5月12日、東電は「1号機の圧力容器で完全に水から露出した核燃料が過熱して容器底部に落下し、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が洩れていると見られる」と発表した。これまで「最悪事態」と考えられていた「メルトダウン(炉心溶融)」が実際に起こっていたこと、そして、「滅多なことでは破損しない」とされていた圧力容器が破損していたことを認めたのだ。 このことが確認されたのは、原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果、「燃料棒の頂部から1.65メートル低い位置まで水で満たされているであろう」というこれまでの推定が覆され、水位は頂部から5メートル以上低いことが分ったからだ。こうなると、燃料棒の大半は既に溶けたり崩れたりして、圧力容器の底部に落下したと推定せざるを得ない。溶融した核燃料の温度は3000度近い高温である一方、直径約4.8メートルの圧力容器底部には97本の制御棒と34本の中性子