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_ セマンティックな構造に目を向けるようになるには? TeXユーザの集い2009に参加してきた.いまどきのTeXの中身を概観するには非常によい機会でした. 話は脱線して,というより今日はこれが本題だが,ここ最近感じているのは,LaTeXのエンドユーザの裾野が思った以上に広がっていないのでは,ということである.ひとつの要因は,おそらくセマンティックな構造に目を向けながら論文などをまとめることに対する敷居の高さだろう.MS Wordなどでも構造に目を向けた文書編集は可能なのだが,たとえばそのような構造の定義があらかじめなされた論文のテンプレートが指定されている場合でもなければ,用いられることはあまりなさそうだ.このような状況で頭ごなしに「セマンティックに考えたらどうだ?」と主張したところで,なかなか伝わらないだろう*1. そこで,次の方法をとるのはどうだろうか: フォントも何もかも勝手に自分で
_ 錯覚だらけの学力低下議論 三角錐の体積が計算できない技術系新入社員---深刻な若手の学力低下 - 日経ものづくり - Tech-On!*1. これに対する産業界からの俗流ゆとり批判について - 技術教師ブログの指摘はごもっとも.ここで指摘された学力低下の要因は『学力低下は錯覚である』の「縮小のパラドックス」そのままの話.また,最近の若者が精神的に弱いのではない、最近の年長者たちが求めるものが多すぎるのだ。 とした点については,別の見方をしている.「若手=未熟者,年長者=熟達者」「若手の学習=年長者の経験・知識の伝わり具合」といった見方を変えないことや,年長者が自身の経験・知識を絶対視し,現状にそぐわない知識をアップデートしようとしないことを問題視したい*2.まあ正面突破を試みてもそう簡単にうまくいく問題ではないので,自分の立場や能力なりの作戦を練りたいところ. *1 余談だがエムダッシ
_ ゴールはひとつでもゴールへの道のりはひとつでないし,そもそもゴールがひとつとも限らない コメントを受けての回答.短いコメントゆえどのレベルの質問なのかわからないが,少なくとも3つの考え方がある. 答えはひとつだとしても,やり方は人それぞれでは? 答えがひとつの問題ならば確かにパターン認識という考え方をする方が効率がよい.しかし,パターン認識的方略を身につける方法は人それぞれだろう.暗記物の問題だったら,小学生時代の私なら適当に傾向の合いそうな問題集を用意して丸暗記するような方法をとっていたと思うが,丸暗記のスキルの程度によっては別の記憶の方略を用いる方がいい学習者もいるはずだし,どの方略がよいかを考えることこそメタ認知の問題だ.答えがひとつの問題であっても,学習方略は多様であるはず.個々の学習者のこうした工夫というか,努力の質というか,そういったものが評価される場も必要と考えている.
_ もしかしたら,それは論理的思考ではないかも知れない たまには書かねば,ということで.大変ご無沙汰しております. 三角ロジックベースの論理構成を扱うと,自分でbackingやrebuttalを考えなくなり主張の妥当性の詰めが甘くなる傾向があると思う.理由をいくつか考えているのだが,だいたい以下のものだろうか: そもそも三角ロジックがToulminモデルからclaim,data,warrantを抜き出したものでbackingもrebuttalもそもそも要素として入っていないのが最大の要因であろう. 三角ロジックの説明をみるとToulminモデルでいうbackingの代わりに,必要に応じてwarrantをclaimとして論証することで階層化することが求められている.この「必要に応じて」というところが曲者で,主張する側が必要と判断しない限りはいい加減なwarrantでも放置されてしまう可能性が
_ 推薦システムをパーソナルビューで見直す ここでも何度か書いているが,院生の頃から推薦システムの研究に引っかかりを感じていた.引っかかりの原因は「新たに開発した推薦システムを利用することでユーザの情報探索の負荷を下げる」という「推薦システムの有無」ないし「推薦アルゴリズムの違い」という問題に落とし込もうとしているという点にある.Norman流にいうならこれは「システムビュー(system view)」*1,つまり「設計者の視点から新たな人工物の有無によるユーザの負荷の違いをみる」という見方である.ここで,Normanがシステムビューと対照的な概念として示している「パーソナルビュー(personal view)」,つまり「ユーザからみて推薦システムの挙動はどう見えるのか」「推薦システムによってユーザの情報探索という行為はどう変化するのか」という視点から,「推薦システムのアルゴリズム(1,2
_ 本質は辺境に眠っている 身体知研究会に参加してきた. 招待講演の田村さんのお話が実に面白かった.前半は買い物行動モデリング,後半はextreme userに基づく意思決定についてのものであった.extreme userとは端的にいえば極端な行動をとるユーザのことを指す.様々な基準をもとに,その基準の分布の端(上側だけでなく,下側も大事!)にいるextreme user数名に焦点を当てインタビューなどで徹底的にリサーチすることで,分布の真ん中にいるユーザが目指しているのはどこかをあぶり出すというもの.まさに『マイクロトレンド』の方法論を実践で使い倒すアプローチ.非常にぐっときた.質疑の際にペルソナ法との比較についても触れられていたが,ペルソナ法はペルソナ形成にとにかく手間がかかるし,できあがったペルソナにしても結局データにもとづいて作成される架空の存在である点が問題になる.これと比べると
_ 尻尾の先をじっくり観察したことがありますか? 修士時代の話.とある人工知能の某有名な先生に「ユーザの認知に踏み込んだ研究をしたいのだが,どうすればよいか?」という質問をしたことがある.この時は「認知の話は難しいから,下手に踏み込むな」と釘を刺された上で「遺伝的アルゴリズムのような進化的手法でユーザモデリングをやるといい」という回答をいただいたのであった.ところが,ほぼ同じ時期に別の先生に自分の研究が行き詰まっている話をしたところ,前述のスタイルの先生を説得して自分の研究をやるのがやり方だ,とした上で「とにかく人間を観察してヒントを探すことが大事」という回答をいただいた.前者か後者かどちらか一方のみを追求して,うまくいかずに悩むという壁によく院生はぶつかると思う.だが,私の場合はそれ以前の問題で,前者の方法論がドミナントな場でいかに後者の方法で研究するか,という本来のスタートラインよりず
_ 自分で「自己の内部モデル」を更新する かねてからの疑問.『自分探しが止まらない』で典型になっているような,突然人生のリセットボタンを押すがごとく環境を変えたり,「自分の中に眠っている才能を何か(or 誰か)が引っ張り出してくれるはず」と考えている「自分探し」をする人々は,自分で「自己の内部モデル」を更新するような自己観(たとえば諏訪先生の「メタ認知」モデル)を受け入れられるのだろうか.こういった人々は,「自己の内部モデル」は不変と思い込んでしまっている,ないし「自己の内部モデル」は自分の力で変えることができないと思い込んでおり,これまで置かれてきた環境を全否定したり,「自分はどういうカテゴリに属する人間なのか?」を知るだけで満足したりしてしまうのではないかと推測している.このような自己観をもつ人々が,自身が経験をもたない,ないし否定してきたと思われる自分で「自己の内部モデル」を更新する
_ 「アンチロールモデル」思考法? 『ウェブ時代をゆく:いかに働き、いかに学ぶか』を読む.梅田氏の「ロールモデル思考法」は一ツ橋の研究関連で以前から引っかかるものがあったのだが,これを読んだり今回の国際会議で批判的思考とは何かについて考える機会があったりしたので,考えを深めることができた. 結論から言うと,ロールモデル思考法は「なりたい個性的な自分」の当たりがついている段階で慎重に考えるなら役に立ちうるが,多くの人間にとってはその段階以前のところで迷走しているので,いきなりロールモデル思考法に手を出すと危険ではないか,ということだ. 私のロールモデル思考と、あなたのロールモデル思考、また別の人のロールモデル思考は全く異なる。人の個性そのものであるからだ。 強調部分は鈴木による.そもそも,自身のキャリアの中で「個性」が発揮できている人間がどの程度いるのだろうか.野球を始めたての少年が「イチロ
_ 博士論文LaTeXテンプレート そういえばリクエストがあったのを長らく忘れていた.申し訳ないです.私が使ったものを置いておきます.ドキュメントができていないので,ひとまず必要に応じて適宜いじってお使いください. _ 今月のCATKAT 例によって私が後出しです. 1件目は渡邊さんの「知覚行為循環とインタラクションデザイン」.以前CATKATで味ペンの話を紹介したところウケがよかったし,ここ最近のCATKATの発表内容の傾向からすると知覚原理に基づく感覚情報提示の発表もあってよいのでは,とインタラクション2008の懇親会会場でふと思いついたので発表をお願いしたのであった.HCI系の学会や研究会ではまず出て来ない,深くかつ本質的な議論が予想以上に出てきて,非常に面白かった.いままで力覚提示系の研究はハードウェア(佐伯先生の二重接面論でいえば「第一接面」)をどうするかという点に大きなウェイト
_ 学術系ポータルサイトのWeb API? shinoさんの発言を受けて思いつく. Scopus(解説)やCiteULikeのように国内の学術系ポータルサイトもWeb APIを公開して欲しいと思う.GeNiiやJSTのデータベースあたりのWeb APIを可能な限り公開して,それでこれらを利用したマッシュアップのワークショップを開いて,ユーザエクスペリエンスの専門家などにも加わっていただきながらワークショップで出たアイデアをポータルサイトの本サービスにフィードバックする(←ここ重要),ということができるとよいかと思う.まあ「かっこいいけど使いづらい」タイプのサービスばかり集まる可能性もあるが,「ここが使いづらい」というユーザの声を吸い上げた上で新しい機能の提案につながらないかとも思うので,こういう試みを一度見てみたい.ここをご覧の一ツ橋の皆様およびその関係者の皆様,いかがでしょうか?
_ 査読の仕事が降ってきた 2本同時に降ってきた.1本目は守備範囲ど真ん中の内容なので3時間で回答書が9割埋まる.残り1割は引用文献(オフラインで取り寄せるほか入手手段なし)を読まないと書きづらいのでペンディング. 2本目も7割くらい回答書を埋めたつもり.守備範囲ぎりぎりの内容ゆえ,もう少し寝かせてからまとめ直したい. _ タイムラインインタフェースの実例と論文を探す API SIMILE | Timeline 古巣との仕事について最初フルスクラッチでFlashで作ろうとも思ったが,ひとまずこれを利用して最初の実験は乗り切りたい. サービスの例 @nifty TimeLine Flashベース.縦軸の設定が可能. 24o'clocks Twitterの自分とFriendの発言を時系列で並べる. ライフペディア Timeline API利用.自分のブログやミニブログのRSSを引っ張ってきて各
ICUは英語教育に力を入れていることで有名といえば有名なのですが, その中で通常2年次にほとんどの4月入学生が必修となっている 「論文作成法(Theme Writing)」があります. 基本的にここではどのようなテーマで論文をまとめても 構わないのですが,インストラクターが全員言語学や それに近い分野の方々ばかりなので,たとえコンピュータサイエンスに ついてまとめた論文だとしてもMLAのフォーマットが要求されます. ここでは,私が実際に「ワープロの有害性とその解決策としてのLaTeX」 について論文を書いた実体験をもとに,どのようにMLAのフォーマットに合わせたのか, そしていかにICUの英語教育に矛盾が含まれているかという点を 突いていきたいと思います. 目次 ICUの英語教育の理不尽 実際のアプローチ ページの空白の類 ヘッダとノンブル 日付 見出し 文献の引用・文献リスト 表紙 フォ
_ Webの解析の研究は例となるリサーチクエスチョンの質で決まる? ブログで職業、性別、配偶者の有無が分かる? キーウォーカーがリサーチサービス. こういうサービスはサービスを提供する側よりも,どうもサービスを利用する側のリサーチクエスチョンの立て方の方が重要なのでは,と最近思っている.Webマイニングの研究を見ていても,方法論以前に「○○について調べたい」という例の面白さで研究の質が決まってしまっているように思う.こういう例となるリサーチクエスチョンの立て方から研究の質が決まるのでは,と考えているわけだ.たとえばリンク先のリンク先にある記事にとりあげられている以下の例に注目: 「タイガース」だと大阪府と兵庫県で言及が多く、男性による言及が8割。「日ハム」だと北海道の学生による言及が多い――などといった傾向が読み取れる。 この程度のことならこんな仰々しいサービスを使わずとも予想はつくわけで
_ 実験・解析のスキルを解剖したい 「こんな研究がしてみたい」シリーズその3.今日の話は書いてみてから自信がなくなってきた. その1:先の問題より目の前の問題からまず何とかして欲しい―研究者のキャリアデザイン その2:集合知の議論に存在する「素朴協同行為」観に一石を投じたい たとえば一ツ橋の研究室関連で日本語バイオポータルというプロジェクトがある.ものによっては雑用ながら関わっているので関連の学会発表では私の名前が入ることもある.さて,この中で実験や解析の手続きのオントロジー化により,「解明したい問題はある程度明確なのだが解決手段がうまく組み立てられない」などという場面で実験や解析の手続きの組み立てがしやすくなるようにしたい,という研究がある.実験や解析の手続きの外化・整理自体は当然ながらニーズがあると思われるが,「オントロジーのソースから漏れた手続きはどうやればいいのかわからない」という
_ ひと段落ついたわけだが やはり今週末に予定を入れなくて正解だった.時間がなさ過ぎる. 明日の夜には認知科学会に申し込む予定. 某共同研究の件で火曜日に関係者の発表があるので,その時のための立ち話用に軽い資料でも用意したい.文章にしてもスライドを作っても直観的に伝わらないのでマインドマップに起こそう.サーベイが少し必要なので,やらねば. _ 「ディック・ブルーナモデル店舗」モスバーガー国立店,4月22日オープン via eto.com/d.一橋大に用事があるついでに行きたい.思えばこの前無事採録決定となった修論の研究の中身を思いついた場所は「キッチンモス」という名前だった頃のここのモスだった.その意味で個人的に感慨深い場所である. _ せめて読んだ本のメモくらいは残さねば 肩肘張ってそれなりの批評っぽいことを書こうと思うからいつまでも考えが進まないのだ.だから本の中の気になる場所をパラフ
_ 良い協調学習,悪い協調学習,普通の協調学習 今月のお題は「学習科学とICTは学びのあり方を変えるか — 高等教育の変革を事例として —」.今回お話しされた御三方のお仕事はいずれもどこかで以前本を読むなりプレゼンを聴くなりで予習済みであったので,復習とクリティカルな批判に徹するべく集中しながら聴いた. Roy Pea先生のDiverの話は6月にフィンランドで聴いていて,その時は「アノテーションの機能がいろいろくっついたYouTube」程度の理解しかできなかったが,今日改めて聴いてみて非常に大事な問題を含んでいると気づいた.映像ファイルの中の「時刻t1からt2における特定のオブジェクト」をマーク,かつアノテーションまででき,それを複数のユーザで共有できるため,他者との映像の見方の違いの外化・共有までもがDiverの上でできる,というわけだ.同じ映像を見ていてもエキスパートはノービスと比べ違
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