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所得者上位1%の富裕層への課税:なぜ最高税率は80%以上でもいいのか? Thomas Piketty (Paris School of Economics and CEPR) Emmanuel Saez (University of California, Berkeley) Stefanie Stantcheva (Massachusetts Institute of Technology) 米国における所得者上位1パーセントは、今では40年前に比べてはるかに高い国全体の所得シェアを占めている。このコラムでは、OECD加盟国18ヶ国を分析して、富裕層への低い課税が生産性と経済成長を高めるという主張に対して反論している。つまり、富裕層の最適な最高税率は80パーセント以上でも大丈夫で、超富裕層を除いて誰も不利益を被らない。 米国において税引き前総所得の上位1パーセントのシェアは、1970年代
本稿では、多変量回帰モデルにおける説明変数や構造変化の数についてのモデル選択規準を開発した最近の研究(Kurozumi and Tuvaandorj 2010)に関連して、情報量規準について話してみたい。情報量規準といえば、実証分析でもしばしば用いられるモデル選択の手法であるので、研究者はもちろん、多くの大学院生が利用していると思う。モデル選択の手法としては、この情報量規準と、仮説検定を繰り返し用いて有意な変数を残すという方法が代表的なものであるが、情報量規準の良さの一つは、その簡便性にあるだろう。たとえば、時系列モデルのラグ次数を選択する場合、仮説検定による方法は有意水準の設定いかんによって選択されるラグ次数が変ってしまうことがあるが、情報量規準だとそのようなことはなく、最適なモデルがただ一つ選択される。このように述べると、まるで情報量規準の方が優っているという誤解を招きかねないが、決し
はじめに North(1991)によれば『制度』は社会の誘因構造を規定する。従って制度は長期的経済成長の重要な決定要因である。だが経験的にみても、優れた制度を構築することは難しく、だめな制度を改革することはさらに困難だ。今日、自由主義経済を標榜する先進国の中でもなお多様な制度が併存するのはなぜだろう。そもそも制度はどのように生成され発展変容するのか。理論的にも実証的にも、私たち経済学者はまだまだ制度変化のメカニズムを理解したとは言い難い。 制度の多様性の謎を解き制度変化の仕組みを究明するにあたって、私は歴史を対象とする経済学(=経済史)は現代を対象とする経済学に対して比較優位を持つと思う。なぜなら、歴史は多様な制度の事例に満ち満ちており、実証分析の材料や理論的アイディアの宝庫だからだ。歴史家は多種多様な社会・経済・政治的条件のもとに成立した諸制度を長期的に観察することができる上に、時によっ
債務と経済成長 再考 Carmen M. Reinhart (University of Maryland) Kenneth Rogoff (Harvard University) 先進国経済が重大な局面に入るにつれ、更なる財政出動を促す経済学者がいる一方で、債務残高の上昇は経済成長を妨げるとの指摘もある。本稿ではカルメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏による、44カ国、200年以上の期間に及ぶデータに基づく研究結果を、とりわけ高水準の債務残高を記録したエピソードに焦点を当てつつ紹介する。 経済危機の発生以来、経済学は、実世界との関係をほとんど持たない抽象的なモデルに固執してきたと批判されている。我々が論文“Growth in a Time of Debt”の中で意図したのは、データ集約的な分析により、債務、経済成長、インフレーションの同時的な関係に関する、選択的な事例証拠を遥かに超えた
過去の研究会と報告資料はこちらです。 公開討論会「貧困にどう立ち向かうか-一橋エコノミストの提言-」 日時:2009年12月2日(水)14:00~16:40 場所:一橋大学 国立キャンパス 兼松講堂(東京都国立市中2-1) 主催:一橋大学グローバルCOEプログラム「社会科学の高度統計・実証分析拠点構築」 パネリスト: 神林 龍(一橋大学経済研究所 准教授)・川口 大司(一橋大学経済学研究科 准教授)・林 正義(一橋大学経済学研究科 准教授)・田近 栄治(一橋大学経済学研究科 教授) コーディネーター: 北村行伸(一橋大学経済研究所 教授) プログラム 14:00-14:05 開会挨拶 山内 進(一橋大学 理事・副学長) 14:05-14:15 問題提起 [PDF: 285KB] 北村 行伸(一橋大学経済研究所 教授) 14:15-15:35 報告 14:15-14:35 「最低賃金と賃金格
なぜイギリスで産業革命が起こったのか? Robert C. Allen (Oxford University) 産業革命がなぜ18世紀の英国で起こったのかという謎は経済歴史家の間でも未だに解決されていない。このコラムでは、大英帝国が国際貿易で繁栄したことにより、高賃金で低廉なエネルギーに特徴づけられる英国経済が作られ、それが契機となって産業革命が起こったと議論している。 産業革命が18世紀の英国でなぜ起こったのだろうか?なぜアジアやヨーロッパの他の地域ではないのだろうか?この疑問に対する答えは宗教や文化から始まり、政治や憲法にまで至る。ごく最近出版された「The British Industrial Revolution in Global Perspective(仮題:英国産業革命の世界的展望)」では、産業革命は根本的に経済的要因で説明できることを議論している。1500年以降に成立した世
世界経済の危機は、経済学者にとって課題でありまた好機でもある。このコラムでは、経済学者の中でも特に創造的な論者であるダロン・アシモグル氏が、これまでの経済学では今回の危機の到来を予見できなかった背景や理由について論じている。また、危機に対処する政府に向けて経済学者が出すべき処方箋や、将来の危機を回避するために若い経済学者が取り組むべき課題について考察している。 世界危機は、経済学という学問にとって非常に重要な好機 ― 経済学で簡単に容認すべきでなかったアイデアを取捨する機会 ― でもある。市場を無条件で規制緩和すべきだという考えや、経済全体の景気変動を無視する考えは、軽薄で一時的な流行だったことが分かりつつある。そして、市場の制度的基盤を理論的に抽象化した分析は単純すぎるように思う。こうした限界点は、経済学者の自省と再考の必要性を意味している。また希望的であるが、若い経済学者による新しい研
「来た~!」お笑い芸人の物まねで有名となったCMのフレーズではないが、やっとクルーグマン(Paul Krugman)にノーベル賞の順番が回って来た。受賞理由は、「新しい国際貿易理論と経済地理学の確立」であるが、新経済地理学は新国際貿易理論の延長線上にあると見なすこともでき、「新貿易理論の確立」だけでも十分にノーベル賞に値する。国際貿易論での業績を理由にノーベル賞を受賞したのは、実に 1977年のミード(James E. Meade)とオリーン(Bertil Ohlin)以来である。専攻分野が同じ研究者としては、うれしいかぎりであり、心から祝福したい。もちろん、ミードとオリーン以外の受賞者でも、サミュエルソン(Paul A. Samuelson、1970年受賞)、レオンティエフ(Wassily Leontief、1973年受賞)、マンデル(Robert A. Mundell、1999年受賞)
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