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アメリカ大統領選
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158. 転職エントリー (2023/11/1) 転職といっても大変お世話になっている神戸大学をやめる、という話ではありません。 11月1日付けで、私は現在の神戸大学100%のポジションから、プリファード・ ネットワークス(PFN)と神戸大学のクロスアポイントメントのポジションに移 動しました。もうちょっと細かいことをいうと、同日付けで神戸大学大学院理学 研究科惑星学専攻の中に共同研究講座「惑星計算学習学講座」というものがで きて、私はそこの特命教授とPFNの社員のクロスアポイントメント、というこ とになります。共同研究講座とはなにかというと、ほぼ寄付講座ですが、色々 大学側の都合で旧来の寄付講座とは別の名前で新しく作ったものであると思っ ていただければ大体そういう感じです。講座の運営費は PFN からでるので、 私の給料は(神戸大学分も)元は全部 PFN から、ということになります。 今
2. ローラー式滑り台の力学 (2023/1/9) すべり台の動摩擦係数の実測研究 (著者: 村田, 次郎 立教大学理学部、塩田, 将基 立教大学理学部) というプレプリントが公開されていました。著者の村田氏は立教大学理学部教授で、 塩田氏は2021年度の卒業生です。 研究の内容は大変興味深いもので、アブストラクトに 「重い人ほどすべり台を速く滑るのは何故か」という疑問を動機とし た,すべり台の摩擦に関する大学生の探究学習の実践例 とあるように、すべり台を滑る速さと重量の関係を調べ、その原因を検 討したものです。以下、これを「村田・塩田論文」と書きます。(あるい は単に「論文」) なお、滑り台といっても、小さな公園によくあるステンレスとかの板の 滑り台ではなく、ローラー式というもので、滑るところが板ではなくて 直径数センチのローラーが並んでいるものです。例えば ここに写真と図面があります。
156. 富岳から学ぶべきこととポスト富岳 (2022/4/20) 年度も変わって、牧野の旧理研AICS、現R-CCS での「粒子系シミュレータ研究チーム」も10年の年限ということで解散になりました。富岳開発のFS2020プロジェクト自体は前年度、2020年度で終了しており、プロジェクトリーダーの石川さんは既に2020年度末に R-CCS を離れています。 AICS を R-CCS に名称・組織変更し、機構長/副機構長も全て入れ換えた理事長は昨年度末で交代となり、理事も大きく入れ替わったようで、名称変更はプラスだったのか?という気はします。名称・組織変更(及び各センターのトップの入れ換え)は前理事長が進めたもので、AICS だけでなく基本的に全センターが対象になりました。新理事長がこれから理研をどういう方向にもっていくのかは注目されます。 一方、ポスト富岳は今年度にフィージビリティスタディ
153. 2021/11 Top500、Green500とゴードンベル賞から考える(2021/11/20) SC21 はハイブリッド開催で、日本からも R-CCS 松岡センター長を始め多くの 参加者が現地にいったようです。私は著者にはいってる論文もないので不参加 です。 まずは Top500、Green500 です。Top500 は富岳が4度目の1位です。但し、中 国の2システムが1EFを超えているらしい、とのことでちょっとそれどういうこ となの?という感じがあります。その1つは Sunway OceanLight であるらしく、 もう一つは Tianhe-3 で、FeiTeng Arm + Accelerator、さらにもうひとつ 開発中の2EF システムは Sugon で、プロセッサは AMD?、ということのようです。 Gordn Bell 賞には中国から 3 本がファイナリストに残っ
11. 東京と日本の現状と今後(2021/8/28) 7月にはいってから8月末の現在まで、東京だけでなく日本全体で、新型コロナ ウイルス感染者の急速な増加が続いています。 図 11 に東京、 図 12 に日本全体での、 新型コロナウイルス新規感染者の日毎の数のグラフを示します。横軸の「0」 は8月1日です。なので、-30 が7月2日、30 が8月31日となります。 東京のほうは、6月第2週あたりから増加に移り、7月最終週くらいまで増加 が指数関数的なものより加速したあと、8月にはいってほぼ増加が止まって 一定になっているようにみえます。 一方、全国のデータは、少し遅れて6月第3週くらいから増加に移り、やはり 7月最終週まで増加率が加速したあと、8月にはいってから増加のペースは 落ちたものの指数関数的な増加が続いているようにみえます。 8月最終週は増加が止まっているかもしれません。 まず問題
151. 富岳の Top500 3連覇と MN-3 の2度目の Green500 1位から、ポストエクサスケールを考える(2021/7/4) 2021年6月の Top500 は大きな動きはなく、富岳が 2020年6月、11月に続き3連 覇となりました。関係者の皆様おめでとうございます。一応牧野もこれの開発 プロジェクトの副プロジェクトリーダーだったので関係者ではあります。 富岳の1位が長く続いたのは、エクサスケールプロジェクトをもっている米中 どちらも開発が遅れている、ということの現れです。米国は当初は2018年予定 だった Aurora が(この時にはサブエクサでしたが)、Intel KNH のキャンセル をうけて2021年の予定だったのがさらに Xe が遅れて 2022年以降になる見込 みです。中国はいつまでにといっていませんが、2014年頃には 2018年にも、 という話だったのがと
図 10 に、イスラエルでの去年2月から6月24日までの新型コロナウィルス新規感染者の日毎の数のグラフを示します。 データ出典 左側は「片対数」グラフと呼ばれるもので、グラフの縦軸が 「対数」というものになっています。一方、右側が実際の数をそのまま縦軸に とっています。 左側を見ると、2021年6月後半はすごくグラフが急になっていて危ない感じが する一方、右側だとちょっと増えてるだけで大したことがないように見えます。 ここでは、どっちの印象が正しいか、それは何故か、をなるべくやさしく 解説しようと思います。 まず対数とはなにか、ということですが、左側のグラフの目盛りを見るとわか るように、 1, 10, 100, 1000, 10000 と10倍になると1つ目盛りが増えるもの です。算数としては、1の対数が0、10の対数が1、100の対数が2で、あとは順 番に100万の対数なら6、1億なら
33. 早野龍五氏の「科学的」(2021/4/12。4/13追記、修正) 早野龍五氏が 2/25 に 『「科学的」は武器になる』なるタイトルの著書を上 梓しました。構成担当として石戸諭氏の名前もみえます。 ここでは、まず、早野氏がいわゆる宮崎早野論文問題についてこの本でどのよ うな主張をしているか、ということだけを議論します。他にも数多くの問題が ありますが、それはまた別に論じることにします。問題の箇所は192ページの 最終行から196ページの最初の行までの3ページ強です。最初からみていきます。 論文といえば、僕は、自分も共著者になった論文について、内容の間違いを 指摘されました。伊達市から提供を受けた市民の計測データについて、分析 の計算式に誤りがあり、さらにデータが市民の許可を得ずに提供されていた という指摘を受けたのです。(192-193ページ) まず、「指摘」は「内容の間違い」では
9. 大量検査の感染抑制効果(2020/12/31 2021/1/1 ちょっと追記) 2020年は「東京で1日の新規陽性者1300人以上」というニュースでしめくくら れる、コロナウイルスの拡大に政府・都が適切に対応できないことが明らか になった1年でした。 ここでは、原理的にどのような方法で感染を収束させることができるのか、 について、数理モデルから(というほどではないのですが)改めて検討します。 いくつかの論文等ですでに提案されていることでもありますが、現在の 日本・東京ではどうか、ということです。 SEIR 的なモデルがよいという気もしますが、とりあえず SIR で考えます。 規格化した方程式系 としたものです。 が、感染者が減る時間スケールを与えます。 これは5日と最近いわれていますが、和歌山県のデータをみるともうちょっと 長い、7日程度かもしれません。 この時、例えば東洋経済の 新
6. 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)その2(2020/5/2) 5 では、 3月19日資料 について まとめると、専門家会議の R の推定は、そもそも使えるはずがない期間の値 を意味があるように議論するという初歩的な間違いと、どうやって計算したの か不明だがおそらく過小評価になっている、という問題があり、全く信頼でき ないものである、ということになります。 と批判しました。昨日公開された 5月1日資料 でどうなっているかを以下簡単にみていきます。 要点は、一見指摘された問題点を理解しているようにみえるのに実際には明ら かに間違った解析結果になっており、全く信頼できないことには変わりがない、 ということになります。 以下、理由を簡単にまとめます。 資料に「【図 4.東京都における実効再生産数】」なるグラフがあります。 これから、以下のように議論して
Previous ToC Next PDF 版はこちら プログラムソースはこちら Contents 1. インストール (2020/1/18) 1.1. 課題 1.2. 参考資料 2. 文法1 変数と型 (2020/1/18) 2.1. 変数とプログラムの基本 2.2. 型(クラス) 2.3. まとめ 2.4. 課題 2.5. 参考 3. 文法2 入力と繰り返し (2020/1/18) 3.1. 入力 3.1.1. 関数と「メソッド」 3.2. 入力と繰り返し 3.2.1. While と条件式 3.2.1.1. While 以外の制御構造 3.2.1.2. if と unless 3.2.1.3. until 3.2.2. += 3.2.3. 文字列の中の #{sum} 3.2.4. ここまでのまとめ 3.3. 制御構造を使わないプログラミング 3.4. もう少し複雑な例: 表の読み込み
Previous ToC Next PDF 版はこちら Contents 1. いろいろなモデル計算 (2020/4/10) 1.1. 西浦博北大教授 1.2. 大橋順東大教授 1.3. 佐藤彰洋横浜市大教授 1.4. まとめ 2. 交通整理 (2020/4/12) 2.1. モデルが人口保存を満たしていないこと 2.2. 時間遅れの扱いが標準的なものと違うこと 2.3. モデルの検証がなされていない 2.4. 予測に「最悪条件」を使うのは適切ではない 2.5. まとめ 3. 交通整理の続き (2020/4/16) 4. 交通整理の続きその2 (2020/4/16) 5. 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)(2020/4/18) 6. 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)その2(2020/5/2) 7. 朝日新聞
1. いろいろなモデル計算 (2020/4/10) コロナウイルス(SARS-CoV-2) の感染がどのように広がるかについては色々な ことがいわれています。が、その背景にあるモデルはほぼ同じで、 Kermack and McKendrick の SIR モデル A contribution to the mathematical theory of epidemics, 1927, Proceedings of the Royal Society A です。これについての牧野による解説は 岩波「科学」5月号掲載予定の原稿に書いた通りなので、まずはそちら を御覧いただければと思います。 基本的にはこのモデルを使っているにもかかわらず、どう対策をする必要があ るか、については色々な人が色々なことをいっていて、大きな幅があります。 ここでは、そのうち3つを取り上げて、どのような違いが生じている
138. 村主君のこと (2017/9/11) (これは9月に書いたものですが、すぐには公開する気にならなかったものです) 既に TENNET で流れている通り、理化学研究所計算科学研究機構で私の研究チー ムに所属していた村主崇行君が、 7/11 に亡くなられました。まだ33歳でした。 言葉に表現できないほど悲しく、また残念です。 私が村主君と初めてあったのは、2006年の秋、京大理学系で集中講義をした時 でした。講義自体は、犬塚君、早川さん、阪上さんと偉い人が沢山いて、 あまりなんの話をしたか憶えてないのですが、講義のあと、村主君がよってき て、院生部屋にひっぱっていかれて、自作の「全自動ブックスキャナ」をみせてくれ、 動作を説明してくれました。 私は職場(と自宅にも)キャノンのスキャナを導入してからしばらくしたところ で、色々日記に書いてたりしていたのですが、それも知っていて、自分のを
Previous ToC Next 142. 相互作用計算におけるレイテンシとレジスタ数 (2018/8/8) 単純な重力(ないし静電)相互作用計算(dx 等は3次元ベクトルで内積があるとして) dx = xj-xi r2= dx*dx r=sqrt(r2) mr3inv=mj/(r*r*r) fi += mr3inv*dx みたいなコード(これはループの内側のみ)を考えます。xi, fi はレジスタにあるものとして、また簡単のため 逆数平方根命令はあって、加算・乗算と同じスループットでできるとして、 命令列は 1 ld xjx 2 ld xjy 3 ld xjz 4 ld mj 5 dx = xjx-xix 6 dy = xjy-xiy 7 dz = xjz-xiz 8 r2 = dx*dx 9 r2 += dy*dy 10 r2 += dz*dz 11 rinv = rsqrt(r2)
133. ShenWei TaihuLight (2016/6/23) 改めて書くまでもありませんが、以下は牧野個人の見解であり AICS の見解を代表 するものではありません。 2016年6月の Top 500 では、中国の ShenWei TaihuLight システムが、ピーク 性能 125PF、HPL 性能 93PF と驚異的な数値を叩き出して同じ中国の Tianhe-2 が 2013年6月から守っていた1位の数値を3年ぶりに書き換え、6期連 続で中国設置のマシンがトップとなりました。 本稿では、この TaihuLight の意義を少し考えたいと思います。 まず、TaihuLight で使われているプロセッサは Tianhe-2 と異なり、設計か ら(おそらくファブまで)純粋に中国製です。Tianhe-2 はXeon + Xeon Phi (KNC) だったわけですが、TaihuL
130. 重力波検出の意義と今後の進展(2016/2/12) 重力波が検出されました。ここではその科学的意義と今後するべきサイエンス について解説し、私見を述べます。 まず、何がどのようにして観測されたか、ですが、 論文 にあるように、 36 太陽質量(太陽の質量の36倍)のブラックホールと 29太陽質量のブラックホール同士の合体です。起こった場所は正確にはわから ないですが、我々からの距離はわかっていて13億光年です。 何故重力波を観測したというだけでブラックホールであるとか質量とか距離が いきなりわかるのか、というと、ブラックホールの合体、というイベントを考 えると、その最重要なパラメータは質量です。合計の質量で最後の合体の瞬間 にでてくる重力波の周期が決まり、質量の比もわかると振幅の絶対値が決まります。 さらに、最後の合体の前の数回転でどれくらいの速さで軌道が縮んだか、とい うことか
129. How I Learned to Stop Worrying and ... (2015/12/26) タイトルはもちろん「博士の異常な愛情」ですが、私が水爆を 愛するようになったわけでありません。 18日のPCクラスタシンポジウムのパネルにでられた方は既にご存じの通り、 牧野の本務は 2016/3/1 付けで神戸大学理学系研究科惑星学専攻となります。 理研 AICS は兼務となり、研究部門粒子系シミュレータ開発チームリーダー、 エクサスケールコンピューティング開発プロジェクト副プロジェクトリーダー ならびにエクサスケールコンピューティング開発プロジェクトコデザイン推進 チームリーダーはまだお役御免になってなくて当面継続です。 私としてはお役御免になることに全くやぶさかではないのですが、今のところ は、ということです。 私は、ポスト「京」のプロジェクトのうち「加速部」について責任
31. 増田論文とそれへの「反論」 (2015/12/28) 「日本の科学者」という雑誌の2015年10月号に、増田善信氏による「福島原発事故による放射性ヨウ素の拡散と小児甲状腺がんとの関連性、およびその危険性」という論文(以下増田論文)が掲載されました。その後、12月になって、左巻健男氏のブログ「samakitaの今日もガハハ 左巻健男/SAMA企画」に、「『日本の科学者』誌編集委員会は非民主的な酷い対応をしたと思う」という エントリーが掲載されました。 ここでは、では本当に、『日本の科学者』誌編集委員会は非民主的な酷い対応をしたのか、ということを検討してみようと思います。というのは、ここで起こったことは、科学、あるいは科学的であろうとするとはどういうことか、を考えるためのよい例になっていると考えるからです。 まず、時系列を簡単に整理します。10月号の出版日は9月のどこかだと思いますが、
128. 2015/6 PEZY-SC の Green 500 1位達成 (2015/8/21) 今年は ISC が7月になり、さらに Green 500 の発表は 8/1 まで遅れてどうなっ ているんだろうかという感じがありましたが、無事に発表になり、 PEZY/Exascaler の Exsascaler システムが 1-3 位を独占という偉業をなしとげ ました。関係者の皆様、おめでとうございます! 1位になった「菖蒲」は和光市の理研情報基盤センターに設置された Exsascaler 1.4 システムで、7.03GF/W と初めて6 を超え、さらに7も 超える素晴らしい値です。これは、前回の 2014/11 には2位だった KEK に設置された Exsascaler 1.0 「睡蓮」の 4.95GF/W から大幅な向上です が、同システムは今回 6.22 GF/W に到達しており、今回
126. Xeon におけるノード内MPI性能 (2015/4/30) 某プログラム、というか、単に独立時間刻みで 1000粒子くらいの N体系を積分するものを、Xeon 2 ソケットとかのノード内並列で なるべく速くしたい(ノード間でもいいのですがどうせ速くならないだろうみ たいな)ということが研究上あって、少し OpenMP をいじっていたのですが、 OpenMP の同期等のオーバーヘッドが巨大で、普通に書いたのではなかなか 速くならない、ということがわかってきました。 独立時間刻みのプログラムは以下のような構造をしています。 次の時刻と、そこで積分する粒子群を決める(アクティブ粒子) 全粒子のその時刻での位置を予測する 全粒子からアクティブ粒子への力を計算する 計算した力を使って、アクティブ粒子をアップデートする 1 へ戻る 計算量のほとんどはステップ2,3なので、ここは並列化も S
125. MIMDメニーコアの現在と将来 (2015/3/21-22) ここしばらく、色々なしがらみもあって MIMD メニーコアのシステムについて 色々みたり聞いたり文句をいったりする機会が多いのですが、連続的な進化、 というのはやはり限界に近づいている、というか、既に限界を超えているのではと いうふうに思います。以下、なにが問題か、対応策はあるのか、というのを 少し議論してみます。 将来というか、まず現在の困難というのは Xeon Phi に表現されています。 但し、KNF とか KNC では、あまりに設計がアレであるという問題が多す ぎて、MIMD メニーコアの本質的な問題点が見えにくくなっています。 まず設計上の問題点です。 主記憶のアクセスレイテンシが 250サイクルくらい (らしい)のはまあしょうがないとして、リモートキャッシュも同じくらいある とか、なにがどうなってるかよくわ
123. フラッグシップ2020 と私(2015/1/16) 首相官邸からの アナウンスによると、13日に行われた第7回総合科学技術・イノベーション会議 (CSTI)で安倍首相は以下のように述べたそうです。 スーパーコンピュータ「京(けい)」については、かつて開発計画の凍結も 議論されました。本日は、ポスト「京(けい)」開発に関する評価を決定いた だき、本格的なスタートの準備が整えられました。強い意志を持って、世界で 一番を目指していきたいと考えています。 ここで総合科学技術・イノベーション会議といわれているものはいわゆる「本 会議」で、その下に色々な部会などがあります。ポスト「京」については、 評価専門調査会の議題になり、その下にさらに評価検討会が組織され、そこで の結論が評価専門調査会、本会議と順番にあがっていく、という仕掛けです。 13日の本会議は首相がでる(主催する)ことからもわか
122. PEZY-SC と「睡蓮」(2014/11/21) 2014/11 の Top500 には、久しぶりに Intel 等の巨大企業ではないベンチャー の独自開発によるプロセッサがエントリーしました。 KEK に設置された ExaScaler-1 「睡蓮」です。 Dual Xeon の普通のノードに、 PEZY-SC なる独自開発の MIMD 1024 コアプロセッサを2つ載せた ボードを4枚搭載したたシステムです。 PEZY-SC は動作クロック 733MHz, 倍精度ピーク演算性能 1.5TF、 チップ自体の消費電力は 65W と発表されています。製造プロセスは TSMC の28 HPM で、我々が GRAPE-X の試作に使ってものと同じ、 電力あたり性能も大差ありません。GRAPE-X では、若干低電圧側に ふった動作で 30GF/W を実現しています。 さらに、 2014/
121. ワイドSIMDの諸問題(2014/8/10) Xeon Phi で既にそうなっているように、「汎用」コアでは1コアあたりの SIMD 幅がどんどん増える方向に向かっています。「京」の Venus では 倍精度2演算の SIMD ユニットが2つでしたが、ポスト FX-10 では ユニットを増やすのはまず無理なので幅が2倍、さらに単精度演算もサポート、 その次ではさらに2倍になるのがありそうなストーリーでしょう。そうすると、 1サイクルあたり、単精度では1コアで 64演算(加算32、乗算32)することにな ります。 これくらい幅が広い時にどのような問題が発生するかを、以下割合簡単な差分 法コードを例に考えてみます。 波動方程式のFDTD空間4次精度差分では、こんな感じの差分式を使います。 x(i,j,k)= (V(i-1,j,k)-V(i+2,j,k))*a+(V(i,j,k)-V(
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