【マニラ矢野純一】米国がアジアにおける軍事プレゼンスの強化を打ち出し、フィリピンとの関係強化を進める中、フィリピンと中国の間であつれきが生じている。中国共産党系の情報紙「環球時報」が社説でフィリピンとの経済関係冷却化などの制裁をちらつかせ、これに対して、フィリピン国会で「脅しだ」と反発する声が上がっている。経済分野での中国依存が強まっている事情から、フィリピン政府は社説を直接的には批判せず、中国を刺激しないよう配慮している。 米国とフィリピンは1月末、ワシントンで開かれた国防・外務両省の高官級協議で、中国の南シナ海での軍備拡張を念頭に、軍事協力を強化することで合意した。軍事演習の規模や回数を増やすことなども協議した。 協議について1月29日付環球時報は「フィリピンにバランス外交のツケを支払わせろ」と題した社説を掲載。「フィリピンは処罰するのに最適な標的だ。(処罰によって)米中間でバランスを