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米国経済には現在、「K字型」の力学が働いている。つまり、富裕層が資産価値の上昇によって恩恵を得ている一方で、中・低所得層はコストと経済的負担の増加に直面している。 「K」という文字の上側のラインは、現在の経済環境で大きな利益を上げている少数の人々を、下側のラインは家計の急速な悪化を感じている他のすべての人々を表している。 株式、不動産、その他投資資産を保有する富裕層は、純資産と自己資本が増加し続け、インフレの影響からしっかり守られている。これに対し、低・中所得層は食料品、ガソリン、家賃といった生活必需品のコスト上昇に家計が圧迫され、しかも賃金の上昇がインフレに追いついていない。 投資資金がない このところ株式市場は史上最高値の更新を続け、裕福な投資家にとっては力強い成長を示している。しかし、多くの中・低賃金労働者の賃金の伸びは物価上昇率を下回っており、購買力の低下を招いている。 若いうちか
メタのAI部門のトップを務めるヤン・ルカンは、5月22日に公開されたフィナンシャル・タイムズ(FT)によるインタビューの中で、OpenAIのChatGPTやグーグルのGemini(ジェミニ)などのAIは、将来的に「人間レベルの知能には到達できない」と語った。 彼のこの発言は、4月末の決算発表でAI投資の拡大を宣言して投資家の不安を煽り、2000億ドル(約31兆円)もの時価総額を消失させたメタの今後の計画についての洞察を与えるものだ。 ChatGPTやジェミニ、メタのLlama(ラマ)のような人気の生成AIツールの基盤となる大規模言語モデル(LLM)は、「人間のレベルのプランニングや推論に到達することはできない」とルカンはFTに語った。 このようなAIモデルは、膨大な量のデータを使って訓練されるが、正確な答えを導く能力は、「訓練されたデータの性質によって制限される」とルカンは言う。これは、こ
接客やプレセンテーションなどのトークを定量的に評価するAIトーク検定を提供するソフトウェア開発企業コグニティは、同社のサービスを利用した企業の協力で、435本のトークを収集し解析を行った。これには新人研修のロールプレイングや実際の商談も含まれる。それによると、Z世代の営業トークでは、「えーと」とか「あのー」といったつなぎの言葉「フィラー」が他の世代の半分以下と極端に少ないなどの特性が明らかになった。それが、Z世代特有のコミュニケーションの課題を象徴している。 一般的に、トークに不慣れな人ほどフィラーが多くなる傾向にあるため、新人社員のZ世代でフィラーが少ないのは特異的だ。上司との会話では発言量が少なく(48.9パーセント)、話す速度が遅いという特徴もあり、言葉を慎重に選んでいるためだと思われる。しかし半面、自分の意思を十分に伝えられない。 言葉数が少なく質問への回答も他の世代よりも短いため
なぜ今、人生を長期思考でとらえることが重要なのか。 経営思想家ランキング「Thinkers50 」にも選出されたドリー・クラークが、その効用と実践法を解説する。 人生というロングゲームにおいて、進歩や成長は、努力という長いトンネルの向こう側にある──。 部屋の窓から降り注ぐフロリダの日の光を背にこう語るのは、ニューヨークとマイアミに拠点を置く米マーケティングコンサルタント・ストラテジスト、ドリー・クラークだ。ベストセラー『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、伊藤守・監修、桜田直美・訳)の著者でもある。世界的経営思想家ランキング「Thinkers50」にも複数回選ばれた。 世の中が短期思考であふれるなか、クラークが長期思考の大切さを語る。 ──なぜ「長期思考」が重要なのですか。 ドリー・クラーク(以下、クラーク):短期思考は「
カナダで大麻の小売販売が合法化されて以降、大麻中毒で病院の救急外来を受診した高齢者の数が3倍に増加した。医学誌「米医師会紀要(JAMA)」に20日掲載された論文から明らかになった。 カナダ中東部オンタリオ州の65歳以上の高齢者を対象に、2300件以上の大麻中毒による救急外来を分析したところ、同国で乾燥大麻や食用大麻の販売が合法化されて以降、それ以前に比べて受診者数が大幅に増加したことが示された。大麻中毒による救急外来の受診者数は、カナダが2018年に乾燥大麻の販売を合法化してから14カ月間で2倍に増加。2020年に食用大麻の販売が合法化されてから2年間で3倍に膨らんだ。 研究者は、高齢者は他の薬を服用している場合が多いため、薬物が相互作用を及ぼす可能性が高く、大麻中毒になる危険性も高くなると説明。大麻製品の入手のしやすさや誤飲が救急外来の増加につながっているのではないかと指摘している。 今
休暇中に旅行先から写真や動画をソーシャルメディアに投稿し、風景やホテルの部屋、その土地ならではの料理などを紹介したり自慢したりする旅行者は多い。しかし、旅行していることを少なくともリアルタイムでは内緒にする人が増えている可能性がある。 こうした人々は、休暇を取ったことに遠慮しているわけではないし、留守中に泥棒に入られることを心配しているわけでもない。ただ、職場に休暇申請をしていないため、自宅を不在にしている事実を上司に知られたくないのだ。「hush trip(ハッシュトリップ、秘密の旅行)」や「hush-cation(ハッシュケーション、秘密のバケーションの意)」と呼ばれる旅行形態である。 根底にある考え方はこうだ。どこにいても仕事ができるのなら、休暇先から出勤簿にログインし、現実のビーチを背景にオンライン会議に出席したってかまわないのではないだろうか? 旅行中であることを隠しておきたけれ
中国遠洋海運集団(コスコシッピング)が建造した世界最大の電動コンテナ船が4月22日、初航海を完了した。この船1隻で数千トンもの二酸化炭素(CO2)排出量を、わずか数回の航海を通じて削減できる。これは、気候変動を懸念する世界中の人々が称賛すべき偉業だ。 世界の貿易に不可欠な国際海運が排出するCO2量は増加傾向にあり、地球規模の気候変動の一因となっている。環境にやさしい未来をめざすなら、対策を避けては通れない問題である。しかし今回の画期的な前進は、米国が造船能力で競争力を失い、中国に後れを取り続けるならば、米国政府にとって最悪の悪夢と化すだろう。 コスコの電動コンテナ船「緑水01(Greenwater 01)」は、驚異的なイノベーションだ。バッテリーのみで稼働するだけでなく、船体の全長、幅、コンテナ容量などでクラス最大を誇る。中国の造船業が急速に拡大していることの明らかな証左である。 The
慶應義塾大学でイタリア語講師も務める長谷川悠里による「イタリア通信」 から以下、転載で紹介する。長谷川氏はイタリアの高校・大学・大学院で教育を受けて育ち、現在、「エルゴン・ジャパン」でイタリアの⽼舗ブランドとのビジネス展開を手がける起業家でもある。 ナポリ出⾝カリスマシェフが頭を抱える「ナポリタン」の存在 日本で人気の料理「スパゲッティナポリタン」。実は日本独自の創作料理であることは周知の事実として知られています。ただ、近年はイタリアでもその特異な存在が知られるようになりました。イタリアの⼈気テレビ番組「MasterChef Italia」では、ナポリ出⾝のカリスマシェフ・カンナバッチュオーロ氏が、初めてそのレシピを知り、イタリア料理とあまりにかけ離れた内容に頭を抱える姿が放映されています! ナポリタンの調味料は、完熟トマトを煮詰めたものに、砂糖や塩、酢、スパイスなどを加える“ケチャップ”
西太平洋の島嶼国ソロモン諸島の議会(定数50)は5月2日、親中派のソガバレ前首相が後継者に推したマネレ前外務・貿易相を新たな首相に指名した。安全保障や経済の分野で中国に接近する路線を継承する見通しだ。 ただ、ソガバレ氏が率いる与党OURは4月の総選挙で15議席を獲得して第1党になったものの、過半数の26議席には届かなかった。著書『真相 中国の南洋進出と太平洋戦争』(龍渓書舎)など、パプアニューギニアやソロモン諸島をはじめとする太平洋の戦史研究で知られる田中宏巳防衛大学校名誉教授は「中国が太平洋島嶼国に進出して10年余になりますが、中国に対する現地の人々の警戒心が上がってきていると感じます」と語る。 太平洋地域はマーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオなどの「ミクロネシア」、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジーなどの「メラネシア」、そしてキリバス、サモア、ツバル、トンガなどの「ポリネシ
英国政府の各省庁は2022年11月、Hikvision(ハイクビジョン)やDahua(ダーファ)を含む中国製の監視カメラの使用を中止するよう命じられた。しかし、それから18カ月が経った今も、それらのカメラを撤去した政府機関は、全体の約半数にとどまっている。 これらの中国企業は、中国政府の出資を受けており、必要に応じて中国共産党とデータを共有する義務があると広く信じられている。 英国の内閣府は先日、これらの機器の撤去作業は、予定よりも早く進んでいるが、一部の監視カメラは来年の今頃まで残る可能性があると発表した。 「現在までのところ、機密性の高いサイトの大部分は、そのような機器を配備していないことが確認されている」と当局は述べている。しかし、問題のある監視デバイスが全面的に撤去されるまでには、あと1年が必要だ。 この問題は、中国のスパイ行為に関する最近の動きを考えると、特に深刻だ。例えば先日は
1枚の回路基板上にコンピューターとして最低限の機能を持たせたシングルボードコンピュータで知られる英国企業のRaspberry Pi(ラズベリーパイ)は米国時間5月15日、ロンドン証券取引所での新規株式公開(IPO)を準備中だと発表した。 2011年の販売開始以来、累計6000万台以上のラズベリーパイを販売してきた同社の評価額は、最大5億ポンド(約980億円)に達する可能性があると、このニュースを最初に報じたサンデー・タイムズ紙は述べている。 ラズベリーパイCEOのエベン・アップトンは、株式公開の意向を発表する声明の中で、「2012年に最初の製品をリリースしたとき、私たちの目標は、若い人たちが自信を持って所有し、探求できるような手頃な価格のコンピュータを提供することでした。ラズベリーパイの特徴である低価格コンピューティングに対する我々のコミットメントは今後も変わりません」と述べている。 ソニ
英国の兵器史家であるマシュー・モスは、数週間前にこうした展開を予想していた。「向こう数週間、亀戦車はさらに増殖することになりそうだが、ウクライナ側はそのうちこうした戦車とより効果的に戦うすべを見つけるだろう」 ロシア側にとって亀戦車の問題点は、この仕様は特定の技術的問題に対する技術的解決策だったということだ。特定の技術的問題とはもちろん、ウクライナ側が毎月、ロシア軍の部隊や車両に10万機差し向けている自爆型FPV(一人称視点)ドローンのことである。 たしかに、亀戦車の大きな甲羅はたいていの方向からFPVドローンをブロックできる。また、一部の亀戦車の甲羅にへばりついているジャマー(電波妨害装置)は、ウクライナ側のドローンの制御信号を妨害できるのかもしれない。 ウクライナ軍で最近まで最も重要な弾薬だったFPVドローンから身を守れる亀戦車は、比較的無傷でウクライナ側の陣地に近づくことができた。亀
AFP通信は今月、スロバキアのロベルト・フィツォ首相が11日、ウクライナ侵攻を巡る従来のロシア寄りの発言を改め、ウクライナの「領土保全」を尊重した平和的解決を呼びかけたと伝えた。フィツォ氏は昨年10月、ウクライナに対する軍事支援の停止を表明した。今年1月には、戦争終結にはウクライナによるロシアへの領土割譲が必要だとも発言していた。4月の発言は「ロシア寄りからの修正」とも受け取れるが、スロバキアの隣国チェコに在住する細田尚志チェコ国防大学インテリジェンス研究所助教は「フィツォ氏は態度を変えていません」と語る。 細田氏によれば、フォツォ氏は「ポピュリスト」だという。常に、スロバキア世論の支持獲得や与党の利益を最大化することを考え、実践している。外交政策は、どの国・地域に対しても良い顔をする全方位外交を基本とし、「誰に対してもリップサービスをしている」(同氏)という。 フィツォ氏が演じる「反ウク
Photo credit should read Yurii Rylchuk / Ukrinform/Future Publishing via Getty Images 2020年のある日、カリフォルニア州オークランドのアパートで、アサンカ・ウィクラマラッキと彼の2人の兄弟は、精神作用のあるキノコを使った食用品の製造工程を考えていた。マジックマッシュルームに含まれる成分のシロシビンは連邦政府によって違法とされているが、兄弟が実験していたのは、赤いカサに白い水玉模様が特徴的な毒キノコとして知られるベニテングタケから抽出される「ムシモール(muscimol)」と呼ばれる化合物を用いたものだった。 彼らがベニテングタケを選んだ理由は2つある。その一つは、このキノコには精神作用があることで、さらに重要なのは、他のサイケデリック・ドラッグのように米国麻薬取締局(DEA)によって禁止されていない点だ
ロシア軍によるウクライナ北東部ハルキウ北方面への越境攻撃が本格的な攻勢の始まりなのか、それともウクライナ軍の兵力分散を狙った陽動なのかは、まだはっきりしたことを言える段階でなない。 とはいえ、ハルキウの北東40kmほどにあり、ロシアとの国境からわずか数kmしか離れていないボウチャンシク市の住民にとっては、どちらであろうとあまり関係ないかもしれない。故郷が再び戦場になっているのだ。 ロシアの2022年2月の全面侵攻前におよそ1万7000人が住んでいたボウチャンシクは、侵攻開始直後にロシア軍に占領された。その7カ月後、ウクライナ軍の最初の反転攻勢の過程で解放された。だが今、ロシア軍の3個連隊の部隊に再び狙われている。数千人の住民が避難を余儀なくされており、なかにはこの2年あまりで2回目の避難になる人もいる。 ボウチャンシクの戦いは、ロシア軍による北方からの新たな作戦で最初の大きな戦いのひとつに
メッセージを「。」で終わらせると「怒ってるみたいで怖い」と言われる、いわゆるマルハラが話題になった。年配者には何のことやらサッパリな感じだろう。「マルを付けちゃいけないの?」みたいな空気が日本を覆ったわけだが、実際にどれほどの人がマルを怖れているのか。グローバルマーケティング事業やメディア事業を展開するFORIT(フォーイット)が全国の20歳から69歳の男女500人を対象に行った調査で、ホントのところが見えてきた。 まず、文末が「。」で終わっている文章を目上の人から受け取ったときにどう感じるかという質問に、全体で64.8パーセントとダントツで多かった答えが「あまり気にしたことがない」だった。次いで、24.6パーセントが「丁寧さ」を感じると答え、「威圧感」、「距離感」、「怒ってる」と否定的にとらえる人は合計で18.6パーセントと少数だった。 男女別で見ると、これらの順位は変わらないものの、威
差別がうつ病や心臓病などの病気の一因になり得ることは先行研究から明らかになっているが、米ニューヨーク大学はこのほど、生物学的影響について分析を深め、差別が老化も早める可能性があることを明らかにした。 英医学誌「脳・行動・免疫学」に掲載された研究では、2004~09年と2012~16年の期間に2000人以上の参加者を追跡調査した。参加者の81%が白人、19%が黒人で、平均年齢は53歳、過半数が女性だった。参加者は、日常生活での無礼な扱いなど微妙な事例を含む「日常的な差別」、警察による残忍な行為や家の購入を拒否されるなどのより深刻な行為を含む「重大な差別」、職場での不当な扱いや昇進を妨げられるなどの「職場差別」の3種類の差別を経験したかどうかで分類された。 過去の研究で、差別はうつ病や心臓病などの病気と関連しており、老化を促進する原因になる可能性はすでに示されていた。今回の研究では、老化の生物
インドネシアを拠点とするスマート農業プラットフォームのElevarm(エレバーム)は米国時間5月8日、苗木と有機肥料の生産を強化するため、シンガポールを拠点とするベンチャーキャピタルのインシグニア・ベンチャーズ・パートナーズから260万ドル(約4億円)を調達したと発表した。 この調達ラウンドには、エレバームの既存出資者でインドネシアの「スマート養殖のユニコーン企業」として知られるeFishery(イーフィッシャリー)創業者のギブラン・フザイファや、ECプラットフォームのエバーモスの共同創業者でCEOのアリップ・ティルタらも参加した。 「私たちの使命は、独自の研究や技術、ソリューションを通じて、農作物の収穫量を増やすだけでなく、長期的に循環経済に貢献する農業の必需品へのアクセスを民主化することだ」と、エレバームの共同創業者兼CEOのバユ・シエリ・ラクマットは声明の中で述べた。 ラクマットは2
前回のコラムでレポートしたBTSの所属事務所「HYBE(ハイブ)」の内紛騒動は、韓国ではさらに大きな広がりを見せている。 特に、HYBE傘下の子会社「ADOR(アドア)」のミン・ヒジン代表が、親会社に反旗を翻すような激烈な記者会見を開いてからは、世論の風向きが一気に変わってきている。 4月25日にミン代表が記者会見をする前は、HYBE側の主張だけがメディアで報じられていたため、彼女に対しては「HYBEの庇護のもとで育てたNewJeansというアイドルを、自分が育てたからと横取りしようとしている」という見方が一般的だった。 しかし記者会見後は、ミン代表に対する世間の見方が一変した。 会見の模様はネット配信でも流されたのだが、ラフな格好、尊敬語を交えたタメ口、感情が高ぶったときは俗語や上司への悪口、差別用語など、テレビ放送では絶対ありえないような型破りなものであった。ネットで視聴した人のなかに
KPMGの2024年米国CEO展望調査によると、米国の大企業の30%が週4日勤務(週休3日)などの新しい働き方を模索している。驚くことではないが、週4日勤務という考えは再び支持を得つつある。 バーニー・サンダース米上院議員は最近、給与を減らすことなく週32時間労働を実現する法案を提出した。その数日後、富豪の著名投資家スティーブ・コーエンが米CNBCテレビの番組『Squawk Box』に出演し、ゴルフの新リーグ「TGL」への投資について語った。コーエンは「週4日勤務の時代がやってくる」と信じている。週4日勤務制を採用する企業が増えれば、ゴルフ場が金曜日に今以上に混雑するのは当然だ。採用活動からもこの傾向がうかがえる。求人情報のIndeedのデータによると、週4日勤務をうたう求人広告の全体数はまだ少ないものの、ここ数年で3倍に増えているという。 従業員のバーンアウト(燃え尽き症候群)がこれまで
4月上旬、ウクライナ東部ドネツク市のすぐ西にある都市クラスノホリウカの郊外を監視していたウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士は、車体と砲塔を粗雑な金属製の屋根で覆ったロシア軍のT-72戦車を見つけた。 ほどなくして、同じような格好をした戦車が、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月目に入る戦争の約1000kmにおよぶ戦線の各地に出没し出した。多くはドローン対策のジャマー(電波妨害装置)も備えるようになっている。この戦車はロシア側では「皇帝のグリル」、ウクライナ側では「亀戦車」などと呼ばれている。 ロシア軍の攻勢で運用され始めて2カ月目に入るなか、亀戦車はまた新たな進化を遂げたようだ。最新の映像では、甲羅のような硬い金属製外殻の上にもう一層、金属製の格子をまとっていた。 this thing is huge. If it's role is purely plow the mines, i
日本の大企業が注目するリサーチツールをご存知だろうか。3億件以上の研究論文から技術の相関性を瞬時に可視化できる「Memory AI」なるもので、2023年6月にプレベータ版をリリースすると、半年でキリンホールディングスや大正製薬など大手企業約20社が顧客になった。 注目される理由は、企業の研究開発や事業開発担当者が技術調査や分析にかかる工数を最大で9割削減できるからだ。日本は特許出願件数で2022年、28.9万件で世界3位。国・地域別のGDP(国内総生産)に占める研究開発費総額の割合が3.59%と高く、ここ20年間で世界最高レベルにある(※)。科学技術においてこれだけ充実した環境にありながら、大きな問題がある。研究開発の最初の工程となる調査や分析には短くて半年、長いと1年半もの時間が必要になる。この非効率性に着眼したのが、当時、ニューヨーク州立大学の学生だった畑瀬研斗が設立したMEMORY
人型ロボットを開発するスタートアップ、Figure(フィギュア)の創業者でCEOのブレット・アドコック(38)は、自社のロボットへの自信を深めているが、それには理由がある。 1月に同社はBMWとの協業を発表し、自社のロボットをサウスカロライナ州の製造工場で働かせることを目標に掲げた。そして2月29日、フィギュアはマイクロソフトやエヌビディア、OpenAIのスタートアップファンド、ジェフ・ベゾスなどから26億ドルの評価額で6億7500万ドル(約1060億円)を調達した。同社はまた、人型ロボット用の人工知能(AI)モデルを開発するための協業契約をOpenAIと締結した。 この調達によって、カリフォルニア州サニーベールを拠点とするフィギュアの約50%を所有するアドコックは、ビリオネアの仲間入りを果たした。彼が保有するフィギュアと以前のスタートアップの株式の価値の合計は、推定14億ドルに達している
日常会話やポップカルチャーでは、「サイコパス」と「ソシオパス」という言葉は同義語として使われることが多い。一般的には、どちらも危険で暴力的、または恐ろしく冷酷な人のことを指し、共感性に欠け、非道な行為を行うことができる人のことをいう。 しかし、心理学の分野ではこれらは異なる特徴と意味合いを持っている。違いは些細なことに思えるかもしれないが、これらの用語を混同することで、重大な判断ミスを招く可能性がある。 ソシオパスとは何か? 「Current Psychiatry Reports」に掲載された研究によれば、かつてソシオパスと呼ばれていたものは、現在では反社会性パーソナリティ障害(ASPD)として知られている。この障害は、他者の幸福に対する無視や侵害という特徴的なパターンで表れる。ソシオパスの行動は通常、幼少期または思春期初期に始まり、成人期に続くとされる。 研究によれば、この障害の一般的な
マウンティング(One-upmanship、優越感の誇示)は、人が他者に対する優位性を主張するために、微妙または露骨な競争心を見せる一般的な現象だ。人間関係の中で、この現象は、パートナーや仲間を追い越したい、影を薄くしたり貶めたいという絶え間ない衝動として現れる。 そのマウンティングの根底にあるのは、比較によって肯定と承認を求めるよう人を駆り立てる根深い不安なのだ。最初は無害な冗談や遊び心のあるライバル関係のように見えるが、その根底にある動機は不和と憤りの種をまく可能性がある。自分の価値や優位性を示す必要性が常にあることで、緊張と不信の雰囲気が生まれ、相互の尊重と理解の基盤が徐々に侵食されていく。 以下は、「マウンティング」の背景にある3つの心理学的説明と、それらにあなたの人間関係を侵食させないための予防策だ。 1. 劣等感 劣等感は、個人の精神に浸透している根深い不全感だ。多くの場合、幼
メンタルヘルスの苦しみを正しく描いてくれることを期待していた映画で、ハリウッド流のうわべだけの描写を見てがっかりしたことはないだろうか? 心の問題を抱えて生きることの複雑な現実を、センセーショナルにあるいは矮小化し、時にはまったく不正確に表現している映画があまりにも多い。しかし、よく探せば、ステレオタイプと決別し、人間の体験を忠実に描写している作品を見つけることができる。 次の3作品は、メンタルヘルスの問題とともに生きる現実を垣間見せてくれる。これらの映画は、演出や物語がすばらしいだけでなく、日々の問題の残酷でほろ苦く胸をえぐられるような現実という新鮮な何かに光を当てている。 1. 『ファーザー(The Father)』2020年 『ファーザー』は、認知症とそれが人間関係に与える影響を掘り下げた感動的ドラマだ。物語は認知症の父の視点で語られ、方向感覚を失わせる没入的体験を観客にもたらす。彼
ここのところ世間を騒がせた、大谷翔平氏の専属通訳水原一平氏の違法スポーツ賭博事件だが、その後大谷氏の新通訳としてウィル・アイアトン氏が就任し、実際に稼働を始めている。 おもしろいことに、水原氏、アイアトン氏両名の「通訳の流儀」には大きな違いがあるという──。大谷翔平「新通訳アイアトン」、水原一平と訳し方の差くっきり。実例で分析に続いて以下、国際交渉のコンサルティングを行うYouWorld代表取締役の松樹悠太朗氏が、水原氏の流儀を分析した後に、「2つの流儀」は、対話に実際にどう影響するかを考察する。 水原訳は「主張と本論の順番を入れ替える」 大谷翔平「新通訳アイアトン」、訳し方が水原一平と段違い。実例で分析したでは主にアイアトン氏の通訳の流儀について紹介した。 本稿では、過去の水原氏の通訳例も見ながら、2人の「流儀」を比較してみたい。 水原氏は「意訳スタイル」であると言われている。アイアトン
2024年2月、ベンチャーキャピタル(VC)大手のアンドリーセン・ホロウィッツが、シリコンバレーで開いたパーティーには、グンド・ブラザーズと呼ばれる若手起業家たちが大挙して詰めかけた。ほぼ全員がマレットヘア(側頭部を刈り上げて襟足部分を長く伸ばした髪型)の彼らは、エナジードリンクをがぶ飲みし、ニコチンパウチを噛んで、愛国的な歌を歌いながら、ツアーバスに乗ってやってきた。 グンド・ブラザーズという呼び名は、彼らが拠点とする米国最大の軍需産業の街、エル・セグンドに由来している。 2016年にグーグルが、従業員からの反発を受けて国防総省との契約を破棄して以来、VCは防衛テクノロジー企業に1000億ドル(約15兆6000億円)以上の資金を投入し、シリコンバレーの異端児として知られるパルマー・ラッキーが立ち上げた軍事ドローン企業のアンドゥリル・インダストリーズのようなスタートアップを台頭させた。 ラ
ロシア軍のドローン(無人機)対策のジャマー(電波妨害装置)はあまり効果を発揮していない。ロシア軍の防空システムは前線から何百kmも離れた基地や工場、製油所をウクライナのドローン攻撃から守るため、薄く広がった状態になっている。 だとすれば、ロシア軍の歩兵はウクライナ側がロシア側の陣地に毎月およそ10万機送り込んでいる自爆型のFPV(一人称視点)ドローンから、どうやって身を守ればよいだろうか。 この目的では散弾銃は案外悪くない。機体重量900gかそこらのFPVドローンは、大きさも飛ぶ速さも鳥くらいだ。すばやい射撃手なら、飛んでくるFPVドローンをカモのように仕留められるかもしれない。 じつのところ、ロシア軍はドローンからの防御用に散弾銃を少数ながら部隊に支給している。しかし、ウクライナに進駐している40万人規模の軍隊全体を守るにはとうてい足りない。そのため、少なくとも1人のロシア兵は母国の支援
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