森口尚史氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の治療を行ったと発表し、その後大半を嘘と認めた問題で、ES細胞研究の権威である京都大物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の中辻憲夫拠点長が17日、報道陣の取材に応じ、森口氏について「コメントするに値しない」と話した。 中辻教授は知人からのメールで報道を知ったといい、「そんなことはあるはずがないし、すぐにおかしいと思った」と当時の心境を振り返った。研究者の間でも懐疑的な見方が多数を占めていたという。 さらに、論文の捏造(ねつぞう)が世界的に増加傾向にあると指摘。「信用できない論文は研究をミスリードし、無駄な税金が使われることになる」と話した。 中辻教授は、京都大理学部卒で同大再生医科学研究所長などを務めた。現在はiCeMSでiPS細胞、ES細胞に関する研究を行っている、幹細胞生物学の権威。