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アメリカ大統領選
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サードプレイス―― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」 作者: レイ・オルデンバーグ,マイク・モラスキー(解説),忠平美幸出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/10/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 本書は第一版が1989年に刊行されているので、いわば古典の部類に入るかもしれませんが、現代の地域文化論、コミュニケーション論、都市計画論、いずれの観点からも極めて重要な示唆を与えてくれます。原題は“The Great Good Place”ですが、タイトルとしてはサードプレイスの方が内容に見合っていると思います。The Great Good Place: Cafes, Coffee Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons, and Other Hangouts at the Heart of a Commu
デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する 作者: 吉川洋出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/01/19メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 71回この商品を含むブログ (13件) を見る これは近年稀に見る良書だと思います。 日本においてなぜデフレが起こっているのかについて冷静かつ明快に論じています。ページにして二百数十ページですが、デフレの原因の分析に加え、経済学の迷走を批判的に鋭く考察されています。以下、本書に沿って、簡単に見ていきたいと思います。 デフレがマクロ経済に与える影響について、次の2点が挙げられます。 1.名目金利を一定とすれば、デフレによって実質金利が上昇し、設備投資や住宅投資など投資の足を引っ張ることになる。 2.アービング・フィッシャーのいう、デフレと不良債権の悪循環。好況期に企業が過大債務を負い、その後やって来る不況期に経済がデフ
村上春樹氏の作品は、ジャズの音楽が物語のバックに流れ、それが作品のイメージを基底していることがあります。『1Q84』では♪It's only a papermoon がそうでしたが、昔の作品について見ても『1973年のピンボール』では、スタン・ゲッツの♪Jumpin’ With Symphony Sid がそれに当たるかもしれません。主人公は要所要所でこの曲の口笛を弾きます。 村上氏のスタン・ゲッツ愛好は良く知られています。『ポートレイト・イン・ジャズ』では、次のように述べています。 「僕はこれまでにいろんな小説に夢中になり、いろんなジャズにのめりこんだ。でも僕にとっては最終的にはスコット・フィッツジェラルドこそが小説(the Novel)であり、スタン・ゲッツこそがジャズ(the Jazz)であった。」 ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫) 作者: 和田誠,村上春樹出版社/メーカー:
仕事と日本人 (ちくま新書) 作者: 武田晴人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 56回この商品を含むブログ (14件) を見る 今日私たちが当然のものとして受け止めている「労働」の捉え方が、近代の産物であるということを、労働にまつわる歴史を繙きながら分析した労作です。筆者は、以前の著書『日本人の経済観念』でもそうなのですが、歴史的アプローチから今日流布している観念を捉え直す手法が大変お得意のようです。主流の経済学においては、いつの時代にも普遍的な理論を追求する傾向が強く、時代時代の状況との関係性が軽視されることが往々にしてあるのですが、そういう中で歴史的アプローチにこだわる武田教授の姿勢は大変貴重なものであり、我々が当然のこととして受け止めている観念が実は不安定なものであるという事実を暴き出すのには打って付けのように思います。 筆
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/22メディア: 単行本購入: 483人 クリック: 15,840回この商品を含むブログ (586件) を見る 本書はNHK教育テレビで放映中の「ハーバード白熱教室」の基となっている本です。学生に様々な立場で議論を闘わせるスタイル講義に比べて、サンデルの主張がストレートに書かれているので、サンデルの主張を理解するには大変分かりやすくできています。功利主義、リバタリアニズム、リベラリズムを明快に批判的に分析し、コミュニタリアニズムの立場へとつなげていく論理展開は見事としか言いようがありません。以下、本書におけるサンデルの主張を私なりになぞってみたいと思います。 サンデルは、正義論は「幸福の最大化」「自由の尊重」
アニメ文化外交 (ちくま新書) 作者: 櫻井孝昌出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/05メディア: 新書購入: 1人 クリック: 85回この商品を含むブログ (19件) を見る コンテンツメディアプロデューサーである著者が、諸外国でアニメの講演をした際に感じた若者たちの日本アニメに対する情熱を綴った本です。アカデミックな分析というより、エッセイ的なタッチですが、著者の肌感覚を率直に記しており、日本のアニメが世界各国でいかに受容されているかが良く伝わってきます。 日本のアニメは実に世界の民族や文化の垣根を越えて浸透する力を持っているようです。イスラム圏のサウジアラビア、ヨーロッパではチェコ、スペイン、フランス、イタリア、東南アジアのミャンマー、カンボジア、ラオス、ベトナムにおける体験が記されていますが、とにかく、こうした世界各国の若者たちが、小さい頃から当たり前のように日本のアニ
ボードリヤールという生きかた NTT出版ライブラリーレゾナント010 作者: 塚原史出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2005/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (9件) を見る ボードリヤールといえば、現代思想を語る上で欠かせないフランスの哲学者であり、日本でもその著作が数多く翻訳されています。とりわけ、『消費社会の神話と構造』は、資本主義における消費のメカニズムに対する理解を根本から覆す衝撃的なものでした。ただし、ボードリヤールについて語られた本というのは日本では見当たらず、おそらくこの本が初めてといってもよいのではないかと思います。 早稲田大学の塚原史教授によるこの著作では、『物の体系』→『消費社会の神話と構造』→『象徴交換と死』『シミュラークルとシミュレーション』→『アメリカ』・・・と続いてきたボードリヤールの著作が、丹念にかつ分かり
クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭 作者: リチャード・フロリダ,井口典夫出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2008/02/29メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 75回この商品を含むブログ (24件) を見る 原著「The Rise of the Creative Class」は2002年に出版され、ベストセラーとなったものです。 私はあまりこういう類のタイトルの本には触手が伸びないのですが、本書は近年のアメリカで「クリエイティブ・クラス」というべき階級が人々の働き方から価値観に至るまで大きな影響力を持つようになってきていることを論証するものであり、最近のアメリカ社会の動向を窺う上でも大変興味深い内容のものでした。 著者は、クリエイティブ・クラスの特徴は「「意義のある新しい形態をつくり出す」仕事に従事していること」であるとして、その中核たる「スーパー・クリエイテ
長年行きたかった諏訪大社巡りをしてきました。諏訪大社は上社の前宮と本宮、下社の春宮と秋宮の4つの神社から構成されます。いずれの神社にも御柱が天に向けて建てられています。 まずは、下諏訪駅で下車し、そこから十五分ほど歩いて下社の秋宮に向かいます。 それから、今度は春宮へ。弊拝殿が静かに鎮座しています。 春宮の近くには、万治の石仏があります。 大きな丸い岩の上に首がちょこんと乗った、何とも不思議でキュートな仏像です。一見するとモダンアートの作品にも見えますが、立派な仏像です。かつて岡本太郎がえらくこの石仏を気に入り、これを見るために何度も下諏訪まだ足を運んだとか。それくらい人を惹きつける魅力があります。かつて、石工がこの石にのみを入れたところ血が噴き出たため、これを仏像として彫ったという言い伝えが残っているようです。この仏像の回りを三周しながら願い事を唱えると成就するのだそうです。 下諏訪には
働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち 作者: トムルッツ,Tom Lutz,小澤英実,篠儀直子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2006/12メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 90回この商品を含むブログ (37件) を見る 本書は、18世紀から現在に至るまでの間の、労働倫理に対抗する人々の歴史を紹介したものです。 原題は「Doing Nothing A History of Loafers, Loungers, Slackers, and Bums in America」で、正に働かない人々の歴史を辿ったものではあるのですが、正直そのタイトルはあまり感心しません。タイトルから受ける軽薄なイメージよりは格段に高尚かつ深遠なテーマを扱った本です。あまりにも膨大な事例が登場するので、かなりうんざりする面もあるのですが、いつの時代にも労働倫理を唱道する人々とともに、そうした労働倫理を
エンドレス・ワーカーズ―働きすぎ日本人の実像 作者: 小倉一哉出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2007/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 94回この商品を含むブログ (12件) を見る 近年、様々な労働問題が大きな社会問題化している中、本来その核心部分の1つである<労働時間>の問題にスポットを当てた研究というのは、案外少ないように見受けられます。そういう中で、労働政策研究・研修機構で主任研究員を務められている著者は、<労働時間>について多くの研究論文を執筆されてきた数少ない専門家の1人で、今回、素人にも分かりやすい労働時間についての専門書を著されたことは、大きな意義を有していると思います。 日本における長時間労働者の比率の高さが他国に比べて群を抜いているわけですが、本書ではまず、長時間労働者が残業をする理由について分析しています。一般に残業をする理由としては「
自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書) 作者: 大屋雄裕出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09メディア: 新書購入: 11人 クリック: 199回この商品を含むブログ (91件) を見る 「自由」を考えるということがいかに難しいことかがよく分かる、目から鱗が落ちるような本です。 例えば、自由を制約すると想定されてきた「国家」を制約すれば我々は自由になれるのか?「リバタリアニズム」は正にこうした発想から、司法・治安維持・国防というサービスのみを提供する「超最小国家」を想定するわけですが、こうした「超最小国家」が自由をもたらすかといえば、決してそうではありません。国家権力が弱ければ、ギルドのような「共同体」が力を持ってくるわけですが、こうした「共同体」内部では自由ですが、それは外部を排除することによって成立しているからです。むしろ、共同体を国家が抑圧することによっ
憲法9条の思想水脈 (朝日選書823) 作者: 山室信一出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/06/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (18件) を見る これまでに9条を論じた書は星の数ほどありますが、その思想の源流を奥深く遡ろうとする試みはほとんど見られず、あったとしても、占領下における9条の成立過程の分析や不戦条約の議論辺りまで遡るのがせいぜいだったように思います。 この本で山室信一京都大学教授は、欧州におけるサン・ピエール、ルソー、カント、そして、国内でも幕末・明治を生きた横井小楠、植木枝盛などまで遡って、9条の源流を見出そうとされていますが、極めて画期的な試みといえます。 それは、9条そのものの源流というよりも、むしろ「非戦思想」の足跡をたどったものという感じです。もちろん、そうした「非戦思想」が9条の成立に直ちに結びつくという
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