「化石燃料企業の広告禁止を」。国連のグテレス事務総長が先だって、全ての加盟国にこう要請した。深刻化する気候変動の対策が妨げられている――そんな危機感がにじむ。ところが、日本は政府も企業も馬耳東風のようで、禁止されるどころか「グリーンウオッシュ(見せかけの環境配慮)」と指摘される広告がまかり通っている。何がどうなっているのか。 「私たちは、何十年も前進を妨げることに執拗(しつよう)な熱意を示してきた化石燃料産業の人々に直接立ち向かわねばならない。真実をゆがめ、人々を欺き、疑念を植え付けるために、数十億ドルもの資金が投じられてきた」 世界環境デーの6月5日、グテレスさんは強い調子で演説した。背景には、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成が難航しているとの切迫感がある。目標とする産業革命前からの平均気温上昇を1・5度に抑える「妨げ」だと名指しされたのは、化石燃料業界の大規模な宣伝活動