賛否両論が分かれる本だ。賛成・支持する論者の中に、日本の道義的責任を果たすべきという論者と、「慰安婦」問題などなかった、日本に責任はないという論者の両方が含まれ、奇妙な同床異夢状態ができあがっている。批判する論者も一様ではない。その意味で「問題提起」的な著作である。 書評の難しい本だ。「慰安婦」問題でねじれた日韓関係をさらにねじれさせるために書かれたとしか思えない。加害国側の日本男性である評者が、被害国側の韓国女性の本書を批判しても、ねじれが解消するどころか、いっそうこじれるだけで生産的でない。それでも書評をする理由は、日本側の事情の変化にある。第一に、二〇一四年八月の朝日新聞記事訂正に始まる一連の狂騒によって「慰安婦」問題をめぐる議論が混迷を深めているからである。第二に、一部とはいえ本書礼賛が常軌を逸しているからである。 日本側の事情が変更になったから書評をするというのも奇妙な話だ。しか