「お母さん、これは風邪症状ではありませんよ」 医師は笑顔のままそう言ったが、目だけは真剣で笑っていなかった。 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。上の子の風邪がうつってしまい、息苦しそうにしているだけ……ではないのか? 医師の言葉が私の胸に不安を突き刺した。 いくつかの検査を経て、何人もの医師が入れ替わり子どもの様子を見に来た後に、緊急入院が決まった。2日後には手術することも。 この時点では、どれほどの治療が必要なのか、どんな未来が待っているのか、何も分からなかった。ただひとつ確かだったのは、私たち家族の生活が大きく変わるということだった。 この「風邪ではない」という言葉をきっかけに始まった長い道のり。その中で私は、家族を守るための選択肢の大切さに気付いていくことになるのだった。 生後2か月でわかった生まれつきの病気妊娠中の経過は順調で、出産時も特に問題なく、生後1か月で受ける検診でも