サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
アメリカ大統領選
y-ito-diary.blog.jp
November 26, 2011 ライツ・オファリングと有利発行規制 金曜日は、大阪証券取引所で、金商法研究会。早稲田のK先生の、ライツ・オファリングについてのご報告(後半。前半は10月の研究会)。今日は、主に、公開買付規制の改正、内部者取引規制の改正、株主平等原則との関係。最後の点は、金融庁の開示制度ワーキング・グループ法制専門研究会報告「ライツ・オファリングにおける外国証券規制への対応と株主平等原則の関係について」で扱われた問題。ライツ・オファリングを実施する際に、米国の証券規制の適用を避けるため(適用されるとライツ・オファリングが事実上できなくなる)、ライツ・オファリングの際に無償割当される新株予約権に、「外国株主は行使できない」という行使条件を付けたとして、これが、株主平等原則に違反するのか、違反しないためにはどのような条件が揃っていなければならないかということが、同報告書では議
October 05, 2009 社会学入門 稲葉振一郎『社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか』(日本放送出版協会、2009年) 本屋で目次を見て、「これはいいかも」と思って買い、予想通り良かった本。「社会学について、こういう本が読みたかったんだよ」というのが私の感想。社会学の「入門書」といえば、えてして、種々雑多な社会学の理論や方法論が羅列してあるだけだったり、重要度に違いがあるはずの様々な理論家が時系列に並べられて紹介されていたり、本の著者自身の自分史が書かれてあったりというような、「そもそも社会学は何を目的とするどういう学問なのか」が全然分からない本が多いのだが、本書は違う。「社会学とはこういうことを目的とする学問だ」「隣接諸分野とはここが違う」「社会学にとって学問分野全体を貫く基礎理論というものが存在しないこと、そしてその理由」といった、門外漢やこれから社会学を学びたいと思
July 03, 2009 新株予約権の行使による株式の発行の差止め 今週のロースクールの授業で扱われた東京高決平成20・5・12。授業中の説明が間違っていたので、次のような訂正文を作った(ロースクールでは、来週紙で配布する予定です)。 ―――――― 前回の授業では、「新株予約権の行使に応じて会社が株式を発行することを差し止めることはありえない」といった説明をしましたが、それは誤りです。以下のように訂正します。 (1)新株予約権の「発行」が行われた場合に、そのようにして発行された新株予約権の行使による株式の発行を差し止められるか 新株予約権が発行される場合、割当日の2週間前までに、新株予約権の募集事項を通知または公告しなければなりません(会社240条2項・3項)。そのため、既存の株主としては、新株予約権の発行の差止めを求める(会社247条。実際にはそれを被保全権利として仮処分を申し立てる)
May 16, 2009 最判平成21年3月10日の分からないところ 最判平成21年3月10日 この判決は、株主代表訴訟について従来から議論されている、「代表訴訟の対象になる『役員等の…責任』にどのようなものが含まれるか」という問題点についてのもの。早速、春学期の「企業組織法の基礎」の講義に織り込むため、判決を読んでみたのだが…分からないところが多い。 この判決の事案は、原告であるA会社の株主(X)が、A会社が買い受けた土地について、A会社の代表取締役Yに所有権移転登記がされているなどと主張して、Yを被告とする株主代表訴訟を提起し、A会社への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記をすることをYに求めたというもの。判決は、次のようにいう[(ア)・(イ)といったナンバリングは私が勝手にしている]: (ア):株主代表訴訟の制度は,取締役が会社に対して責任を負う場合,役員相互間の特殊な関係
April 18, 2009 講義の予習やテスト勉強に使う概説書・体系書 私が大学生の時、私の出身校では、いつも学期始めに、生協の書籍部では、かなりしっかり厳選された「定評ある概説書・体系書」が平積みで売られていた。しかも、学生の執筆協力を受けて生協が発行した(たしかそういうやり方だったように思う。私も何冊分か書いたことがある)、各科目ごとの、主要な概説書・体系書のガイド冊子がタダで配布されていたので、そういったものを参考にして自分で立ち読みをしながら、どの本を買うかを決めることができた。残念ながら勤務校の生協にはそういうものもなさそうなので、ひとつ、自分が使った概説書・体系書でも紹介してみようかと思う。それだけでは芸がないので、「学生時代に現実に使った本」と、「もしも自分が今学生なら使うだろう本」とを、記してみる。 *オリジナルからちょっと変えたところがあります *この記事を書いたのが2
December 16, 2007 名もない顔もない司法 ダニエル・H・フット(溜箭将之訳)『名もない顔もない司法』(NTT出版、2007年) これもギックリ腰病床にて読了。日米の司法制度の相違、名もない顔もない裁判官としての日本の裁判官のあり方、さらに、近年の司法制度改革がそのようなあり方を変える可能性がどこまであるかを検討する本。日米の相違や日本の裁判官の特質として語られる内容はこれまでも幾度となく語られてきたことだが、ラムザイヤー=ラスムッセンなど最新の研究が紹介されているのがうれしい。個人的には、本書の最後の、裁判員制度についての分析と予測が興味深かった。いくつか引用。 「これだけ論議を呼んだ[裁判員]制度の目的に関して、国会も最高裁判所も、簡単できわめて抽象的な説明しかしていない。しかし、新しい制度の裏にはさまざまな動機が渦巻き、それが互いに重複し、補強するかと思えば、相反して矛
May 10, 2008 『私法70号』で読む商法と民法の交わらなさ 先日、『私法70号』が届いた。私法学会の学会誌(各大学の附属図書館なり法学部図書館なりに必ず入っていると思いますので、興味のある学生さんはぜひ手にとってみてください)で、昨年度のシンポの模様などが載っている。昨年度学会では、私は、基本的には商法のシンポに出つつ、昼休み明け一番の民法シンポのコメンテーター(内田、藤田)の話だけを聴き、また商法シンポの部屋に戻るという過ごし方をした。その後の民法のシンポの議論の様子を知りたくて早速読んでみたわけだが…。そこで再確認したのは、この記事の表題にあるようなこと。藤田先生のコメントを一部引用。 【引用1】 「…周辺領域においてマクロな経済秩序とミクロな権利義務関係のインタラクションという認識が浸透していく中、もし自律的な私法秩序というものを守ろうという思考が民法の領域で強くあるとすれ
November 02, 2007 子会社上場の問題点 金曜は朝早くの新幹線で東京へ。東大COE「ソフトロー」の研究会を聴きに行った。東大社研のTさんに教えていただいた研究会で、米国系ファンドの人が、日本の親子会社上場(親会社と子会社がともに上場)の問題点についてご報告。報告の骨子は、次のようなもの。 ・親子会社上場の問題点の実例として、NECとNECエレクトロニクス ―NECエレクトロニクスは、親会社であるNECの意向があるために、競争力で劣り将来性の暗い通信部門から、競争力があり将来性のあるMCUなどの部門に、経営資源をシフトさせることができない ・日本では親会社株式だけでなく、子会社株式が上場されることも多い (東証上場会社の13.5%は親会社を持つ会社) ・それにもかかわらず日本では子会社の少数株主保護が十分ではない 報告後の質疑応答を聞く中で一番気になったところが、そもそもどうし
December 05, 2007 新しい信託法の入門書2冊 道垣内弘人『信託法入門』(日経文庫、2007年) 信託というものが英国で発達してきた経緯、信託制度が日本に導入された経緯と日本でのこれまでの用いられ方、信託をめぐる近年の状況、信託の基本的な要素といったことから話を説き起こし、新しい信託法に沿って、その内容を概観していく本。時々、「これは資産流動化等についてもとから知っていなければ分からんよー」という記述も出てくるが、概ね読みやすく、内容も濃い。もともと法律を学んでいる者にとっては、本書のような「法律に沿った」説明の方が、むしろありがたかったりもする。信託法の入門書の1冊目におすすめ。 樋口範雄『入門 信託と信託法』(弘文堂、2007年) 道垣内『信託法入門』を読み終わり、より深く信託について考えてみたい人に。こちらは、豊富な外国法について知見を縦横に駆使し、新しい信託法のうち特
July 05, 2024 重要提案行為の範囲 先週のJPX金商法研究会では、京大のT先生の報告で、2024年金商法改正のうち大量保有報告制度についての改正が扱われた。といっても、まだ金商法の改正が成立しただけで、政令等の改正の内容は明らかでないので、研究会では、主に、改正の元になった「金融審議会公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告」(以下では「WG報告」という)の内容の紹介と検討が行われた(なので、改正に至らなかった実質株主の透明性の問題についてもいろいろと議論された)。私が気になったのは、以下に書くような重要提案行為等の範囲の明確化の問題(このあたりは全く勉強してこなかったところなので、私が考えていることには、かなりの間違いがあるのだろうけれど)。 大量保有報告制度というのは、金商法に定められているもので、株券等の大量保有者(株券等保有割合5%超)になった者に、そう
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Y. ITO's Diary』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く