(左)「これが弟のホルヘです」と話すノルマ・ナカムラさん(右)アルゼンチンの軍事政権に拉致された弟ホルヘさんの写真をもつエルサ・オオシロさん。ホルヘさんは詩や音楽が好きで、バンドでギターを弾いていた=いずれもブエノスアイレス、平山亜理撮影 南米アルゼンチンの日系人たちが三十数年前、拉致された。当時の軍事独裁政権に反対し、左翼活動への関与を疑われたためだ。多くの人の消息が今も分かっていない。家族は「身内の恥」と、長く沈黙を続けた。だが年々困難になる真相究明のため、やっと声を上げ始めた。 ■左翼活動疑われ連行 日系2世のエルサ・オオシロさん(57)の弟ホルヘ・オオシロさん(当時18)が姿を消したのは、1976年11月のことだった。 高校生だったホルヘさんは社会党の青年部に所属し、機関誌を配っていた。夜中、ブエノスアイレスの自宅に武装した男たちがなだれ込み、無言のままホルヘさんを連れ去った。 同