野田佳彦首相は、アジア太平洋地域における自由貿易の枠組みづくりから取り残されても構わないと考えているのか。 20カ国・地域(G20)首脳会議に出席したメキシコとカナダが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。一方の日本は、首相が現地でオバマ米大統領と交渉参加への事前協議で協力を確認しただけだ。動きの鈍さ、危機感の乏しさが際立つ。 もともとメキシコとカナダがTPPに前向きになったのは、日本の交渉参加の動きに刺激されたからだ。それが逆転し、日本は両国の後塵(こうじん)を拝す形になった。 野田首相が交渉参加表明の機会を逃したのは、4月の日米首脳会談、5月の主要国(G8)首脳会議に続き、実に3回目だ。 4月の日米会談前に首相は「議論が煮詰まって判断する」と話していた。その後も状況は変わらず議論を進める動きもない。税と社会保障の一体改革に力を注ぐあまり、TPPは脇に置かれていると