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インタビュー
note.com/rurune
(四半世紀前の思い出。間違い、勘違いがいくつかあります。修正しようと努力しましたが、次第につじつま合わせに必死になり、書き上げた時の情熱を自ら消してしまいかねないと気づきました。なので10年以上も迷って、やっとついに書き上げることができたままの文を残しておきます。) 大学生時代、塾講師のバイトをしていた。理由は金。岩手県で「現役東北大学生が勉強を教えます」とぶん回せば仕事がたくさん来た。家庭教師もしていたが、すぐに塾一本に絞った。希少性を高めるため、不便なところを狙った。動機は金。岩手の実家から高速バスで1時間半揺られ、山奥の町の中にあるたったひとつの塾に週3回通った。当時の岩手はのんきなもので、高校進学の選択肢もそんなに多くはなかった。進学校に行くか、そうではない高校に行くか、それぐらい。それでも我が子のよりよい将来を願って、子供を塾に通わせる親が増えてきていた。 両親の願いを背負って送
わたしの母は2年前に他界している。認知症になり、体が弱って、岩手の厳しい冬を越せずに死んだ。父が病の進行を隠し通し、施設に入所させた後はプロの手厚いサポートのもとで暮らすようになったため、わたしは母の壊れていった様子をよく知らない。ただ、父は文字と映像ですべての記録を残していたから、あとからどのようであったのかを知ることはできた。パンツを腕に通して着ようとしている画像があった。 「お前には夫婦2人の世界がある。俺たちもそれは同じで、だから1人でお母さんの面倒を見た。2人きりの時間を過ごせて俺は幸せだった。お母さんにもう一度恋をしたんだ。もっと、ずっと一緒にいたかった」父はそう言って少し泣いた。長年「仕事で全然いない、家のことなんてどうでもいいに違いないおじさん」と思い込んでいた父との距離は、最近になってぐっと縮まった。父は人間で、家族のためにがんばって働いてくれていた。今となっては、わたし
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