サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
衆院選
ukmedia.exblog.jp
16日、安保関連法案が衆院を通過し、27日午後には参院での審議が始まった。反対の声が日増しに強くなる中、今国会中に成立するのかどうか、大きな注目を浴びている。数人の識者に法案の評価、メディア報道、反戦デモについて聞いてみた。 今回は、日本初のニュース専門インターネット放送局「「ビデオニュース・ドットコム」を主宰する、ビデオ・ジャーナリスト神保哲生氏に外国特派員クラブで聞いた(取材日は7月7日)。 神保氏は15歳で渡米し、コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程を修了(1986年)。AP通信など米国報道機関の記者を経て独立し、日米のテレビ局向けに数多くのリポートやドキュメンタリー作品を提供してきた。1999年設立のビデオニュース・ドットコムは独立した公共的な報道を行うため、広告収入ではなく会員からの講読料で運営されている。 大手マスメディアが十分に取り上げない、時事トピックの裏側を次々と取
(オランダ生まれのサイト「Blendle (ブレンドル)」) オランダで生まれた、マイクロ・ペイメント制のメディア・サービス「Blendle(ブレンドル」が、立ち上げ(2014年4月)から1年余を経て、海外展開を始める予定となっている。 20代後半のオランダのジャーナリスト2人が立ち上げたサービスで、一本ごとに記事を買える仕組みだ(1本15セントから30セント=約20円から40円)。記事の販売価格は出版社側が決めるため、場合によっては30セント以上になる場合もある。読んでみて気に入らなかったら、返金もできるという(その場合は理由を伝える)。返金率はこれまでに全体の約5%で、ほとんどの人が満足して読んでいるようだ。 現在のところ、利用者はオランダ国内の25万人で、人口全体の2%にも満たないものの、60%が20歳から35歳の若者たちで、最も多い読者層は20歳から25歳まで。「新聞を読まない」と
(月刊誌「メディア展望」4月号==サイトからダウンロード可=の筆者原稿に補足しました。数字などが原稿を書いた当時の3月中旬のものであることにご留意ください。) 「忘れられる権利」(right to be forgotten)という表現が、このところ大きな注目を浴びている。 インターネットが普及した現在、いったんネット上に情報がアップロードされてしまうと完全に削除することは困難だ。「忘れてくれない」のがネットの特質とも言える。しかし、個人情報やプライバシー保護の観点から何らかの是正措置があるべきという声が高まってきた。 ネット上の個人情報の保護について画期的な判決が出たのは、昨年5月だ。欧州連合(EU)の最高裁判所となる欧州司法裁判所(CJEU)が米検索大手グーグルに対し、EU市民の過去の個人情報へのリンクを検索結果に表示しないように命じる判決を下したのである。 「忘れられる権利」をめぐって
(ニュースエクスチェンジのフェイスブックのサイトから) (月刊誌「メディア展望」3月号の筆者原稿に補足しました。) テロ組織がネット上に出す動画をメディアはどのように取り扱うべきだろうか。 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(自称の組織名であり、国ではない)による日本人2人の拘束・殺害事件では、日本のさまざまなメディアが、少なくとも最初の頃は動画をほぼそのまま流していたように見受けられた。筆者は疑問を抱いた。こんなことをしていいのだろうかー?「垂れ流し」になってはいないだろうか?「テロ組織のプロパガンダになるかもしれないが、どうするか」という問いをした上での公開だったのだろうか、と。 一連の人質殺害動画には大きなニュース価値があり、報道すれば多くの読者・視聴者を集めることができる。しかし、メディアがテロ組織のメッセージをそのまま伝えれば、その宣伝活動に不本意にも加担してしまう危険性が
(TBSメディア総合研究所が発行する「調査情報」1月号の筆者原稿に補足しました。) 日本でも、公共放送NHKばかりか大手民放による見逃し番組視聴サービスが近頃、本格化の兆しを見せている。 英国では、2007年末頃から各局が競うようにオンデマンド・サービスに乗り出した。主要放送局のこうしたサービスはほとんどが無料で提供されており、ネットを使える状態にある人に広く開かれた視聴方法の1つとなっている。 本稿では、英国放送協会(BBC)が提供するオンデマンド・サービス「BBC iPlayer(アイプレイヤー)」を中心に、テレビコンテンツのネット視聴の現状を紹介した後、昨年の英テレビ界のいくつかの動きに注目したい。 「公共のための放送」という強い概念 改めて、英国の放送業界の仕組みを若干説明しよう。回り道のようだが、オンデマンド・サービスの普及に深く関係してくるからだ。 1920年代前半創業のBBC
追加:先ほど(12日)、フランス24(テレビ局)を見ていたら、議論のコーナーがあり、昨日のデモを自己批判していた。いろいろな意見が出ていたが、すでに「表現の自由」の話ではなくなっている。 欧州の中のムスリム(イスラム教徒)の存在、非ムスリムの国民の存在、「フランスは世俗国家だ」という点を「押し付けている」のではないかという批判などなど。含蓄に富むコーナーだった。 *** 7日、週刊紙「シャルリ・エブド」(「週刊チャーリー」)のパリ本社で、風刺画家などを含む12人が殺害される事件が起きた。ここ数日、このニュースをずっと追っている。 これを「イスラム過激主義者によるテロ」とひとまずくくるとしても、この事件やその影響・余波についてはいろいろと思うことがありすぎてどう書いたらいいのか分からない状況にいる。 欧州社会の「表現や言論の自由」をめぐり、「イスラム教過激派(原理主義者?)が何らかの抗議をす
(以下は新聞通信調査会が発行する月刊メディア冊子「メディア展望」10月号に掲載された筆者の原稿です。若干補足していることと、9月の執筆時から11月上旬の間の情報が反映されていない点をお含みおきください。) 8月末、米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の戦闘員と見られる人物に首を切られ「処刑」される動画がネット上に出た。世界中の多くの人が首切り行為、そしてその場面を動画にしてネットで公開するという手法に残酷さを感じた。 英国での衝撃は格別だった。というも、黒装束の戦闘員は英国のアクセントがある英語を話したため、この人物が英国人である可能性が出たからだ。何故英国の青年がこのような行為を行ったのか、防ぐ手立てはなかったのかと英国内で大きな議論が発生した。 英国でイスラム教を盲信する若者たちがテロ行為、殺害行為に関与したのは今回が初めてで
オランダのスタートアップ・メディア「コレスポンデント」については、これまでにも何回か書いてきたが(記者と読者の関係を変える、オランダの「コレスポンデントや既存メディアの枠を打ち破るオランダでの試み、世界新聞大会で気づいた7つのことなど)、13日、アムステルダムで開催された「出版エキスポ2014」(世界ニュース発行者協会=WAN IFRA=主催)のイベントの一環として、実際にオフィスを訪ねる機会を得た。 コレスポンデントはオランダの日刊紙「Nrc・next」の元編集長ロブ・ワインバーグ氏と同紙のブロガーの一人で、NRCメディアのインターネット部門の編集長だったエルンストヤン・ファウス氏が中心となって立ち上げたウェブメディアだ。クラウドファンディングでほんの数日で約1万5000人から総額100万ユーロ(約1億3900万円)を集め、オランダ内外で注目を集めた。広告収入には頼らず、購読料(年間60
「ネット上でいつも面白いことを探していた」 ハッカー集団「アノニマス」の分派として、2011年に活動した「ラルズ・セック」(ラルズ・セキュリティー)。広報担当役としてメッセージを発信した青年ジェイク・デービス(現在21歳)にインタビューした(写真右、撮影はMinako Iwatake)。 デービスは2年間の実刑判決を受けたが、身柄が拘束されていた期間を加味し、実際に刑務所に入っていたのは38日。出所後には夜間外出禁止令が課され、足には行動を追跡するために電子タグがつけられた。2年間、インターネットの利用が禁止された。 ラルズ・セック参加当時、デービスは18歳。自分でも認める「引きこもり」状態で、コンピューターにかじりつく日々をすごしていた。 以下はデービスのインタビューの後半である。(前半はこちらから。) ―ウィキリークスが2010年ごろから「メガリークス」の発信を開始した。あなたは当時ア
(英ロイヤルコート劇場前のジェイク・デービス。撮影 Minako Iwatake) 「何かをやりたかったけど、それが何か分からなかった」 3-4年ほど前、一定の社会的意図を持って大企業や政府のウェブサイトを攻撃し「泡を吹かせる」-そんな行動に熱狂した若者たちが英語圏で注目を浴びた。話題をさらったのは「アノニマス」、そしてその分派「ラルズ・セキュリティー」(通称「ラルズ・セック」)。「ラルズ」は「Lulz」とつづり、「大笑い」を意味する。「大笑いのセキュリティー」とは、名前からしてユーモラスだ。 今月末まで、ロンドンのロイヤル・コート劇場ではラルズ・セックの活動をドラマ化した芝居「インターネットは真剣なビジネス」が上演されている。 台本を書いたティム・プライスは、アノニマスやラルズ・セックのメンバーたちの行動を一種のハクティビズムと捉えている。ハクティビズムとは「ハッカー行為をする」「問題を
(以下は「新聞通信調査会」が発行する「メディア展望」8月号に掲載された筆者の原稿に若干補足したものです。) *** 去る6月9日から3日間にわたり、イタリア・トリノで世界新聞・ニュース発行者協会(WAN-IFRA)が主催する「第66回世界新聞大会・第21回世界編集者会議・第24回世界広告会議」が開催された。WAN-IFRA(本部、独ダルムシュタット、仏パリ)は世界の新聞社の国際的な組織で、報道の自由、ジャーナリズムの質の向上、メディアビジネスの活性化などを主たる活動内容とする。 毎年開催される新聞大会の最終日のセッションで紹介された「新聞界のイノベーション 世界リポート2014年」(英イノベーション・インターナショナル・メディア・コンサルティング・グループ作成)から、新聞社のデジタル戦略の成功例として頻繁に紹介される英フィナンシャル・タイムズ(FT)の事例を中心に見てみたい。 レポートの冒
(以下は新聞通信調査会発行の月刊「メディア展望」=7月1日号=に掲載された、筆者記事に補足したものです。時制を過去形にしている部分があります。敬称略。) *** 第1次世界大戦の勃発から今年で100年になる。主戦場となった欧州各国では、今年に入ってからさまざまな記念行事が進行中だ。新聞は特集記事を組み、テレビやラジオは特別番組を放映している。大戦のきっかけとなった「サラエボ事件」(1914年6月28日)、オーストリア・ハンガリー帝国によるセルビアへの宣戦布告(7月28日)、ドイツ、ロシア、フランス、英国の宣戦布告(8月上旬)といった大きな節目の時に向けて盛り上がりを見せている。 第1次大戦は連合国側(フランス、英国、ロシア、イタリア、米国、日本、セルビア、中国など)と中央同盟国側(ドイツ、オーストリア=ハンガリー、オスマン帝国、ブルガリアなど)との間の戦いだが、戦場は中東、アフリカ、アジア
第1次大戦勃発から100年となった今年6月末、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで「サラエボ事件を俯瞰する -1914年の事件、物語、記憶」と題された国際会議が5日間の日程で開催された。 「サラエボ事件」とは、私たちが学校で教わったあの事件だ。オーストリア・ハンガリー帝国(当時ボスニア・ヘルツェゴビナは帝国の一部)の次期皇帝となるはずだったフェルディナント大公夫妻が、サラエボを表敬訪問中に暗殺された。暗殺グループがセルビア政府と関係があったことが発覚し、オーストリアは7月末、セルビアに最後通牒を突きつけた後で、宣戦布告。8月上旬には欧州主要大国が次々と互いに宣戦布告し、大規模な戦争に発展した。 サラエボ事件は20世紀でもっとも議論が行われ、神格化された事件の1つともいわれている。本当に第1次大戦の原因と言い切れるのか、誰が悪者あるいは犠牲者なのか、暗殺者の真意は何かなど、誰に聞くかでそ
(オランダ「ブレンドル」を立ち上げたアレクサンダー・クロッピング。ブレンドル提供) イタリア・トリノで先週開かれていた、世界新聞大会(+世界広告会議、編集者会議)。毎年開催されている会議で、筆者にとっては昨年のバンコク大会についで、2回目の参加だった。(読売オンラインで大会の模様について2回書いているので、ご関心のある方は参考にされたい。「ネット時代のメディアの変革者」、「報道の自由を守る戦い」) 今年の大会は、たった1年でこれほど変わるかと思うほど違っていた。自分自身が非常に知的刺激を受けた。そのいくつかをまとめてみた。 (1)クロスオーバーの時代(紙かデジタルかの二者択一ではない) 米ニーマンジャーナリズムラボのコラムでも著名なケン・ドクターが、あるセッションのモデレーター役を行い、そこで言ったいろいろな言葉が刺激的だった。 「インターネットが広く使われるようになって23年。私たちはい
オランダのメディア・スタートアップ「コレスポンデント」(De Correspondent)の話を、これまでに何度か書いたのだけれども「既存メディアの枠を打ち破るオランダでの試み」、「8日間で100万ユーロを集めたオランダの新メディアDe Correspondent」)、ジャーナリズの面で新しいと思ったことがあったので、記してみたい。 まず、記者=書き手と読者の関係が大きく変わる点だ。 これまでにも、「メディアサイトは双方向であるべきだ」と言われてきたし、もうそんなことを言う必要がないぐらい、既成事実化しているとも言っていいだろう。 しかし、その実態はというと、たいがいの場合、 ―ウェブ記事の最後にコメント欄をもうけている ―ソーシャルメディアでシェアできる(例えばツイッターでシェアした場合、ツイッターのプラットフォームで議論が続く可能性) -記者・編集スタッフがソーシャルメディア上で情報交
昨年末、「マスコミ倫理懇談会」全国協議会の「メディアと法」研究会で、「イギリスにおける国家機密と報道の自由について」という題で講演をしました。以下は講演内容の記録に若干補足したものです。 質疑応答 質問=(新聞)報道を規制する委員会に関する法案も通っているのになかなかできず、進んでいないというお話でしたが、その中でガーディアンの事件(NSA報道)が発生した。ガーディアンの事件とこれと絡んでくるのではないかと思います。ガーディアンに対して世論の反発が非常に強く、他のメディアもガーディアンには賛成していないということになれば、すんなり委員会も実現しそうな感じがしますが、いかがでしょうか。また、今回の件でガーディアンの部数は減らなかったのでしょうか。 小林=今回のガーディアンの報道を通じて、規制機関の立ち上げがより容易になるかというと、そういう感じでもありません。 この新しい規制・監督組織は自主
(昨年末、「マスコミ倫理懇談会」全国協議会の「メディアと法」研究会で、「イギリスにおける国家機密と報道の自由について」という題で講演をしました。以下は講演内容の記録です。) 情報安全保障委員会の役割とは イギリスで秘密保全のための組織がどうなっているのかということですが、組織として一つ大きいものがあるわけではありません。 国防に関する機密情報については、議会の情報安全保障委員会があります。これは、94年の情報機関法第10条に基づいて設置されました。 このころから、やっとMI5やMI6の存在を政府が公式に認めるようになりまして、だんだんオープンになったのです。いまはMI5やMI6は自分たちのウェブサイトをもち、ウェブサイトから新しい人を雇うために募集をするほどになっております。 設置当初は政府の一部で、首相が議員の中から委員を任命したのですが、13年から法律が変わり議会の委員会になりました。
日本のメディアについての不平不満や批判をネット空間でよく目にする。 何かについての批判、不平不満が表明されることは普通だろうが、時として、いわゆる既存メディア(ここでは新聞や大手テレビ局)とネット空間とを必要以上に敵対させるような議論が目に付く。あたかも二者択一の問題であるかのような論の進め方がある。 つくづく、つまらないなあと思う。 ほかの国でも新興メディアとしてのネット空間、あるいはネットメディアを既存メディアと対比させることはあるが、いまや、大手メディアがネットメディア化しているので、切れ目がなくなっている。(先般も、米国でテレビの広告費をネットが抜いた・抜かないという報告が大きな注目を集めた。ほぼすべてのメディアがデジタルなのだから、広告もでかくなるのである。) 伝統的な大手メディアのジャーナリズムに対するネット上の怒りは、日本の外から見ると、大きな期待感の裏返しのようでもある。エ
(昨年末、「マスコミ倫理懇談会」の全国協議会、第12期「メディアと法」研究会の第5回の場で、「イギリスにおける国家機密と報道の自由について」という題で講演をしました。以下は講演内容の記録です。) 内部告発をしたら、どうなる? 今回講演の依頼を受けた時、イギリスでは内部告発と告発者の保護についてどんな状況になっているかという質問を受けました。 内部告発に関しては列車事故や銀行のスキャンダルを背景として1998年に成立した公開開示法があります。 日本の内部告発の法律も、イギリスのこの法律を参考にしたというのを見たことがあったのですが、公務員も民間人も対象としています。誰でも内部告発ができるように、そういう法律をつくったのです。国外で起きた不正行為についても告発できます。内部告発を理由として雇用主から不利益を被らない権利を従業員が持つようにして、もし何か不利益を被った場合、雇用裁判所が救済をする
ロンドンで、新たなテレビ・チャンネル「ロンドン・ライブ」が先月末、放送を始めた。チャンネルのオーナーは、ロシア出身の英国人エフゲニー・レベデフ氏だ。高級紙インディペンデント、無料夕刊紙ロンドン・イブニング・スタンダードなどの所有者でもある。新聞だけじゃなく、テレビまで持ってしまったのである。 まだ始まったばかりで、今のところ若者をターゲットにしたようなトーンが目立つ。しかし、まだまだどうなるか分からない。何とか、続いてほしいものだ。 デジタル時代のテレビチャンネルの開始ということで、サイトで一部生放送が見られるようになっている(少なくとも英国では)。視聴者からのフィードバック、投稿もどんどん受け付けている。さて、どうなるだろうー? 月刊誌「新聞研究」の3月号に、「世界のメディア事情 ―英国」編を寄稿した。タイトルは「英インディペンデント紙に売却話 ―紙受難時代の生き残り策とは」である。 以
筆者が住む英国のBBC(英国放送協会)とNHKとを比較してほしいという依頼を、ときどきいただく。 今年、そうした依頼が生じたのはNHKの新会長による年頭のさまざまな発言に起因する。 実際にBBCとNHKを比較した場合に、例えば組織としての成り立ち、監督制度の仕組みなど、骨組みのところを見ただけだと、一言で言えば「非常に良く似ている」。 どこか違うところがあるとすれば、(当然だが)これまでの歴史、つまりは一つ一つの報道の積み重ねが異なる。番組を受け止める視聴者や批評家、政治家、ライバルとなるほかの放送局などの反応も違う。ジャーナリズムについての考え方も違う(例えば、放送メディアでは不偏不党が報道の中心にあっても、ジャーナリズム組織とは権力を批判するものという意識が広く共有されている)。 また、BBCは英語圏の大手放送局で、かつ世界中にたくさんの読者をかかえるニュースサイトを運営していることか
メッセージングアプリ、ワッツアップをフェイスブックが巨額で買収することになり、大きなニュースとなった。グーグルもワッツアップを買収する交渉をしていたといううわさが出た(グーグル側は否定)。 世界で最も大きいネット広告の市場は米国だが、ここでシェアの奪い合いをしているネット企業といえば、グーグルとフェイスブックが視野に入ってくる。 グーグルはこのところ、人口知能にかかわるネット企業の買収もしており、「検索大手」という呼び方におさまらない存在になっている。 昨年末時点での情報を使って、日経広報研究所が出している「日経広報研究所報」(2014年2-3月号)に、グーグルについて書いた。 以下はそれに若干補足したものである(題名や見出しを少し変えている)。 グーグルなどのネット企業は刻々と変化をとげているので、3月上旬現在、若干古くなってしまった感さえある分析となったが、グーグルとはどんな会社で、こ
(欧州の媒体の取材に応じるサム・ガーディナー君) ロンドンに住む17歳の少年ニック・ダロイシオ君が開発会社Somoなどの協力で作ったアプリが米検索大手ヤフーによって巨額で買収され、世界をあっと言わせたのは、ちょうど1年前の昨年3月だった。 「巨額で買収された」、「あのヤフーに」という要素よりも、最も注目を集めたのは「17歳の少年が作った」という部分ではなかっただろうか? ダロイシオ君が初めてアプリを作り、アップストアで販売を開始したのはそれよりももっと前の12歳のときだったというから、恐れ入る。私自身、「ずいぶんと早熟な少年だなあ、天才に違いない」と思ったものだ。 昨年秋、雑誌「ワイヤード」がロンドンで開催したイベントでは、米国の高校生ジャック・アンドレイカ少年が、15歳のときにすい臓がんを早期発見する新たな方法を見つけたことを知った。少年の検査方法はこれまでにないほど低価格であるという点
昨年12月6日、安全保障に関する機密情報を漏洩した人への罰則を強化する特定秘密保護法が参院で可決され、成立した。野党側が審議の延長を求め、国会の外では法案に反対する多くの人が抗議デモに参加する中の可決となった。 新年を迎えたが、秘密保護法についての議論が一部の国民の間では続いているように思う。 成立してしまった・・・ 私自身がもっとも衝撃を受けたのは、実際にこの法律が成立してしまったことだ。というのは、反対論がかなり強かったように認識しているからだ。 国民の大部分が関心を持っているような話題ではなかったかもしれないし、そういう意味では反対の声を上げた人は数的に言えば少なかったかもしれない。 しかし、抗議デモも含め、強い反対論が知識陣の間に出ている中での成立には割り切れないものを感じた。「今回は見送る」という選択肢はなかったのか。 それと、成立したこと以上に衝撃だったのは、最後の参院での投票
片方では鍵をかけ、片方で外に出っぱなし? 日本で特定秘密保護法が成立したが、視点を日本の外にも広げると、いわゆる「NSA報道」とのからみが気になる。 例えば、昨年6月から、元米中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン氏のリーク情報により、米英の諜報機関の機密情報が複数の報道機関によって暴露されている。米英はともに核兵器を所有し、世界の紛争地に軍隊を派遣している。そんな国の機密情報が漏れている。いわば、一方では鍵をかけておいて、一方では蛇口が開けっ放しになっている状態だ。果たして日本でかけた鍵でどれだけ機密情報を閉じ込めて置けるのだろうか?そんな疑問を筆者は抱いた。 外国と比べてどちらがよいかは比較しにくい 特定秘密保護法の成立前、日本の外に住む筆者に対し、この法案を批判して欲しいという主旨の原稿依頼を受けた。諸外国の例はこうで、良い面も悪い面もあるという指摘では済まされず、「反対であ
(「データ・ベビー」のウェブサイト) 英民放チャンネル4(フォー)が、「データ・ベビー」を使って、様々な面白い実験を行っている。 データ・ベビーとは架空の人物だ。番組制作者がネット上に「レベッカ・テイラー」という女性を作り上げ、彼女のデジタル上の行動がどんな波紋を呼び起こすのかを調べることで、ネットを使う私たちの生活について考える、という仕組みだ。 この件については、読売オンラインのコラム(ネットの裏をあぶり出す「データ・ベビー」)で一通り、書いている。 当時、番組のテクノロジー担当編集者ジェフ・ホワイト氏とジャーナリストのセーラ・スミス氏に取材して話を聞いた。記事の中には一部しか入れることができなかったので、以下に会話の大部分を紹介したい。日本のテレビ界の制作者、あるいはテクノロジー関係の方に、何らかのヒントになればと思う。 *** なぜデータ・ベビーを作ろうとしたのか? ジェフ・ホワイ
安倍首相が26日、靖国神社を参拝した。英国のメディアはこれをどう報じたのだろうか? 私はいま東京滞在中で、ネットで記事を読むぐらいなのだが、若干紹介してみたい。 英BBCの報道の1つには、「中国が日本の安倍晋三首相の靖国参拝を非難」という見出しがつく(後で更新されるかもしれないが、日本時間の夜中12時頃のバージョンを使った)。 その後の流れは以下のようだ。 *** 中国と韓国は戦争犯罪者を含む日本の戦没者が祭られている神社を参拝した日本の安倍晋三首相を非難した。 韓国は「嘆かわしい」行為に激怒すると述べ、中国は参拝を「絶対に受け入れられない」として、日本の大使を呼びつけた。 日本の隣国は靖国参拝を第2次世界大戦における日本の軍国主義の象徴と見る。 米国高官らは参拝がこの地域の「緊張感を悪化させた」と述べた。 中国、日本、韓国は東シナ海の領域をめぐって、いくつもの論争の渦中にある。 紛争のた
一年ぶりに東京に来てから10日ほどが過ぎた。特定秘密保護法が成立するという大きな動きがあり、非常に興味深い日々が続いている。 ソーシャルテレビ、テレビの将来関連のイベントなどに出て、日本のテレビの先端は熱いことを実感した。(「ソーシャルテレビ推進会議」の模様を「あやとりブログ」に書いています。ご関心のある方はご覧ください。) *** 米NSA報道によって米国と欧州諸国の政治層に亀裂が入った話について、週刊東洋経済11月30日号に書く機会があった。少し時間が過ぎたが、筆者記事「核心リポート」に補足したのが以下である。 この記事の後の状況を、ドイツのニュース週刊誌「シュピーゲル」ロンドン支局長に聞いてみた。その話を読売オンラインの筆者コラムに書いている。あわせて目を通していただけたら、最新の事情が分かると思う。(33)独誌支局長に聞くNSA報道の舞台裏 「スノーデン」で大揺れ 敗戦国ドイツの悲
「あなたの好きな動物は何?」など、単純な質問に答える仕組みの交流サイト「Ask.fm」(アスク・エフエム)が、欧州を中心とした数カ国に住む10代の少年少女の間で、人気になっているという。 利用の手始めは、新たに名前、電子メールのアドレス、生年月日などを使って登録するか、フェイスブック、ツイッター、あるいは「VK」のアカウント(主としてロシア語圏で人気があるソーシャルメディア)を使って、プロフィールを作る。友人を誘って、質問を投げかけてもらう。ほかの利用者もさまざまな質問を投げかけることができる。フェイスブックとは違い、匿名でも利用可能だ。ウェブサイトでもモバイル機器のアプリとしても使えるようになっている。 このサービスの利用者の中で未成年者数人が、いじめを苦にして自殺したと推測される事件が相次いでいる。 今月2日、14歳のハンナ・スミスさんが、英イングランド中部レスタシャーのラターワースの
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『小林恭子の英国メディア・ウオッチ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く