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大阪万博
note.com/sbsnbun
はじめに 私の目の前にコンソメの箱があった。夜8時のスーパーで私はコンソメをじっと眺めていた。398円。値札にはそう書いてあった。手に取りたくても取ることができなかった。大根と鳥の胸肉をカゴに入れてレジに行こうとするのだが行く気になれない。 家にある調味料はめんつゆのみだった。醤油の味に飽きていた。何日間も同じ味を味わっていると舌がおかしくなる。洋風の料理が食べたい。コンソメスープが飲みたい。大根と鳥の胸肉と一緒に煮たらさぞかし美味しいだろう。 でも、大根と鶏肉を合わせた値段よりも高い調味料を買うことは非常に勇気がいる。誰かに背中を押してもらわないと買えない気がする。これくらい買っても大丈夫だよ。調味料だから長持ちするよ。そう言ってもらえたら買えるのに。でも、そんな言葉をかけてくれる人もいないし、なんの躊躇もなくコンソメをレジに持っていくお金もない。 私はとても貧しくて、ひもじかった。貧し
文章と漫画を書いています。 「この地獄を生きるのだ」イースト・プレス「私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに」幻冬舎など ネットショップhttps://erikokobayashi.booth.pm
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