。 しかし、鳥取県立図書館は、「県民に役立ち地域に貢献する図書館」というミッションを明確にし、「地元企業のビジ
今、「ひとり暮らし世帯」が世界レベルで増えている。まだ十分に注目されているとは言い難いこの事象の今と考慮すべき影響について、国連経済社会局人口部の元ディレクターで人口統計学者のジョゼフ・チャミーが解説する。 単身世帯に暮らす人がますます増えている credit: Rebecca Murray/IPS 世界的に広がる単独世帯の増加 現在、世界に20億ある世帯のうち約15%にあたる3億世帯が「単独世帯 (one-person households) 」である。 これはあくまで世界平均で、実際の単独世帯数は国によってかなりバラつきがある。 単独世帯率が最も高いのはヨーロッパだ。デンマーク、フィンランド、ドイツ、ノルウェーで40%超、スウェーデン38%、オーストリアとスイスが37%、オランダ36%、フランス35%、イタリア33%と続く。ヨーロッパ以外では、日本が32%、アメリカとカナダが28%、韓
<前編「住宅政策の研究者・平山洋介さん「親の家にとどまる若者が非常に増えているんです」(1/2)」を読む> また、これまで日本が推し進めてきた住宅政策は、政官財の鉄のトライアングルが生んだ持ち家取得を促進する政策だった。最近、政府は前代未聞の大規模な住宅ローン減税を実施し、住宅関連贈与税の非課税枠も広げた。 「しかし、住宅取得支援のために政府が用意した09年の補正予算のうち、利用されたのは現時点でわずか4割です。オイルショック以降、景気対策として持ち家支援策が何度も打ち出され、それにより住宅着工量は増加してきたけれど、今回はついに反応しなくなった。家を購入できる人が減ってきているんです」 つまり、持ち家政策は破綻したわけである。 自由と多様性は社会的につくられる また、日本の公営住宅は絶対数が少なく、住宅困窮者に住まいを十分に供給できていない。しかも、公営住宅をめぐる議論は限られた戸数の中
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『BIG ISSUE ONLINE』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く