ポーランドの経済学者ミハウ・カレツキ(1899〜1970)が1943年に発表した論文「完全雇用の政治的側面」を以下のとおり紹介する。概要は下記のポイントにまとめ、読みやすいよう見出しを付した。 Michał Kalecki, “Political Aspects of Full Employment“, Political Quarterly, 14/4, 1943, pp.322-31 ポイント1 政府支出による完全雇用は、経済的には達成可能である。政府支出においては、個人や企業が政府に資金を提供するのではなく、政府が彼らに資金を提供し、財やサービスを調達しているのである。国債売却は現金を除去するオペレーションであり、金利は中央銀行の政策変数であって、財政赤字の大きさとは関係がない。支出拡大がインフレを引き起こすのは完全雇用水準を超えてからである。 2 完全雇用は財界にも経済的な利益をも