文民統制の構図 海上自衛隊の最新鋭イージス艦「あたご」の漁船衝突は、単なる海難事故にとどまらず、わが国のシビリアンコントロール(文民統制)が機能不全を起こしている実態をさらけ出した。かつてその担い手を自任していた防衛省の文官(背広組)が自信を失い、代わって主導しようとする政治家も危うい試行錯誤の域を脱していない。 ◇ 「第一報を大臣に入れたら、速やかに司令部的なものを作り、そこで情報を整理し、対応方針を作って共有する体制が本来あるべきだ。だが、防衛省の中の司令部機能がどうなっているのか、外からは全く見えない」 3日に首相官邸で開かれた防衛省改革会議で、防衛省の内部事情に詳しい委員が鋭く突いた。 26万人の自衛隊員を擁する防衛省は、今や国内最大の官庁だ。 「八岐大蛇(やまたのおろち)」とも呼ばれる。事務次官以下の文官を中心とする内局、統合幕僚監部、陸海空自衛隊など、機能も