民間による井戸の掘削や滅菌処理の技術が進み、安上がりな地下水に切り替えているためだ。病院には地震などの災害に備え、独自の水源を確保する狙いもある。水道料金収入が激減した自治体からは、「耐震化を進めようにも費用が工面できない」と嘆く声が聞こえてくる。 富山県高岡市二塚の済生会高岡病院では2年前、地下100メートルの井戸による地下水濾過(ろか)システムを導入した。地下水9割と市水道局の水道水1割で、患者を含むすべての飲料水や入浴用の水などを賄う。1立方メートル当たりの地下水の単価は、水道水より約60~70円安く、年間で約150万円のコスト削減に成功した。同病院の担当者は「入院患者を抱える病院にとって断水は命取り。災害時でも、電気さえ通れば、井戸から地下水をくみ上げられる点も魅力だった」と話す。 富山市では、西能病院、富山城南温泉病院などが自前の井戸を持つほか、百貨店「大和富山店」もコスト削減な