ソマリア、アフガニスタン、パレスチナ。民族紛争は世界のいたるところで起きている。紛争国(紛争終結直後の国も含む)にとっては、いかに多民族の間の対立を融和させ、平和をもたらすことができるか、または民族紛争をどう予防するかが重い課題だ。民族紛争の火種を抱える国家の平和構築のやり方について考えてみたい。 パレスチナ人への措置は差別? パレスチナ人にはイスラエルの市民権を与えない――。イスラエルの高裁は先ごろ、こうした司法判断を下した。イスラエルは通常、イスラエル国籍をもつ人と結婚した外国人配偶者に市民権を与えている。ところがパレスチナ人の配偶者のみは例外。人権団体はこれを差別として、是正を求めていた。 イスラエルのこのやり方は、一見すると非人道的・不平等と映らなくもない。しかし植民地支配の名残などから民族構成が複雑となった国家がこうした“規制”を設けることは珍しくない。なぜなら「民族問題」は紛争