改革の途上に、官庁や世論の「懸念」という大きな「壁」 行政の世界に身を置き仕事をしていると、越えられがたい壁に直面することが多々ある。 天王寺区で子どもが生まれた世帯が公費助成がこれまでなかった任意予防接種や病後児保育などの子育てサービスを各世帯が任意に選んでバウチャーで支払うという「子育てスタート応援制度」を導入した。政令市の行政区としては史上初だが、これもまた導入には慎重論も根強かった。そもそも行政区は住民票発行などのルーチンワークや市で一律の事業実施に特化しており、大がかりな独自事業をすること自体が珍しい。 しかし、大阪市のように人口260万人の大規模な都市では、24区ごとの地域特性も大きくことなる。24区一律の事業を実施するのは形式的には平等だが、区によって高齢者が多い区、若者が多い区があるので実質的には平等とは言えない。区によって最重要課題も異なるし、重点特化すべき分野も異なる。