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世界的ファッションブランド「アニエスベー」を率いるデザイナーのアニエス・ベーに、英紙「オブザーバー」がインタビュー。過酷な幼少期、芸術への愛、ファッションに対する考えを力強く語ってくれた。 20歳で離婚、無一文の2児の母に 第二次世界大戦中、ヴェルサイユの自宅の真っ暗な廊下で立ちすくみ、爆撃の音を聞いたのを覚えている。私が爆撃音をあまりにも怖がるので、両親は私をノルマンディーにある親しい友人の農場に疎開させ、長らくそこに滞在させた。疎開先の夫妻は私を「子羊」と呼び、私は彼らを「羊飼い」と「羊飼いの妻」と呼んでいた。 母は複雑な人だった。厳格で、時おり極度に神経質になり、理由もなく怒りをぶちまけることも多かった。父とは始終言い争いをしていた。家の中と外で、母は別人のようだった。恋人と暮らしたがっていたが、当時は離婚など論外だった。 家族全員、私が父のいちばんお気に入りの娘だと知っていた。姉妹
世界で最も騒がしい都市のリストに東京が登場するとき、引き合いに出されるのは、多層高速道路、巨大なデジタル広告スクリーン、至るところに置かれた指示を送る拡声器、そして、人口減少や地震の多さにもかかわらず上へと伸び続けるこの街の絶え間ない工事音が生み出す、騒音の数々だ。 東京の街区は52~69デシベルという騒音環境基準を定めているが(世界保健機関の平均値は55 デシベル)、その制限は、選挙の際には無視される。選挙運動期間中、候補者たちはメガホンを装備した小型のワゴン車に乗り込み、耳をつんざくような演説を繰り返し届ける。 だが、デモや大衆の抗議活動に対しては、警察は騒音計を搭載した車両を配備し、稼働中の拡声器が各区で許可される騒音レベルに準じているかを見張っている。東京のサウンドマップ(音の地図)は、この街のレイアウトのように雑多で有機的なので、やってきたばかりの人にはカオスだと思えるかもしれな
世界的なスニーカー離れ 数年前にスニーカーが流行していたころ、人々はランウェイや会社でもスニーカーを履いていた。コレクターたちは最新モデルを手に入れるため、何時間も店の前に並んだり、ウェブサイトやオークションハウスに群がったりした。 だがいまでは、スニーカーショップの行列は短くなるどころか、そもそもあまりできなくなった。限定版のナイキ「エアジョーダン 1」や、アディダスオリジナルスとカニエ・ウェストの「Yeezy」など、かつては定価の4倍以上で売買されていたスニーカーが、いまでは割引価格になっている。 「スニーカーカルチャーは死にました」と話すのは、SNSで300万人以上のフォロワーを持つ「シューチューバー」ことキアス・オマールだ。スニーカーを売買する通称「スニーカーヘッズ」たちは、60億ドル規模のリセール市場の低迷を懸念している。 2023年末、フランスの「Kikikickz」やオランダ
※本記事は『ヒトラーとナチ・ドイツ』(石田勇治)の抜粋です。 大衆は「基本的な権利」を奪われても黙っていた ヒトラー政権が発足すると、その影響は社会の各分野に現れ、やがて社会全体を大きく変容させた。本書ではこの過程を社会のナチ化と呼ぶが、それは、法と民意を車の両輪として進展したといえるだろう。 ここでいう法とは、ヒンデンブルクが、実際にはヒトラーの意図にそって憲法に基づいて公布してきた一連の大統領緊急令と、授権法を手にしたヒトラー政府が国会に代わって制定するおびただしい数の法律・政令のことだ。 一方、ヒトラーに対する民意は、彼が政権に就いた1933年1月の時点では割れていた。 直前の国会選挙で3分の2の票がナチ党以外の政党に投じられていたように、国民の大半はヒトラーにドイツの未来を委ねようとはしていなかった。 だが実際にヒトラーが首相となって国民の団結と統一を訴え、復興に向けて力強く歩み出
日本食がブームになるはるか前の米国で、和食器や和包丁を日本から輸入し、販売するビジネスを始めた日本人女性がいる。いまやそうそうたるシェフやレストラン、ホテルチェーンが彼女の顧客だが、始まりは苦労の連続だった。波乱に満ちたその歩みを、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の料理担当記者が取材した。 川野作織(かわのさおり)が1978年に横浜からニューヨーク市にやってきたとき、米国人の大半にとって日本食といえば、インスタントラーメンと「オニオン・ボルケーノ」(鉄板焼きで作るたまねぎ料理)くらいなものだった。 その後の米国で、手打ちそばや日本食のおまかせコースを堪能したり、ご飯茶碗の上品な曲線や和包丁の刃のきらめきに見とれたりしたことがある人は、川野にお礼を言ってもいいかもしれない。 川野は「KORIN(光琳)」の創設者でオーナーだ。同社は、和包丁など日本製の台所用品や食器の輸入業者であり、1982年の
※本記事は『ヒトラーとナチ・ドイツ』(石田勇治)の抜粋です。 「がんのような民主主義」 その2日後の2月3日、ヒトラーは、ヒンデンブルクの信頼が厚く、その強い要請で入閣した国防大臣ヴェルナー・フォン・ブロンベルク(1878~1946)の招きで、陸海軍司令官を前に、新政府の任務と課題について、2時間に及ぶ非公開の演説を行った。このときは草稿がなく即興のスピーチだったといわれる。 聴衆のひとり、クルト・リープマン(1881~1960)中将が書き留めたメモを手掛かりに、ヒトラーがここでおよそ何を伝えたのか、再構成してみよう。 まずヒトラーは、新政権のねらいは「政治的権力を取り戻すこと」にあると述べた。リープマンのメモには、どこから取り戻すのか書かれていないが、おそらく議会勢力からということだろう。それに続けて、以下のように内政、外交、経済、そして軍の今後のあり方へと話を進めた。 1 内政では、国
「4年の時間を我らに与えてほしい」 首相就任から2日後の1933年2月1日午後10時、ヒトラーの政府声明がラジオで全国に放送された。ヒトラーのラジオ演説はこれが最初だった。このしばらく前に国会が大統領緊急令により解散されていたため、この演説は、来る3月5日の国会選挙に向けての最初の政府声明ともなった。 この演説でヒトラーはいつもの過激な扇動家とはまるで別人の、穏やかで信心深い政治家を装った。初めてヒトラーに耳を傾ける全国の聴衆を意識してのことだった。 ここでヒトラーが訴えたことは、国内的には14年間の罪深い共和国政治のもとで深まった国民相互の対立と亀裂を克服して「国民的和解」をはかること。14年間にわたりドイツを破壊してきたというマルクス主義の撲滅をはかること。対外的には軍縮問題に関連して国家間の平等を実現することだ。キリスト教と家族の意義にも触れたが、反ユダヤ主義や領土拡張にまつわる言辞
※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 ゴールポストなき「防共」条件 日伊両国が1930年代中盤より対外膨張の傾向を強めた際、反共主義はその武力介入を正当化する論拠を提供した。とりわけ中国における国民党と共産党の内戦、スペインにおけるナショナリスト派と共和国派の内戦は、反共主義を内戦介入の理論的根拠にする絶好の機会であった。 ただし、日本の場合、決定的にイタリアの場合と事情が異なるのは、侵攻時に敵対する相手が共産主義と戦う国民党政権の側となった点である。 これら中国、スペインに対する介入の研究はすでに多数存在するので、本項では、中国とスペインに直接関わった二人の交渉型外交官を取りあげ、その言動に着目することで反共主義の位置づけを異なる角度から検討したい。すなわち、同じ当時の外交官でも、本省の介入政策を交渉型外交官の視点から見た場合、権力中枢
米国のスコット・ベッセント財務長官は4月8日、貿易戦争が激化しているが米国は中国に対して大きな優位性を持っているとの見解を示した。 「中国が緊張を激化させたのは大きな過ちだと思う。彼らは『2のペア』で勝負しているようなものだ」と、ベッセントは米テレビ「CNBC」のインタビューで述べた。「中国が米国に関税をかけてきたとして、私たちが何を失うというのでしょうか? 米国が中国に輸出している量は、中国が米国に輸出している量の5分の1に過ぎません。つまり、それは彼らにとって不利な勝負なのです」 米国が輸入している品目の中には、米企業にとって不可欠な部品なども含まれるが、その影響については述べていない。 ベッセントによれば、関税の目的は貿易相手国を交渉の場に引き出し、米国内に雇用を取り戻すことにあるという。CNBCは彼の発言として「日本は交渉に前向きな国々の中で最も積極的であり、ホワイトハウスは今後さ
米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した「相互関税」が、米国東部時間の9日午前0時より発動した。日本には24%の関税が課される。 中国には34%の関税が課されると発表されたが、すでに20%の関税が発動していたので、中国から米国へ輸入される物品には最低54%が課されることになっていた。 この動きに対して中国は、米国からの輸入品に34%の報復関税を課すと反発。するとトランプ政権は8日、中国がその報復措置を撤回しなければ、50%の追加関税を課すと発表した。これにより中国への相互関税は最低104%になってしまったのだ。 9日、トランプ政権は、相互関税に対する報復措置をとらない国々に対しては相互関税の発動を90日間停止し、その間は関税率を一律10%に引き下げると発表。一方、報復措置をとっている中国に対しては、追加関税を125%に引き上げるとした。 相互関税を課されると通告された各国がトラン
米トランプ政権が各国に課す「相互関税」を発動し、米製品の不買運動が過熱するといった波紋が世界中に広がっている。こうしたなか英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、保護主義的な貿易政策をとることで国内産業を立て直そうとする米国が参考にすべき国は日本だと、興味深い分析をしている。 ひとつの思考実験をしてみよう。日本に暮らし、米国のドナルド・トランプ大統領が次々と下す決定に大きな衝撃を受けたあなたは、非暴力の反米抗議活動を始めようかと考える。 真っ先に思いつくのは、テスラの電気自動車(EV)の不買運動に乗り出し、トランプ政権を糾弾することだろう。 これはトランプ政権が、「過激な左派」と揶揄するような挑発的な行動だ。だが、そもそも買うつもりのないEVの不買運動に参加したところで、犠牲を払っているとは言えないのではないだろうか? 「関税ゲーム」でうまく立ち回る日本 正真正銘の「過激な左派」なら、カナ
最近の米国の研究によると、女性が自分より学歴の低い男性と結婚する割合が増えている。 その割合は、男性が自分より学歴の低い女性と結婚する割合を上回ってきているという。 これまで学歴が同等の人同士の“同類婚”の増加が話題になってきた。というのも、大卒女性の約半数が大卒の男性と結婚しているからだ。 ところが、コーネル大学の経済学者ベンジャミン・ゴールドマンらの新しい研究によれば、約25%は高卒以下の男性と結婚している(残りの約25%は独身のまま)。 このことから専門家らは、異性愛者の間で女性が自分より学歴の低い男性と結婚する“下降婚(格下婚)”の増加に注目していると、米誌「アトランティック」は報じている。
空港は国と国の「境界」であり、異なるタイムゾーンの間にあるという意味では、時間さえ超えてしまう場所とも言える。そんな特異な場所である空港が人間の心に及ぼす奇妙な影響について、心理学者が考察した。 いきなり「常識」を忘れる人たち 空港や飛行機内では、しばしば普通ではない行動や、時には反社会的とさえ言えるような振る舞いを目にすることがある。床で眠ったり、フライト情報表示板の前でヨガをしたりといった無害なものから、朝っぱらから飲んだくれて口論をする、飛行中にドアを開けようとするといった深刻なものまで、程度もさまざまだ。 近年、機内での迷惑行為や目的地外での着陸とともに、こうした悪質なケースが増加傾向にある。それによって、空港や機内でのアルコールの販売を制限したり、禁止したりする向きもみられるようになった。たとえば、アイルランドの格安航空会社「ライアンエアー」は、酩酊に起因する機内での問題を防ぐた
※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 日本の連盟赤化論 日本外務省は、国際連盟が展開した1931年の対中国政策、イタリア外務省は1935年の連盟による対伊制裁をめぐって、ともに厳しい対応を迫られた。脱退による孤立と経済制裁による包囲をそれぞれ経験した日伊両国は、どのように国際連盟を非難したのか。 連盟を攻撃する論理の中で、重要な要素を占めたのが、「共産主義の陰謀」論であった。以下、両国外務省の政務型、交渉型双方が提示した論拠とその傾向を考察していく。 1933年3月に連盟脱退を通告した日本は、その後も技術・経済・金融分野で中国への援助を進める国際連盟に神経を尖らせていた。 当時の外務次官重光は、連盟における公衆衛生のテクノクラートであったライヒマンを名指しで「共産分子」として糾弾し、彼が後には中国政府の顧問となり、「最も効果的に……政府の
※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 都合よく使われた「反共」 1930年代の日本とイタリアにおける外交官が対外政策に関する反共主義の意味をどのように考えていたか、をまとめると、大別して以下の三つに分類できよう。 第一に、共産主義を対外政策上の阻害要因と規定する。これは国内問題として認識されてきた共産主義運動を国際的文脈に読み込み、たとえば自らの政策失敗に「共産主義の陰謀」論的解釈を付するものである。 第二に、戦うべき相手を策定する。これは一歩踏み込んで他国の「共産化」を防ぐため介入するという論理に利用される。 第三に、ともに戦う連帯者を探求する。そして国際的闘争の訴えは、新たな国際秩序の再編を目指す方向へと進んでいく。これら三点は、それぞれ国際連盟非難の方便、中国、スペインへの武力介入の正当化、反共的国際秩序形成に結びついている。 こう
住宅を捨て工場へ 数十年にわたり、世界最大の自動車工場はドイツ・ヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲンの工場だった。それが現在では、中国の電気自動車メーカーBYDが、ヴォルフスブルクの2倍の生産能力を持つ工場を中国国内に2つ建設中だ。 中国人民銀行の最近のデータによると、過去4年間で国有銀行は産業部門への融資を1.9兆ドル(約285兆円)増やしている。中国各地の都市周辺では、昼夜を問わず新工場が建設され、既存の工場もロボットや自動化でアップグレードされている。 こうした中国の製造業への投資が、世界中で工場閉鎖や失業を引き起こしかねない「輸出の波」を生み出しているのだ。バイデン政権下で米国通商代表部の代表を務めたキャサリン・タイは、「この津波は、どの国にも襲いかかるだろう」と予測する。
ドナルド・トランプ米大統領による相互関税の発表を受けて、世界中の株式市場が混乱するなか、彼の経済界の盟友たちも損失を被っている。 トランプが各国への関税率を記したボードを掲げて「解放の日」を宣言したのは4月2日。その後の2日間で、世界の富豪トップ500人の資産は計5360億ドル(約79兆円)も消えた。 そのなかでも、トランプを支援したり1月の大統領就任式に出席したりした、彼の「お仲間」大富豪たちの資産はかなり減少している。
マスクの関税批判 ドナルド・トランプ米大統領が「米国の解放の日」と銘打って発動した大規模な関税によって、米国内の株式市場や経済界に大きな動揺が広がっている。 関税で打撃を受けるのは、トランプ2期目で最側近として働くイーロン・マスクも例外ではない。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、テスラは上海に大きな工場を持っているし、バッテリーシステム用の部品も中国から輸入している。マスクの人工知能企業xAIが所有するスーパーコンピュータ用のチップの大部分は台湾製だ。さらに、スペースX、ニューラリンク、ボーリング・カンパニーといったマスクが所有するほかの企業も、関税によるコスト増加を免れない。 関税発表後の1日で、テスラの株価は約11%下落したという。 トランプはもともと公約として関税を掲げていたし、マスクの企業のサプライチェーンは海外頼みなので、これはあらかじめ予想できた事態だ。それでもマスクは
ドナルド・トランプ米大統領が発表した相互関税の衝撃が世界を混乱に陥れている。米国経済の規模と、世界貿易におけるその中心的役割を考えれば当然だろう。 さらに言えば、米国自らが旗振り役となってきた自由貿易体制をぶち壊そうというのだから、残された国々が面食らうのも無理はない。
アメリカ市場は7日朝、トランプ大統領が大規模な関税措置を90日間一時停止することを検討しているという根拠のない報道を受けて、大きく乱高下した。ダウ平均株価は取引開始直後、一時は1600ドル以上も値を下げたが、関税停止の憶測が飛び交うと同時に急騰した。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は関税の一時停止について、ホワイトハウスは政策の変更について何も発表していないと報じ、一時停止の可能性について尋ねられた国家経済会議(NEC)委員長のケビン・ハセットは、FOXニュースで「大統領が何を決定するかは、大統領が決めることだ」と語った。 米紙「ワシントン・ポスト」によると、ハセットがインタビューのなかで関税の停止を示唆したという憶測が広がったという。 .@PressSec: Reports that @POTUS is considering a 90-day pause on tariffs are
インバウンド客にも人気の日本のスキー場。しかし、今シーズンの異常な降雪はスキー場の運営を圧迫した。リフト運休や道路閉鎖、雪崩の危険が相次ぎ、スタッフは過酷な環境に直面。「雪が多すぎても困る」という現場の声を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。 記録的な大雪、スキー場に試練を残す 2月から3月にかけてベストシーズンを迎えた日本のスキー場。しかし、スキー場のスタッフたちにとっては異例の降雪量が大きな問題となった。 世界有数の深くてサラサラなパウダースノーがあることで高く評価されている日本のスキーリゾート。雪が非常に多い冬(3月にも複数の地域で360センチを超える積雪を記録)は、スキーヤーやスノーボーダーの憧れであるはずだ。 オーストリア人プロスキーヤーのタオ・クライビッチ(27)は、最近日本のバックカントリーを滑ったときの動画で、今冬の日本の斜面は「超ビッグで超険しい」と語っている。「クレ
欧州の「自虐的な思考」 トランプ流の政治という大波が押し寄せるいま、欧州が早急になすべきは、自信を取り戻し、欧州域内はもとより、世界の市民に向けてトランプ流とは異なる、もう一つの発展のかたちを示すことだ。 そのためには、まず欧州大陸についての政治議論で毎度必ずと言っていいほど出てくるあの自虐的な思考から抜け出さなければならない。 欧州の指導者たちの間では、「欧州は分不相応の生活を続けてきたから、これからは生活を切り詰めていかなければならない」という思いこみが根を張っているのだ。
4月5日、ドナルド・トランプ大統領や政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスクに抗議する大規模デモが全米各地でおこなわれた。 デモのスローガンは「Hands Off(手を出すな)」。参会者たちは、政府支出削減のために強引に進められる連邦政府職員の解雇や、社会保障関連予算の縮小などに抗議の声を上げた。 デモは首都ワシントンのほか、ニューヨークやシカゴなど全米50州の1200ヵ所以上で計画され、主催者によると約60万人が参加登録したという。1月にトランプ政権が発足して以降、最大規模の抗議運動となった。 ついに米国民の不満が爆発した 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、デモを主催したのは「インディビジブル」や「ムーブオン」などの草の根団体だ。これらの団体はトランプ政権1期目で、中絶の権利や人種問題をめぐり抗議活動をおこなったが、2期目では新たなメッセージを強調したいと語っている。 いわ
2025年3月31日夜、ニュージャージー州選出の米民主党上院議員コリー・ブッカーは、ドナルド・トランプとその政権が米国に与えた悪害を糾弾するため、演台に立った。 「我が国は危機に瀕している」と訴え、トランプ政権発足から71日間の経済的混乱に、大量解雇、専制的行為を非難した。ブッカーの演説は25時間5分間続き、米上院史上最長の演説となった。 多くの人が、心を奮い立たせるブッカーの政治的行為を称賛した。だが、なかには彼の身体的偉業に感銘を受けた人もいた。 彼は演説中、25時間以上にわたって一度もトイレに行っていないのだ(ブッカーの代理人は、米オンラインメディア「TMZ」に対し、スピーチ中、ブッカーはオムツもしていなかったことを認めている)。 その後、ブッカーは記者団に対し、この演説のために何日もかけて絶食し、意図的に脱水症状を起こしたと語った。 「たしか金曜日には食事を止め、(演説の始まる)月
病院食を比較すると文化の違いも見えてきた! 世界で入院するともっとも美味しい病院食がでてくるのはどの国? ドイツのドレスデンにある病院で支給されたランチ Photo by Sebastian Kahnert/picture alliance via Getty Images
富裕層が親世代から受け継ぐ財産の価値が近年、大幅に増えているという。英誌「エコノミスト」が、先進諸国における相続財産の総額を独自調査。19世紀の貴族階級ならぬ「相続階級」が台頭しつつある一方、富の集中がもたらすさまざまな問題に警鐘を鳴らす。 ジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』(光文社)に登場するベネット夫人が、独身で裕福なチャールズ・ビングリーの資産額を知って歓喜したとき、当時の読者のなかにその理由がわからない人はいなかった。 オースティンが同小説を書いた19世紀当時、最も確実に金持ちになる方法はあくせく働くことではなく、名家の男性と結婚することだった。ベネット夫人は5人の年頃の娘の母親という設定だ。 現代もまた、オースティンの生きた時代と同じような状況になりつつある。現行の社会と経済を根底から覆す勢いで、遺産相続が再び大きな力を持ちはじめ、「相続階級」が生まれている。 世界中で増
科学が死を打ち負かすとき 死神が退却すれば、命のあり方もまた進歩するのだろうか。シリコンバレーは、人間の「死にグセ」を常に嫌い、この嘆かわしい生物学的エラーを修正するため、長年にわたって何億ドルも投じてきた。「取るに足らない死などありません。死は悲劇です。死は絆、愛、知識、知恵、能力の泥棒です」とカーツワイルは主張する。 彼は2025年2月に77歳になり、2045年には97歳になる。毎日、数十種類の薬やビタミン剤を80錠ほど服用している。その目的は、人類が「寿命脱出速度」に達するまで生きることだ。数年の差で、不老不死を逃してしまったとしたら、それこそ悲劇といえる。果たして彼は目的を達成できるだろうか。 「私は栄養や健康習慣に気を配り、常に最新の医学に関する情報に注目して、その進歩を活用できるようにしています」とカーツワイルは述べ、次のように説明する。
はじめに、はっきりさせておこう。人工知能(AI)の開発に携わる主だった人々──その全員が極めて聡明で、圧倒的に金持ちで、最も革新的な技術の進化を促進させている人々──は、AIの進化は急速かつ深淵で、その先には避け難い結論、「人間と機械の融合」が待っていると確信している。そしてその結果、神聖で不滅の超知能が誕生し、それは宇宙に際限なく拡散していく、というのだ。 そう、いまトランプ政権で幅をきかせているシリコンバレーの王者であると同時に、人類史上かつてない富と権力を蓄えるこの世の支配者たちは、人類の「終わり」が迫っていると確信しているのだ。そんな彼らには、予言者がいる。その名をレイ・カーツワイル(77)という。 ニューヨーク生まれの科学技術者であるカーツワイルは、2005年に出版された著書『シンギュラリティは近い』のなかで、技術トレンドが人類を後戻りできない地点に導き、想像を絶する方法で人類を
祖母と孫ほどの年齢差がある男性に惹かれた筆者。二人の距離は徐々に縮まり、その関係は分かち難いものになっていく。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 私は彼の両親より年上 エレベーターから出てきた彼は、そのまま私の人生に踏み込んできた。デザイナーズジーンズに包まれたスラリと長い脚。その笑顔、その髪、そしてその身体──ああ、その身体といったら。 きっかけは、彼の貸し倉庫の広告を見た私が連絡したことだった。本来なら5分で終わる関係だったのに、気づけば8時間に。いや、正確には、その後8ヵ月間を彼と一緒に過ごすことになる。 当時の私はトロントを拠点に、ライターとジャーナリストとして活動していた。彼はイランから留学中の医学生。イスラム教徒で、私よりもずっと若かった。その年齢差と
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