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都知事選
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今日の一冊。今日はトム・ロブ・スミス「チャイルド44」をご紹介。 本書は2008年イギリスで刊行され、その年の9月に日本でも新潮文庫から刊行された。1950年代のソ連を舞台に国家保安省(旧ソ連の国家秘密警察。KGBの前身)の敏腕捜査官「レオ」の苦悩と葛藤、そして犯人逮捕までを描く。今作はそんな「レオ三部作」の第一話目にあたる。 本書は2015年7月に日本でも映画公開された。その際のタイトルは「チャイルド44 森に消えた子供たち」である。 2000年以降話題の海外小説は多くあったが、本書も忘れてはならない一冊だろう。とにかく、面白い。「このミステリーがすごい!2009年度版」では1位、文春ミステリー2008では2位と日本での人気も伺うことができる。 本書を読む前に確認しておいた方が良いことがある。 まず一つ目は当時のソ連の思想だ。ソ連では「連続殺人は資本主義の弊害によるものであり、この種の犯
そんなわけで今日は吉田篤弘氏の「 それからはスープのことばかり考えて暮らした 」の最後に出てくる「名なしのスープの作り方」にのっとって実際にスープを作ってみた。 「名なしのスープの作り方」の先頭に来るものがこちら ・『期待をしないこと』 これは重要だ。美味いと思って食べてみたら不味かったとき。これはとてもショックが大きい。しかし不味いと思って食べてみたら美味かったとき。これはひょっとしたら価値観さえ変わることがありえる(食虫とか) そして次に私が重要だと思うものがこちら ・『冷蔵庫を覗き、たまたまそのときあったものを鍋に放り込む』 これによってグン!とバリエーションが広がる。そして組み合わせは無限大だ。スープを作る楽しみも広がる。 ・『何でもいいが、好物のじゃがいもは入れておきたい』 ジャガイモおいしいです!しかしジャガイモ不作みたいなので量の見極めが肝心だ。私はたまたま好物がジャガイモと
小説の世界では不思議な事件や猟奇的事件が多々起こる。それは読者が刺激を求めているからに他ならない。特にミステリーや警察小説でその特徴が顕著となっている。 しかしながら現実世界でもなかなか不思議・猟奇的事件が起こっている。それらの事件が後に小説の題材になることもある。そんなわけで明治から昭和にかけての日本で起きた事件を紹介してみようと思う。尚載せるにあたり、人物はすべてイニシャルとさせてもらった。 「愛知県・新川町 生肝取り殺人事件」 1948年のことだ。新川町を流れる新川で女性の全裸死体が見つかった。死体は折り曲げられるように縛らていたが腰や膝関節、足の甲などは刃物でひかれ背からは内臓が飛び出していた。犯人であるHは逮捕後、生肝を食おうとしての犯行だったと自供。 Hは生来頭脳明晰・尋常小学校も優秀な成績で卒業した。しかし卒業後、紫斑病におかされてしまう。研究患者として入院、二年で全快するに
今日の一冊。今日は江宮隆之「太原雪斎と今川義元」をご紹介。 ゲームの影響もあるだろうが、相変わらず戦国時代の人気はいまだに高い。若い人でも好きな戦国武将が一人や二人いるはずだ。 昨年の大河ドラマの主人公「真田信繁」や独眼竜の異名を持つ「伊達政宗」、軍神と恐れられた「上杉謙信」など確かに魅力的な人物が多くおり、逸話も多く伝わっている。 私も「最上義光」や「毛利隆元」などすきな武将はいるのだが、その中でも特に好きな人物が「今川義元」だ。 戦国時代はやはり三英傑を中心にして見ることが多い。そのため桶狭間で討死し、子の氏真も所領を回復できなかったことから今川家そのものが軽んじられる風潮がある。貴族趣味にかぶれていた、デブで馬に乗れない、調子にのって輿に乗るなど様々な俗説が生まれ評価を低くしてしまっている。某アクションゲーム白塗りで刀と蹴鞠を武器に闘う武将となってしまっている(これはこれでネタキャラ
今日の一冊。今日は平山夢明「独白するユニバーサル横メルカトル」をご紹介。 これは先日紹介した綾辻氏「殺人鬼――覚醒篇」とは違った方向にぶっ飛んだ本である。 作者の平山夢明氏は実話怪談や、超怖い話シリーズ、東京伝説シリーズなど多くのホラーものを手掛ける傍ら短編集も多く書いている人物だ。2010年には「ダイナー」で吉川英治文学新人賞最終候補。第28回日本冒険小説協会大賞、第13回大藪春彦賞を受賞した作家だ。 そして2006年、今日紹介する問題の本が産み落とされた。 ――どこが問題なのだろうか? 光文社刊「異形コレクションシリーズ/魔地図」に寄稿した「独白するユニバーサル横メルカトル」で、2006年の日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞。確かにこれは納得だ。本書の中でも一番まとも(?)なので、一般人が見てもドン引きすることはない。しかしどこで手違いが起こったのか、同じタイトルの短編集(つまり今日紹
今日の一冊。今日は太田紫織「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」をご紹介。 刊行巻数は現在11巻、漫画化・アニメ化そして昨日からドラマも始まった注目作だ。作者の太田氏はE★エブリスタ 電子書籍大賞ミステリー部門優秀賞や、E★エブリスタ×「カルテット」小説コンテスト大賞などを受賞した若手の注目作家。そんな作者の代表作第一作目を今日は見ていきたい。 まずこのタイトルを聞いて思い出すのは梶井基次郎の「櫻の木の下には」だ。そして「桜の木の下には屍体が埋まっている!」という強烈な冒頭は読者の心を惹きつける。 そしてもう一つ、「桜染」という染色技法がある。これは桜の花が咲く前の木の枝を使うのだが、重要なのは「咲く前」ということだ。花が咲いた後、咲き終わった後では茶色にしかならないらしいのだ。要するに枝や幹に桜の花を桜色に染めるなんらかの成分があるということだろう。そしてこの話を元に「桜の木は死体の血
今日の一冊。今日は綾辻行人「殺人鬼――覚醒篇」をご紹介。 綾辻氏と言えば、島田潔が活躍する「館シリーズ」や映画化・アニメ化もされた「Another」ホラーものの「深泥丘シリーズ」をはじめ多くのヒット作を持つ「新本格」ミステリー作家の代表的人物である。 そんな綾辻氏の異色作が「殺人鬼――覚醒篇」そして続編の「殺人鬼――逆襲篇」だ。 この殺人鬼は1990年に双葉社から刊行された。その後双葉ノベルス→新潮文庫と版元を変え、最終的に改定決定版として2011年角川文庫から刊行、その際にタイトルも「殺人鬼」から「殺人鬼――覚醒篇」に改めている。 内容は至ってシンプルだ。 「殺人鬼」が現れ、登場人物たちを次々と殺害していく。はたして生き残ることができるか!? となるのだがこれだけ見るとどこが異色なのか、三文ホラーのような内容で本当に面白いのか、と思われるに違いない。 だが、この小説が異色たる所以はそのス
今日の一冊。今日は高木彬光「刺青殺人事件」をご紹介。 「江戸川乱歩」→あのエログロさがたまらなく好きなんだ!明智小五郎も有名だよね! 「横溝正史」→やっぱり金田一耕助!犬神家!獄門島!杉本一文最高だよね! 「高木彬光」→うーん。ちょっとわからないかな(^_^;) ――とある友人との会話より 以前の記事でも書いたが、「日本三大名探偵」は決まって最後の一人が出てこない。 そう「神津恭介」である。決して華がないわけではない(むしろ万能超人)のだ。横溝・乱歩は確かに巨人ではあるが、高木が肩を並べることは不自然だろうか? いや、決してそうではない。しかし高木自身や小説が不遇な扱いを受けている気がするのはなぜだろう。 本書は高木彬光のデビュー作だ。47年乱歩の激賞を受けると、翌48年に岩谷書店から刊行。そして49年には安吾の「不連続殺人事件」と探偵
今日の一冊。今日は坂口安吾「不連続殺人事件」をご紹介。 坂口安吾といえば「白痴」や「堕落論」「桜の森の満開の下」のイメージが先行してしまっているが、実は純文学だけでなく歴史小説や推理小説、随筆なども執筆した多彩な作家である。そんな坂口安吾についてまず見てみたい。 坂口安吾は太宰治・織田作之助・石川淳らとともに無頼派(新戯作派)と呼ばれた純文学畑の人物だ。「純文学」と聞くと性・暴力・暗いというイメージがあるかもしれないが、その人が書く本すべてがそうであるわけでは当然ない。その人となりが文章に滲み出ているものが多いとしても(当然そうでなくてはならないのだが)笑えるものは笑えるのだ。純文学が苦手で近づきがたいという人は、たとえばその人が書いた随筆から入ると面白いかもしれない。(太宰の『畜犬談』とか) 安吾はどうか。 先にも書いたように、安吾は多作で多彩な人だ。それぞれの好みのジャンルで入るのが良
今日の一冊。今日は豊島泰国「日本呪術全書」をご紹介。 本書は1998年の出版以来、徐々に増刷し現在でも廃版することなく増刷され続けている好書である。ハードカバーで460Pの大ボリュームとなっており、なかなか読みごたえがある。 帯には作家・高橋克彦氏の「片時も手放せないテキストだ」という推薦文がおどろおどろしい文字で書かれており、そこもチェックポイントとなっている。 一言に「呪い」といっても様々だ。たとえば「おまじない」というたぐいのものがある。「夜に爪を切るな」「朝蜘蛛・夜蜘蛛の話」「霊柩車を見たら親指を隠す」など親や祖父母から聞いた、あるいは注意されたことがないだろうか。また「後ろを振り返ってはいけない」という禁忌もおまじないに属するだろうか。 しかし本書で語られているものは「おまじない」ではない。ガチものである。 私自身呪いなどをすべて信じているわけではないが、京都にある数々の縁切り寺
今日の一冊。今日は湊かなえ「リバース」をご紹介。 作者の湊氏を知らない、という人はほとんどいないだろう。今や「イヤミスの女王」とまで呼ばれる湊氏。「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞すると「告白」が2009年本屋大賞を受賞。翌年には松たか子主演で映画化、書籍も300万部を超える大ヒットとなり「湊かなえ=イヤミス」という図式とともに、イヤミス(読んだあと嫌な気分・気持ちになる本)というジャンルを世に広めた人物である。 メディア化されたのは告白だけではない。 映画は告白(2010年)に始まり、北のカナリアたち(2012年)白雪姫殺人事件(2014年)少女(2016年)など四作品 ドラマ化は境遇(2011年)贖罪(2012年)高校入試(2012年)花の鎖(2013年)夜行観覧車(2013年)Nのために(2014年)望郷(2016年)山女日記(2016年) など2010年以降ほぼ毎年ドラマ化、
今日の一冊。今日は横溝正史「仮面舞踏会」をご紹介。 この仮面舞踏会は1962年雑誌宝石で連載が始まるが63年、横溝の体調不良のため中断。その後1974年に完成した横溝後期の傑作である。ただこの執筆が長期に渡っているのは横溝の体調不良のためだけではなく、1960年代から始まる松本清長等の「社会派ミステリー」台頭によるものも大きいだろう。そして70年代になり江戸川乱歩、夢野久作らが異端の文学としてブームを呼んだこと、少し遅れてのオカルト・ブームもあり横溝の人気も復活。さらに角川の映画参入事業の目玉に金田一シリーズが上がったこともあり、74年人気に押される形で執筆が完了したと見ることができるだろう。「社会派」に押し切られていたら「仮面舞踏会」や「病院坂」「悪霊島」「迷路荘の惨劇」は無かった可能性もあることを考えると、角川春樹氏や石坂浩二氏には感謝してもしきれない。大変ありがたいことである。 この
今日の一冊。今日は麻耶雄嵩氏の「貴族探偵」をご紹介。 春ドラマ一覧 でも軽く触れたが今日は詳しく中身を見てみようと思う。 この「貴族探偵」は2010年に単行本で刊行され、2013年に文庫化された。この本は短編集なのだが、それぞれ収められている話には期間があいている。 「ウィーンの森の物語」は小説すばる2001年2月号 「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は小説すばる2001年9月号 「こうもり」は小説すばる2007年4月号 「加速度円舞曲」小説すばる2008年4月号 「春の声」は小説すばる2009年9月号 と、トリッチ・トラッチ・ポルカとこうもりの間は6年期間があいている。よく前の二作はつまらないが、こうもりからは面白かった、という評を見るが、私はそれに賛同できない。 というのもこれが一冊の本として出された場合、それぞれの短編が持つ意味あいが違うであろうからだ。 まずウィーンの森で初めましてと貴
普段本を読んでいると思わず壁に投げつけたくなる本、通称「地雷」俗称「壁本」に出会ってしまうことはないだろうか? ・トリックに納得がいかない! ・そもそもトリックが成立していない! ・文章が滅茶苦茶! ・お前の薀蓄を聞きたいんじゃねぇ! などなど様々な理由で毎夜毎夜ミステリーの鬼たちは壁に本を投げつけるのだが(※実際はそんなことほとんどしていません!本は大事に!)、そこまで詳しくなくても読んでいて、「なんだかつまらないなぁ」とか「これぐらいなら私にも想像できる!」と思った方は結構いるのではないだろうか? しかし、「私にも書ける!」と思いいざ原稿用紙やパソコンの前に向かっても全然筆が進まない、アイデアも浮かばない、やっぱり私には才能がないのか……と諦めてしまっている人はいないだろうか? またWEB媒体に自身のオリジナル小説を投稿したが誰にも見向きされない、コメントもつかないので書くことを辞めて
今日の一冊。今日は佐々木喜善「聴耳草紙」をご紹介。 作者の説明をする前に「民俗学」について軽く触れておこうと思う。 民俗学とはその国、その土地の風俗、習慣や伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから人から人の間に伝えられてきた有形・無形の資料を元に、その歴史的変遷を明らかにして現在の文化と比較し説明しようとする学問だ。 やがて「柳田國男」をはじめ「折口信夫」「南方熊楠」などの巨人が出現し、学問として成立してゆくことになるこの民俗学。そしてこうした偉人たちの周りにもまた、傑出した人物が集うことになる。柳田が避けた「性」や「被差別民」に関する研究で注目された「宮本常一」、そしてみなさんも一度は聞いたことがあるだろう「遠野物語」の成立にかかわったのが、「聴耳草紙」の作者でもある「佐々木喜善」である。 佐々木は幼少の頃から怪談話を聞いて育ったこともあり、怪奇譚に興味を持っていた。そんな佐々木は妖
今日の一冊。今日は道尾秀介氏の「貘の檻」をご紹介。 道尾氏と言えば2005年に発刊され賛否両論で話題となった「向日葵の咲かない夏」や月9ドラマ原作「月の恋人」、2012年映画化された「カラスの親指」が有名だろう。 ミステリーランキングにもほぼ毎年名を連ね、2011年には「月と蟹」で直木賞を獲得した作家でもある。 さてそんな道尾氏であるが、「背の眼」で2004年第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビューに至る。この頃の作品は今のスタイルとは全く違う。なので最近の諸作品しか読んでいないファンが読んだら本当に同じ人物が書いたのかと疑いたくなってしまうだろう。 そこまで何が違うかと言うと、デビュー作からしばらくの間はしっかり「ミステリー」をやっているのである。 いやいや、ミステリー作家なんだから当たり前でしょう?と思われるかもしれないがそうではない。ミステリーにも種類が多く存在している。初期
今日の一冊。今日は夢野久作「ドグラ・マグラ」をご紹介。 小栗虫太郎「黒死館殺人事件」と中井英夫「虚無への供物」と合わせて三大奇書よ呼ばれるこのドグラ・マグラ。読むと精神に異常をきたす、とさえ言われる本書であるが果たしてどうだろうか―― 作者の夢野久作はある時は禅僧、ある時は郵便局長。そして書く小説は探偵・ホラー・SFさらには幻想文学などなど、なんでも出来てしまう南方熊楠ばりのマルチな才能の持主である。代表作は間違いなくこの「ドグラ・マグラ」であるだろう。しかしこれが代表作であるがために、挫折し、夢野久作の他の諸作に手を出していない方も多いのではなかろうか。 そんな方々は安心してほしい。読みにくさは本書が断トツなだけで他のものはかなり面白い。例えば角川から出ている「瓶詰の地獄」や「押絵の奇蹟」の短編集や、未完の大作「犬神博士」を読めばまったく違うイメージを持つだろう。 構想、執筆十年―― そ
今日の一冊。今日は三津田信三氏の「首無しの如き祟るもの」をご紹介。 以前紹介した「 のぞきめ 」はホラーだったが、今回は講談社から発刊されているミステリーだ。私はこの「刀城言耶シリーズ」が今一番好きなのだが、おそらくこの「首無し」がシリーズ最高傑作だろうと思われる。シリーズの新作はしばらく出ていないのだが、今年五作出るそうなのでひょっとしたらと期待している。 ちなみにこの刀城言耶シリーズなのだが、文庫版で読む場合、数字順(み・58・3の3の部分)で読み始めると時系列が合わなくなってしまう。ので、買う際・読む際は帯もしくは裏の一覧順に読んでほしい。 おそらく「厭魅」→「凶鳥」→「首無し」→「山魔」→「水魑」→「幽女」となり、そこに短編「密室」「生霊」が加わるはずだ。 もちろん、順番に読まなくてもそれぞれ面白い。それに京極堂とまではいかないが、一冊600Pぐらいあるのがほとんどなのでしばらく楽
今日の一冊。今日は麻耶雄嵩氏の「鴉」をご紹介。 麻耶雄嵩氏といえば、2011年に「隻眼の少女」で第64回日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。さらに2015年「さよなら神様」で第15回本格ミステリ大賞受賞を受賞した作家だ。この「さよなら神様」はこのミステリーがすごい!や文春ミステリにもランクインしており、聞いたことがある方も多いかと思われる。 氏の特徴といえば、やはり独特の世界観だろう。ただ独特の世界観が良い!と一概に言えるかと言われると、個人的には言葉を濁すことも多い。いかんせん、強烈すぎるのだ。 さて麻耶雄嵩氏は多数のシリーズものを書いている。 「メルカトル鮎&木更津悠也シリーズ」 「メルカトル鮎シリーズ」 「木更津悠也シリーズ」 「神様シリーズ」 「貴族探偵シリーズ」(これが今回ドラマ化) などなど多くのシリーズがあるのだが、そのどれもがミステリーとして一筋縄では
もうすぐ春ドラマの季節だ。最近ではドラマの視聴率の低下が騒がれているが、原作がある場合それを超えるか、近い出来でないとファンからは見放されるのは当然だろう。特にキャストに違和感があると、いくら原作が面白くても視聴率が取れないのが現状だ。 しかしながら、ドラマで知って本を読むようになった、という人もいるはず。そんな人のために春ドラマで個人的に気になる原作本をリストアップしてみた。放送時刻と曜日も合わせてご紹介。個別記事も読了後に作成予定。 〈フジテレビ・月曜9時〉 貴族探偵 (集英社文庫) 麻耶 雄嵩 集英社 2013-10-18 売り上げランキング : 2784 Amazon Kindle 楽天ブックス 7net by ヨメレバ フジテレビの月9枠には「メルカトル鮎」でおなじみ麻耶雄嵩氏の「貴族探偵」シリーズが登場だ。 近頃月9は昔ほど影響力はなくなったと言われていたり、廃止になる、とも言
今日の一冊。今日は三津田信三氏の「のぞきめ」をご紹介。 振り返っても誰もいない。それなのに視線を感じることはないだろうか? 例えば自分の部屋だ。 自分ひとりしかいないはずなのに、誰かの視線を感じる。そう、ちょうど背後から。 例えば、そう。本棚と本棚の間の隙間。布団をしまう押入れ。少し開いた襖。テレビ台の下やベッドの下、カーテンの裏。部屋の死角、天井の隅や、誰もいないはずの窓の外。 こんなところから視線を感じたことはないだろうか? そんなこちらを「覗くモノ」とか「隙魔」を立体的に表現したのが本書、「のぞきめ」である。 作者はもはや年末ミステリーランキングの常連となった感がある三津田信三氏。三津田氏といえば「刀城言耶シリーズ」や「死相学探偵シリーズ」を真っ先に思い浮かべる人も多いだろうが、ノンシリーズものも最高に面白く、そして怖い。 さてそんな「のぞきめ」であるが、2012年に単行本で刊行され
今日の一冊。今日は前川裕氏の作家デビュー作「クリーピー」をご紹介。 作家デビュー作ではあるが、前川氏は法政大学国際文化学部の教授でもあるので、本にかんしてはこれが初めての出版というわけではない。あくまでも「作家」デビュー作である。 前川氏は第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を同作で受賞、そして翌年「クリーピー」として出版という流れになる。 さてこのタイトルでもある「クリーピー」だが、これは「ぞっと身の毛がよだつような・気味の悪い」という意味である。ホラーとは違った怖さがこの小説にはある。 肝心の中身はどうなのか?と言うと、やはり文章を書きなれている(であろう)だけあって非常に読みやすい。主人公は前川氏自身を投影したであろう大学教授の高倉だ。 氏自身も教授という立場上、学生と接する機会が多いのだろう。学生の服装や、話し方、ゼミの後の飲みの話など小説にリアルさをプラスするいい材料となっている
今日の一冊。今日は2007年に発行された森見氏の「新釈 走れメロス他四篇」をご紹介。 日本文学のパロディからなる作品で、五つの短編からなっている。短編と短編にはストーリー上の繋がりはないので、空き時間など短い時間に読むことができる。 さらにこの新釈・走れメロスだが、「青春音楽活劇『詭弁・走れメロス』」と題し去年の4月から5月にシアターサンモールと京都劇場にて舞台が公開された。 他の森見氏の作品群の中に埋もれがちで、目立たない存在であるがしっかり森見風のアレンジが利いていて面白いものとなっている。 このパロディ企画に関しては森見氏も躊躇があったようだ。いい経験になったと語ってはいるが、パロディ元が元なだけにぶち壊すようなことをしたら炎上必至であったろう。 ちなみに最初は祥伝社からの出版であったが、今では角川からの発行となっている。それにともなって表紙も皆さんおなじみ、中村祐介氏デザインに変更
一日一冊 おススメの本を紹介していくブログです。ジャンル拘らず面白い本からつまらない本まで幅広く紹介。
今日の一冊。今日は森見登美彦氏の「有頂天家族 二代目の帰朝」をご紹介。 今日から文庫本も発売になり、9日からはアニメも始まる「有頂天家族2」。もちろんこれは「 有頂天家族 」の続編である。放送に合わせて読めば楽しみも広がるに違いない。 さてこの第二部。第一部では登場人物の紹介~家族の絆がメインで描かれていた。 しかし「有頂天家族2」ではそれぞれ一歩踏み込んで、それぞれの今後や恋路など、個々の狸や天狗、人間たちにスポットがあてられている。 まずタイトルにもある「二代目」 これは第一部でも触れられていたが、赤玉先生の息子である。ひょんなことから日本に帰ってきた二代目と、赤玉先生の間でまたいざこざが発生。それに狸たちも巻き込まれていくことになる。本人も言っている通り、その格好は天狗からほど遠い。 そして「下鴨一家」 下鴨一家は、父への思いの整理の付け方がメインになっているのではないだろうか。これ
今日の一冊。今日は森見登美彦「有頂天家族」をご紹介。 2013年にはキャラ原案久米田先生でアニメ化もされた「有頂天家族」。今年は続編のアニメも放送予定とのことで目が離せない。 カバーを見るとお分かりいただけるだろうが、とにかく毛深い狸たちが大活躍する森見氏の諸作の中でも人気のシリーズだ。 全3巻構想というこの「有頂天家族」シリーズ。そのうちの第一作目を今日は見てみたい。 狸が活躍、と聞いてまず思い浮かべるのはやはり「平成狸合戦ぽんぽこ」だろう。「ぽんぽこ」が人間と狸の対立、環境破壊への警告などを含むシリアスなストーリーであるのに対し、「有頂天家族」はどちらかと言えばコメディ、そして家族愛という側面が強いだろう。 ちなみに「二代目の帰朝」の方には「金長狸」も登場している。3巻目には団三郎や芝右衛門、屋島太三郎などが出てきてくれたら個人的にはテンションがあがるのだがどうだろう。 さてこの「有頂
今日の一冊。今日は森見登美彦氏のデビュー作、「太陽の塔」をご紹介。 この本で「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞し、作家デビューした森見氏。2013年に休止となったこの賞だが、今年満を持して復活。森見氏は恩田陸氏・萩尾望都氏と共に選考委員をつとめている。 さてこの「太陽の塔」、デビュー作ながら森見節が満載だ。森見氏はこれを応募するまではいたって普通の小説を書いていたらしい。しかしダメ元で、自分が大学時代サークルノートに書いていたような小説を送ったそうな。それが「太陽の塔」だったわけである。何が役に立つかわからない、それが小説を書く上での面白いことだろう。 主人公はもちろん、京大大学生の「私」だ。しかも「休学中の五回生」ときた(これから桃色のキャンパスライフを夢見る新大学生は多いと思うが五回生は意外と多い。そうなるとボスとか長とか呼ばれるようになったりする。私は8回生の法学部生を見たことがあ
今日の一冊。今日は森見登美彦氏対談集「ぐるぐる問答」をご紹介。 「夜は短し歩けよ乙女」が公開まであと五日となった。そこでまだ紹介していない森見氏の本を連続で紹介していきたいと思う。 そんなわけで今日はこの一冊をチョイス。 カバーには狸の信楽焼やペンギン、天狗や招き猫など森見氏の作品に縁のある生物が四畳半に集まり森見氏と対談している様子が描かれている。なんともほんわかした表紙である。 さてこの対談集だが、14人との対談が収録されている。簡単にそれぞれの方を見ていきたい。 ①劇団ひとり(芸人・作家) 森見氏の始めたの対談の相手である。そのとき本物の芸能人だ!と森見氏は興奮したとか。対談内容は笑いや妄想など。 私は劇団ひとり、といえばはるき。これがまっさきに頭に浮かぶが皆さんはどうだろう。 ②万城目学氏(作家) プライベートでもよく遊ぶらしいふたりの対談。二人はどこか似ている気がするのは気のせい
雨で順延となり今日がついに決勝の日となった。史上初の大阪同士の対決を制すのはどちらか―― 〈試合結果〉 大阪桐蔭 8-3 履正社 大阪桐蔭先発は徳山、履正社は竹田が先発だ。 1回、履正社先発・竹田は先頭バッター藤原にこれまでの不振を振り払うかのような先頭打者HRを浴びてしまう。しかし四球を一つ出すものの、1回はこのHRによる失点だけで切り抜ける。 対する徳山は、最高の立ち上がりだ。徳山は武器であるスライダーが冴え、安田を含む三人を三者連続三振に切ってとる。そんな好調・徳山を履正社は捉えられない。5回まで無安打5三振と抑えられてしまう。 続く2回、履正社・竹田は味方の好守にも支えられ2アウトとする。しかし大阪桐蔭7番・坂之下にストライクを取りに行った球を狙われる。これが風にものり、レフトスタンドへ。2-0。履正社は追いかける展開となる。 6回。2回以降立ち直り、桐蔭打線を抑えていた竹田。この
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