あまりに問題の多すぎる法案だ。政府は特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。だがこれは国民を目隠しし、国民主権を根底から壊しかねない。成立させてはならず、廃案にすべきだ。 問題は、何が特定秘密に当たるか、閣僚など「行政機関の長」が恣意(しい)的に決められる点だ。 確かに、法案の別表は「外国との交渉内容のうち国民の生命、領域保全その他の安全保障に関する重要なもの」などと対象を列挙する。だが何が「重要」か、なぜ「重要」なのか、国民には点検のしようがない。これでは恣意的運用を排除したとは到底言えない。 単なる努力義務 有識者会議で統一的な運用基準を作ると政府は強調する。だが有識者を選ぶ段階で批判的な識者は排除されるだろう。恣意的指定に歯止めがかかるとは思えない。 併せて審議される情報公開法改正案で、秘密指定が適切かどうか裁判所が内々に見て判定する「インカメラ審理」を規定するから、透明性は確