24万2292件−。平成20年度に母体保護法に基づき届け出がなされた人工妊娠中絶の数だ。年間出生数約110万人の実に「4分の1」にあたる。 これまで少子化問題と関連付けられることはほとんどなかった人工妊娠中絶。だが、6月に小渕優子少子化担当相(当時)の有識者会議「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」がまとめた提言は今後の少子化対策を考える上での重要課題に挙げた。 「法律では人工妊娠中絶を認める条件として母体の健康や性的暴行などを挙げているが、ほとんどが経済的な理由で中絶手術を受けている」。 20年以上中絶や不妊に悩む女性の相談に乗ってきた日本家族計画協会クリニック所長で産婦人科医の北村邦夫氏はこう打ち明ける。 厚生労働省の「第4回男女の生活と意識に関する調査」(20年9月)では、中絶手術を受けた女性は14・9%だ。理由は「相手と結婚していない」25・6%がトップ。「経済的余裕がない