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「書籍の閲覧」と説明されているが、人と密かにあっていたのではないかとの憶測を呼んでいる。議事堂に隣接、利用者の出入りが少なくない施設での〝密談〟としたら大胆だが、灯台下暗しか、意外にも穴場であるらしい。 政治家のひそひそ話の場としてだけでなく、国民や政策立案のために膨大な資料とサービスを提供する施設でありながら、その本質的な役割は意外と知られていない。存在に脚光が当たるかもしれない。 「書籍や資料の閲覧が目的」 報道によると、首相はその日午前8時半過ぎ、首相公邸を出るとそのまま議事堂隣接の国立国会図書館へ向かった。「本や資料を読みたい」という首相の希望という。 具体的に何をしたのかつまびらかではなく、それだけに「ほかの政治家と会っていたのではないか」「後半国会や夏の参院選に向けて想を練った」との見方がなされている(時事ドットコム、4月2日16時50分「石破首相、国会図書館に1時間超 自民か
サバは日本沿岸のみならず公海域にも分布しており、現在日本のほかに中国とロシアが漁獲している。こうしたサバやサンマといった太平洋の公海域に跨って生息する水産資源の保全管理を行うため、「北太平洋漁業委員会(North Pacific Fisheries Commission: NPFC)」という国際漁業委員会が15年に設けられ、国際的な協調が図られている。 本部事務局は東京・品川の東京海洋大学キャンパス内にある。品川駅の港南口からだいたい徒歩10分の距離にこじんまりと構える。 NPFCは毎年3~4月に年次会合を開催しており、本年も3月下旬に大阪で開催され、筆者も一部傍聴参加した。この会議では、サンマとともに北太平洋のマサバ漁獲枠を一定程度削減する合意が成立した(サンマに関してはWedge ONLINEで先日アップされた別稿「これでは「サンマ獲りすぎ大国・日本」になる!」を参照されたい)。しかし
昨年以来、中国の対日姿勢は軟化している。その動機は、中国が西側諸国に極度に敵対的な姿勢を示すかつての戦狼外交が国際的な嫌悪感をまねいたこと、自国経済の不調、同盟国に冷淡なトランプ政権の成立にともなう西側陣営の切り崩しといった事情が考えられるだろう。 一方、なぜか中国が異常に「攻め」に出ているのが、沖縄に対する各種の工作だ。昨年末、筆者は『週刊現代』(講談社)誌上で、沖縄県の玉城デニー県知事や中国共産党の統一戦線工作部につながる在沖縄中国人ら、さまざまな人に話を聞いてその実態を報じた。 今回は、Q&A方式で現状を説明していくことにしよう。 繰り返される中国要人の訪沖 ──最近、中国が沖縄に盛んにアプローチしているという話をよく聞きます。具体的には何が起きているのでしょうか? 2023年6月ごろから、中国の沖縄に対する関与が急激に活発化しています。たとえば、SNSや動画サイトでは「琉球独立」や
レアメタル貧国・日本の大復活劇の始まりか?レアメタルを使わない「ペロブスカイト太陽電池」が世界を変える いよいよ始まる大阪・関西万博のバスターミナルでは250m超の曲面構造に設置された、ペロブスカイト太陽電池(PSC)が入場者を迎えてくれる。 僕の商社マン時代にはペロブスカイト構造のチタン酸バリウムを取引していたので懐かしい名称だ。 ペロブスカイト構造とは結晶構造の一種であり、自然界に存在する鉱物であるペロブスカイト(灰チタン石)と同じ結晶構造を持つことが名前の由来となっている。英語でペロブスカイト電池を(Perovskite Solar Cell、英略:PSC)と呼ぶので本稿ではPSCと略称を使いたい。 さて、地球温暖化や環境問題が深刻化する中、再生可能エネルギーの重要性が高まっている。特に太陽光発電は、そのクリーンさと持続可能性から注目を集めており、PSCはその中でも高効率かつ低コス
東京電力福島第一原発事故から14年が経過した。福島県内の中間貯蔵施設に運ばれた除染土は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法に中間貯蔵開始から30年以内、すなわち2045年までに福島県外最終処分を完了させることが国の責務と明記される。 一方で、住民の安全と安心を一刻も早く確保するため早急かつ大規模に集められた除染土の汚染レベルには大きなグラデーションがある。半減期による減衰もあり、今やその約7割近くが放射線被曝リスクの観点からは一般土壌と大差無い状況となっている。 これら全てを一律に「放射性廃棄物」扱いで最終処分しようとした場合、莫大な予算と敷地が「福島県外で」求められる。それらのコストは全て、東京電力圏内を中心とした電力料金や、我々一人ひとりの税金によって間接的に賄われる。 そのため、貯蔵された除染土全てを汚染レベルによって分別し(既に貯蔵時にそのように分別保管されている)、リスクが一般土壌
2025年1月7日の記事「【世界とずれまくる日本の物流】荷物を載せるパレットの標準化図るも国内だけの狭き視点、アジア標準ともほど遠い」で筆者は、パレット発祥の地である米国や、最大のパレット利用地域である欧州、そして近年パレットの普及が著しい中国のパレット運用の現状を鳥瞰した。グローバルな標準化のトレンドとして、欧米型パレットへの移行が不可欠であると指摘した。 そこで今回は、さらに理解を深めるために、日本のパレチゼーションとユニットロードシステムの歴史を辿りながら、それがどのように現状につながったのかを述べることとする。 尚、今回の執筆に当たって、物流博物館主任学芸員の玉井幹司氏に、「荷役近代化の父」平原直に関する資料を含む多くの情報を共有頂き、長時間の取材に応じて頂いた。この場をお借りして、ご協力に御礼申し上げたい。 フォークリフトの大国なのに普及しない一貫パレチゼーション 国土交通省主導
SNSの影響力が増す中、容易に変えられないものがある。それは「社会」であり、「人間」だ。本記事では、歴史的な出来事から浮かび上がる人間の「本質」や「特性」を挙げる。それらを踏まえ、民主主義をどのようにして守り、育むのか、加えてこれからの日本が歩むべき道を考えるために必要な視点を提示したい。 「Make America Great Again」、「America First」──。 「自民党をぶっ壊す!」、「改革なくして成長なし」──。 「東京大改革」、(2016年東京都知事選での)「7つのゼロ」──。 言わずと知れた3人の言葉だ。 ワンフレーズで威勢がよく、実現に向けた明確な根拠はなくても、多くの人の耳に残っている。 これらは繰り返しメディアで報じられ(表示され)、ある種の〝力〟を持ち始める。 やがて、人々は熱狂し、信奉者たちによる集団が形成されてゆく。 「群衆」の誕生である。 だが、群衆
ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻に伴い経済制裁を受けており、その経済は疲弊しているはずである。にもかかわらず、ロシア経済は大した打撃を受けず、プーチンの支配は盤石であるように見える。 プーチン体制の恐ろしさ ソ連は、1978年から89年にかけて10万人の軍隊をアフガニスタンに送り、うち1万4000人以上の戦死者を出した(負傷者は通常、戦死者の4倍程度とされている)。これでソ連は共産主義傀儡(かいらい)政権を作ることを諦め、軍隊を撤退させた。 このことから、筆者は、ロシアが1.4万人以上の戦死者を出せば諦めると思っていた。ところが、2025年2月までのロシアの戦死者は9万5000人以上で、さらに、14万人から最大で21万1000人以上に上る可能性があるという(「“ロシア軍兵士 死者数は9万5000人以上” 英BBC独自調査を報道」NHKニュース2025年2月22日)。それでも、ロシアに
選挙における平均投票率86%を誇るデンマーク。同国はインターネットの普及率が2023年時点で98・78%に上る「デジタル先進国」でもある。デンマークの民主主義はデジタル化に伴う負の影響を受けているのか。 安岡美佳(Mika Yasuoka-Jensen) デンマーク・ ロスキレ大学 准教授 京都大学大学院情報学研究科修士、東京大学工学系先端学際工学専攻を経て、2009年にコペンハーゲンIT大学博士号取得。05年より北欧(スウェーデン、デンマーク)在住。北欧研究所代表、一般社団法人スマートシティ・インスティテュートのエグゼクティブアドバイザーなどを兼務。 デンマーク在住16年のロスキレ大学安岡美佳准教授に話を聞いた。 編集部(以下、─)デンマークの選挙では、デジタルはどう活用されているのか。 安岡 基本的に選挙活動はフィジカルとデジタルのハイブリッドだ。 選挙期間中に各地で開催される候補者と
日本人の稲作は、時に農政に頼り、あるいは農政に翻弄されてきた歴史がある。しかし、これからの稲作農家に必要なことは自ら考えて経営することだ。「Wedge」2025年3月号に掲載されている「食料危機の正体 日本の農業はもっと強くできる」記事の内容を一部、限定公開いたします。 農林水産省「農林業センサス」によると、稲作の「法人経営体」は2005年の3443から、20年には約1.2万まで3.5倍に増えた。一方「個人経営体」でみると、約140万から約70万と、半減。コメ農家の減少が、コメ不足に拍車をかけるとの指摘もあるが、同じ期間の作付面積は約165万ヘクタールから約137万ヘクタールと2割しか減っていない。生産量も約906万トンから約776万トンと同じく2割弱の減。コメ農家は半減しているが、生産量は2割程度しか減っていない──。 「あくまで思考実験ですが」と前置きしたうえで、茨城県龍ケ崎市で800
奈良県北東部に伸びる“山辺の道”。日本最古の道とされ、道沿いには田園風景とともに数々の古墳や史跡が広がる。年間30万人が訪れるという人気のハイキングコースだ。 ルートの一角にある西山塚古墳(天理市)は、全長114メートルの前方後円墳で、墳丘に登ると、古代史の舞台である奈良盆地を一望できる位置にある。その裾野に3月20日、 cofunia(コフニア)と名付けられた民泊がオープンする。
まずもって今回の岩手県大船渡市の山火事で被災された皆さんにお見舞い申し上げます。 つい先ごろの能登半島地震・豪雨災害とも重なるのだが、急峻な山が落ち込んで入り組んだ海岸となった地域での出来事で、またしても山間部独特の被害対策の難しさを感じた。14年前の大津波に続いて長期間の避難を余儀なくされる住民であるが、そんな中で再起の決意を語る人も多く、不屈の農山漁村を応援したい。 今回の山火事の第一の原因は、降雨が例年の3%程度と極端な乾燥下にあったことである。また、焼失面積が拡大したのは強風が続いたのと著しい風向の変化であろう。そうした状況下にあるにもかかわらず、失火を起こしてしまったことに後悔がある。 2017年に北隣の釜石市で大規模な山火事があったことは記憶に新しいはずであるが、それにもかかわらず同じことを繰り返すのは、個人だけではなく社会全体の問題である。行政は山火事への警報のようなものを出
卵が明太子の原料にもなるスケトウダラ(スケソウダラ)は、日本でも多く捕れる白身魚だ。焼いてもよし、煮つけにしてもよし、鍋にしてもよし。カマボコやチクワの原料にもなる。日本周辺のスケトウダラには、太平洋の沿岸域から沖合域にかけて分布する太平洋系群、日本海の北海道沿岸に分布する日本海北部系群などがある。
取材班が訪れたのは2024年6月8日、この日の天気は快晴。朝の光が強くて、まぶしい。まるで、ヨーロッパの美しい農村を連想させる景色だった。 ギー、ギー、ギー……。 ひっきりなしに鳴り響く音に「何の鳴き声ですか?」と聞くと、髙森さんが「エゾハルゼミですよ」と教えてくれた。本州では聞くことのない独特な鳴き声だ。牧草地に足を踏み入れると、白黒模様のホルスタイン牛や茶色のブラウンスイス牛が、人間なら息が上がるほどの急斜面をぐんぐん上り、ひっきりなしに牧草を食み続けていた──。 酪農家といっても、髙森さんのように、自ら放牧を行う酪農家は日本全国で15・1%に過ぎない(22年度)。 日本の酪農は「規模拡大こそが成功の証し」とされ、多くの酪農家は牛をできる限り増やそうと努力を重ねてきた。効率的に牛を管理し、乳を搾り、コストダウンを図ることを優先した結果、ほとんどの酪農家は牛舎で密飼いしているのが実情だ。
「自分の身の潔白は証明された。捜査は魔女狩りだった」 モラー特別検察官報告書による告発を逃れ意気揚々のトランプ大統領に対し、今度は、実業家として活躍した当時の不明朗な外国資金、とくに巨額のロシア・マネーの流れを究明する米議会の動きが本格化してきた。 米下院の金融サービス委員会(マクシン・ウォーターズ委員長)および情報活動委員会(アダム・シフ委員長)は今月15日までに、トランプ不動産関連事業の総本山「トランプ・オーガニゼーション」(本部ニューヨーク)と深いかかわりのあったドイツ銀行のほか、JPモーガン・チェイス、バンク・オブ・アメリカ、シティ・グループなど大手数行に対し、トランプ氏の過去のロシア関係金融取引について徹底的にメスを入れるため、関連書類の提出命令を出した。 とくに欧州最大手のドイツ銀行はソ連崩壊以来、ロシアおよび東欧諸国との取引拡大に乗り出し、プーチン政権人脈とも緊密な関係を維持
「売却する覚悟はあるが、売却方針を決めたわけではない」。2月4日に開かれたパナソニックホールディングスのオンライン決算会見で、楠見雄規社長兼グループ最高経営責任者(CEO)が同社のテレビ事業についてこう発言すると、日本の産業界には大きな衝撃が走った。 関西の家電業界では昨年10月にもテレビ大手の船井電機が破産したばかり。楠見氏は白物家電や空調、照明事業などを手掛ける中核事業会社「パナソニック」の解体に言及し、各メディアは一斉にパナソニックのテレビ事業撤退の可能性を報じた。 同社はかつての「家電王国ニッポン」の代表的企業であり、日本の大企業経営の雛形ともいわれていただけに「パナソニックよ、お前もか」と誰もが耳を疑った。 「パナソニック」は解散し、3つの事業会社に分割 パナソニックが発表した再編計画によると、事業会社のパナソニックは2025年度中に解散し、白物家電を手掛ける「スマートライフ」、
東洋水産がXで公開したショートアニメCMが議論を巻き起こしている。若い女性が自宅で「赤いきつね」(インスタントうどん)を味わうシーンに、一部から「性的である」「不快」との意見が寄せられた。 女性は露出度の高い服装をしているわけではないが、頬の赤らみや口元のアップ、髪を耳元に上げる仕草といった演出表現が不適切だという。広告コンサルの中村ホールデン梨華氏は、(1)非現実的な女性表象、(2)男性版との頬の赤さの違い、(3)つまり男性視線の広告が根底にあると指摘する。 立命館大学院先端総合学術研究科の戸谷洋志准教授は、「女性を性的に描くことを自明とする社会において、女性は公共空間において性的な言動を差し向けられ、その脅威を回避するために、そこから排除される。そこには明らかな差別がある」 「『僕はあれは全然性的だと思わなかった』と主張する人は、公共空間において性的な言動の脅威に苦しむ人の生き辛さを1
報道されていますが、マサバが獲れない状態が深刻化しています。水産庁が来シーズン(2025年7月~26年6月)の漁獲枠を8割減らすことも伝えられています。 筆者はこれまで、科学的データに基づいて何度も様々なWEB媒体で、「このままでは危険である」と指摘してきました。実際にいない魚をいると仮定して漁獲枠を設定してしまうと、結果的に幼魚まで一網打尽で獲り過ぎてしまいます。 世界では、国連食糧農業機関(FAO)に定められている「予防的アプローチ」に基づいて行動している国々の漁業が成長産業となっております。対照的に、現在の日本は予防どころか最後まで獲り尽くしてしまう傾向にあり、サバに限らず様々な魚が必然的に消えて行きます。そしてその理由が海水温上昇や外国漁船に責任転嫁される傾向が強くなっています。 筆者は北欧を主体に、長年国際的な水産業界と資源管理でつながっている唯一の日本人かも知れません。その視点
1月の就任以来、事前に抱かれていた不安を上回るハイペースで国際関係をかき乱している米国のトランプ大統領。今度はウクライナに対して、とんでもない要求を突き付けた。米国が行っている対ウクライナ支援の見返りに、ウクライナのレアアース資源を差し出せというのである。ウクライナのゼレンスキー大統領が28日に訪米し、その交渉がなされるとも報じられている。 ただ、トランプが目を付けたウクライナのレアアース資源とは、どのようなものなのだろうか? 筆者は長年にわたりウクライナの産業や経済地理をウォッチしてきたので、今回はその立場から騒動の顛末とその行方について考えてみたい。 原点はゼレンスキーの「勝利計画」 今回のトランプによるトンデモ要求の原点にあるのは、間違いなく、ウクライナのゼレンスキー大統領が2024年10月に正式発表した「勝利計画」である。この中でゼレンスキーは、欧米諸国による軍事支援の強化で対ロシ
そして、2月2日にはUSAIDの公式サイトがいったんアクセス不能となり、2月3日には同庁職員は庁舎に入らないよう指示された。また、2月4日に、USAIDに直接雇用されている人員は全世界的に休職処分となるとUSAIDの公式サイトで発表された。 2月23日には、職員約1600人の削減と、それ以外の職員の大半は23日深夜から休暇に入るよう指示された。USAIDは約130の国・地域で事業を展開しており、1万人以上の職員を擁しているとされるが、トランプ大統領はそれを約600人に絞り込む計画だと報じられている。 米国は世界最大の対外援助の提供国である。USAIDは数十年にわたり国際開発で重要な役割を果たしており、人道支援、経済開発、保健事業など、途上国を中心に様々なプログラムを展開している。その使命は、世界の安定と繁栄の促進で、貧困、疾病、政治的不安定などの問題を解消することだとされる。 USAIDは
イーロン・マスクの率いる米政府効率化省は、行政府による権力奪取を隠蔽するものでもあると、2025年2月11日付のフィナンシャル・タイムズ紙 が強く批判している。 先週、イーロン・マスクは、米連邦政府の官僚制度を攻撃する自らのプロジェクトを「人民の革命」と呼んだ。しかし実際は、トランプ大統領に支持された行政府による権力奪取のように思える。連邦政府機関の廃止、資金提供の凍結、政府職員への辞職の強要等は単なるリストラをはるかに超え、憲法が保障する三権分立と力の均衡を変えようとするものだ。 確かに米国の官僚組織の一部は肥大し非効率で近代化が必要だ。官僚組織を改革するには抜本的な取り組みが必要な場合も多い。しかし、そこには詳細な計画、透明性、そして監督も必要だが、現在のトランプ政権からはこれら全てが欠落している。 マスクの率いる政府効率化省は議会が設置したものではなく、行政命令で創られた曖昧な機関だ
2024年4月~6月のインド総選挙の結果、過去10年間破竹の勢いであったモディ―首相率いるインド人民党(BJP)の独走態勢にインド民主主義は待ったをかけた格好となった。前回の2019年の総選挙ではBJPは300議席を超えたが、今回は60議席減らして連立与党による政権維持を余儀なくされた。 2019年の総選挙の後、西インド・中央インドを歩いたが当時は熱烈なBJP支持者の若者の自信に満ちた声を数多く聞いた。(『ヒンズー至上主義とIT技術でインドは超大国になるのか』参照) 今回の南インド旅でも選挙で過半数割れとなったBJPを率いるモディ首相を根強く支持する声を数多く聞いた。やはりヒンズー・ファーストには根強い岩盤支持層があるようだ。 10月12日。1947年創業のムンバイのホステルは老朽化したビルの3階・4階にあった。現在のオーナーは3代目。初代の祖父は米国で長らく働いて資金を貯めて創業。オーナ
対応しきれないほどの多くの大統領令を矢継ぎ早に発動し、“監視役”の既存メディアを目くらまし状態に追い込む――。トランプ米政権が打ち出した「Flood Zone」と呼ばれる戦略がにわかに注目されている。 マスメディアや野党を“溺死”状態に 「Flood Zone」とは直訳すると、特定地域に「洪水」を引き起こすことを意味するが、トランプ第二次政権が繰り出した戦略は、大統領の意のままに行政命令を短期間のうちに集中的に発動し、批判的なマスメディアや野党を“溺死”状態にすることで追及をかわす狙いがある。 ニューヨーク・タイムズ紙は去る1月28日、「トランプの『Flood Zone』戦略で反対派を怒りと息切れ状態に」と題する緊急記事を掲載した。 それによると、もともとこの「戦略」は2018年当時、トランプ前政権下でストラテジストとして暗躍した極右思想家スティーブ・バノン氏が編み出したもので、大統領が思
トランプがすべての対外援助を90日間停止しその間に妥当性を検討するとの決定を行ったことについて、Economist誌2月1日号は、米国自身の利益を害し弱体化するものだと批判する社説を掲載している。 対外援助を非難するのは容易で、資金はしばしば浪費されたり盗まれたりするが、その恩恵は見えにくい。そして、外国人にお金を与えるということは、自国の有権者への還元を減らすことを意味する。そのため、アメリカ・ファーストのトランプ大統領にとっては理想的なターゲットとなる。 しかし、1月24日に国務省がほぼすべての援助を削減するよう命じたときのように、世界の多くの困窮者への援助が一夜にして消えてしまうと、その害はいたるところで目に見えるものとなった。診療所は閉鎖され、HIV感染者を治療する抗レトロウイルス薬が枯渇し、他のウイルスを制御するための活動が中止され、地雷の除去が中止され、難民への支援が消え去った
ジャーナリズムの報道姿勢の中には、様々な種類がある。定期的に公表される政府統計や企業業績など、ファクトを整理して伝えるのが一番手堅い1次報道だ。これに対して、ファクトを押さえた上で、将来見通しを加えたり、善悪など価値評価を行う論評を交えた2次報道、さらに複数の見解によりお互いの論争に発展する3次報道もある。 これとは別に、著名人の仮面を剥ぐスキャンダリズム、事実を誇大に表現するセンセーショナリズムといった、やや次元の低いアプローチもある。それとは別に、過度な表現で一部の読者には刺激を、そして多くの読者には不快感を与えるエログロ報道などもある。 人類の長い歴史において、表現の自由が必ずしも保証されていない時代も含めて、ジャーナリズムというのは、こうしたカテゴリーの中で展開されてきた。日本の歴史を辿るのであれば、昭和前期の放送の黎明期、明治期の新聞が発達した時代などもそうであったし、江戸時代以
神奈川県と米オハイオ州立大学、医療法人徳洲会、羽田空港を運営している日本空港ビルデングの4者は2月5日、最新の医療技術の発信や未病コンセプトの普及、国際医療人材の育成や研究開発など、医療・ヘルスケア分野でのインド・太平洋を中心とした地域の国際貢献になる取組の連携を強化するための覚書を締結した。 27年にはオープン これを具体化するために、オハイオ州州立大学と徳洲会は「国際未病・医療センター(仮称)」(IMCE)を、東京国際(羽田)空港旅客ターミナル内に2027年中に開設するとともに、徳洲会が運営する湘南鎌倉総合病院も日米間の医療研修などの面で協力することを検討する。 海外から外国人が多数訪れる空の玄関口である羽田空港で、日米の大学と医療法人が連携してインド・太平洋の患者を中心にした外来診療ができる医療施設ができるのは初めての試みで、この施設を起点にして医療分野でどのような国際貢献ができるか
トランプ米大統領の“独断専行”政治が世界を揺るがし始める中、自らのロール・モデルとされる19世紀末のウイリアム・マッキンリー第25代大統領との類似性に米マスコミの関心が集まっている。 唯一無二の「模範的存在」マッキインリーとは 「国民の皆さん。米国の黄金時代がいま始まる」――。去る1月20日、トランプ大統領就任演説はこの一言から始まった。 続けて「今日を境に、我々の国は繫栄し、世界中から再び尊敬されるようになる。すべての国の羨望の的なる」云々と意気込みを吐露した。 改めてこの演説全文を読み返すと、「再び信頼、富を取り戻す」「再び製造業の国となる」「再び豊かな国なる」……などのように「再び」という表現が繰り返し使われていることに気づかされる。 これは明らかに、評論誌「The Nation」が指摘している通り、ウイリアム・マッキンリー大統領(1897-1901)当時の「Gilded Age」(
元タレントの中居正広さんの女性トラブルにフジテレビ社員が関与したと報じられた問題は、まだ現在進行形であるし、被害者に対する十分な救済も、加害者の責任の明確化もできていない。従って、事件の具体的な詳細も明らかになっていないし、被害者の立場を考えると必ずしも全てを明らかにする必要はないとも考えられる。 けれども、アメリカから見ていると、事件発生の土壌となったとも言える制度や労働環境、あるいはビジネス風土というものには多くの違和感を持つのも事実だ。今回の事件と直接関係はなくても、メディア産業の経営環境や労働環境ということでは、参考になると思い、以下の議論を提起したいと考える。 未完成なアナウンサーというジョブ型採用 1点目は、局アナという位置づけへの違和感である。まず、実態としては、日本でもアナウンサーという職種は、珍しく専門職採用がされて専門職のキャリアが形成されることが多い。アナウンサーには
広島・安芸高田前市長で、2024年7月の東京都知事選挙で小池百合子都知事に次ぐ166万票を獲得した石丸伸二氏が25年1月15日、新党「再生の道」を旗揚げした。25年夏の都議選で全42選挙区への公募候補擁立を目指すという。 通常、政党というのは、同志が結集して政策を訴え、国民に協力と投票を呼び掛けるものだ。ところが、政策は、2期8年までの多選制限で、それ以外に何を主張しようが自由、他党との掛け持ちも自由で、共産党の方もOKという。つまり、党として訴える政策はないということだ。 さらに、石丸氏は選挙に出馬せず、これから候補者を公募し、今春までに候補者を決定するという。公募のプロセスは書類審査、テスト、面接の3つで、面接の様子はYouTubeで公開。決定した候補者には、「再生の道」が供託金の負担や、選挙のサポートなどを約束するという。選挙のサポートとはおそらくSNSの使い方などを指導してくれると
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