齢40の売れっ子写真家が、「都内で小さめの家が買えるくらい」の貯金をはたいてまでして撮りたかった“モノ”とはなんだったのか──。 物語は、さして美人でもない女たちのポートレイトから始まる。次に、男が現れる。彼は素っ裸で、暗闇を走っている。次第にその人数が増える。女たちも現れ、群れとなる。そしてある時、彼らはまぐわい始める。獣のように交尾しあう裸身の群れ。そこかしこで汗と精液が飛び散る。肉、汗、汁。それはまるで、巨大な肉の塊のようにも見える。荒々しくも、静謐──。 これは、乱交モノAVを追ったドキュメンタリーなどではない。 20歳でキヤノン写真新世紀公募展にて最優秀賞を受賞、継父の自殺未遂を撮影して話題を呼んだ『目のまえのつづき』、10人の出産の瞬間をとらえた『いま』といった異彩を放つ写真集を発表してきた写真家、大橋仁の新作写真集『そこにすわろうとおもう』。それは、150人ずつ、計300人の