タイトル通りだ。 自分がさりげなーく何かを託していた、とあるガールズバンドが打ち立てようとしたロックは、鳴り止んでしまったように思う。 『ガールズバンドクライ』の主人公、井芹仁菜はまさしくロックヒロインだったと言えるだろう。 自分が正しいと思ったことを貫き通した結果、家族にも友人にも裏切られ、ひとり社会からドロップアウトした。 そんなとき彼女は同じように信念を貫き通した結果、「バンド」という(極めて小さいけれど確かな)共同体からドロップアウトした、憧れのロックンローラーと出会う。それが始まりだった。 そこからの彼女(と彼女を取り巻く物語)は目を疑うほどに美しかった。 社会に文字通り中指を突き立てて始まり、次第にそれが「小指」に変わっていく……という過程も極めてアウトサイダー的だ。 要はこの変化には「中指を立てる」という世間に広く周知した挑発・侮辱行為を、自分たちの閉鎖的なコミュニティのみで