下手を打った(ミスをした)暴力団組員が、反省や謝罪を表す手段として自身の小指を切断するとされる「指詰め」。このヤクザの習わしをめぐる公判で、検察側と弁護側が激しい応酬を繰り広げている。配下の組員に自身の小指を切断させたとして強要罪に問われているのは、指定暴力団山口組の直系組長ら2被告。度重なるミスに激高した組長らが「お前はとろいんや。指を詰めて組をやめろ」と組員に命じたとする検察側に対し、組長らは「命じたことはない」と全面否認。5月7日の被害者の証人尋問では指詰めの方法をめぐり、弁護側が「切れるわけないだろ、バカ」と怒鳴れば、検察官が「バカとはなんだ」と応酬するなど怒号が飛び交う場面もあった。 ■「指ちぎって、けじめとれ」 4月25日午後、大阪地裁407号法廷は物々しい雰囲気に包まれていた。出入り口ドアの前では裁判所職員による厳重な所持品検査が行われ、廷内には通常の倍の刑務官の姿があった