太平洋戦争終戦直前まで劣勢を挽回しようと旧海軍が島田市内で開発していた秘密兵器「強力電波兵器」。市内の牛尾山に唯一残る実験所跡が大井川の河川改修で削られることになり、初の発掘調査が行われる見通しになった。ただ、記録だけの保存にとどまる可能性が高く、地元からは実物の保存を求める声も上がっている。 実験所は「第二海軍技術廠牛尾実験所」。現在の特種東海製紙敷地内にあった「島田実験所」の疎開先として終戦間際に建設が進んだ。当時の島田市には第一線級の科学者が出入りし、大きなパラボラアンテナで強力な電波を照射して、敵飛行機を故障させる実験をしたり、動物への影響を調べたりしていた。 島田実験所跡が失われてしまった一方、牛尾実験所跡には施設の基礎や建設途中だったパラボラの土台のコンクリートが生々しく残る。牛尾山は国土交通省が昨年9月に着工した大井川の流れを円滑にする「平成の大改修」で削られる運命にある