■「血が騒いだ」 「血が騒ぐというか、懐かしかったですね」。メーデーの1日、ある地方都市の喫茶店。男性は「労働者の祭典」にはさしたる興味を示さず、テレビで見た長野の聖火リレー中継の話題でひとしきり盛り上がった。 中国という大国と、それに弾圧される少数民族チベット支援者らの闘い。一方で中国は社会主義国家であり、チベット支援者の中には右翼団体まがいの格好をした者もいる。 「どちらにつくのかと問われれば今は、弱者という点でチベット側だと思う。というよりもあの場にいたかったというのが本音かもしれない。小競り合いで流血した場面なんかは本当に身震いがしましたよ」 男性は村岡正さん(60)=仮名。2年前に小さな出版系会社を早期退職し、警備会社でアルバイトをしている。妻と独立した子供2人がいるという。 村岡さんはかつて、ある有名私大の全共闘メンバーだった。当時はセクト(党派)にも属し、闘士として自分なりに