お金を貯めるにはどうすればいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「安さとはただの錯覚だ。客の金銭感覚をバグらせる“お得感”には注意してほしい」という――。 「お得感」のある数字の罠 お金をムダにしたくない人ほど、価格にシビアになるものだ。それは単に安い価格のモノを選ぶことではない。そのモノやサービスにつけられた値札を見て、その金額を払う価値があるかをまず考える。もちろん、高ければ買わないし、安いと感じればお買い得だ。それが瞬時にできる人は、買い物で失敗はしない。 ところが、自分の見ている値札の数字が「絶対値」ではなく、伸び縮みするとしたらどうだろう。私たちの「高い・安い」は、ただ錯覚によって操られているだけだとすれば。 特に高額品を買う時、しばしば厄介な錯覚を経験する。ブランドショップに入る前、何気なくショーウインドウの品物が目に入ったとしよう。その値札が曲者だ。 500万円の