2013年7月X日、スイス・ローザンヌ。 “鬼塚十郎”は、ほろ酔い加減でホテルの自室に舞い戻ってきた。五輪の開催計画を巡るIOC委員へのプレゼンテーションまであと3日。電通スポーツ局の五輪担当として訪れていた鬼塚は多忙の業務の合間を縫い、先程まで旧知の日本人記者と地元のバーで酒を酌み交わしていた。IOC委員の間で東京の高評価が堅調に推移していることを記者から聞いて安堵感とともにプレゼンの本番へ更なる気合を漲らせていた。 鬼塚が就寝前にふとテレビを付けると、アイスホッケーで試合外の乱闘シーンの映像が目に入る。画面に動きはない。スチールを使用しているようだ。その後も、フランス語のナレーションが何かを伝える中、サッカー場で荒れるサポーターと選手がもみ合う場面、大リーグの乱闘シーンを切り取った静止画が映し出されている。「何かの啓発CMだろうか」。フランス語を解さない鬼塚が首をかしげると、柔道着を着
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