インフルエンザの季節がやってきたのでその予防接種のあり方について考えてみたい。まず子供のころに受けた接種を思い出してほしい。小中学校で注射をしてもらった人が多いと思う。ところがこのインフルエンザワクチンの集団接種、「子供を犠牲にして流行を抑えるのは問題だ」との批判を受け、20年近く前に中止になってしまった。いうまでもなく、その後、接種率は落ちていった。 インフルエンザの感染は学校という集団の中で生活している児童や生徒の間で始まる。子供がウイルスを持ち帰ることで学校から家庭へと感染が広がり、大人が罹患(りかん)していく。流行が拡大すると、お年寄りや心臓病、糖尿病などの持病のある人にまで広がり、彼らの命を奪う。厚生労働省によれば、多い年で高齢者を中心に2000人も亡くなっている。 これがインフルエンザの流行の典型的なパターンで、この流れを食い止めるのには、流行を生む学校で子供たちに直接、ワクチ