サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
moroshigeki.hateblo.jp
※ 本エントリは、第21回マルチスピーシーズ人類学研究会/ステム・メタフィジック研究会共催「『実在への殺到』の波紋」(2018年10月21日、立教大学)での配布資料と、口頭発表のために用意した発表原稿とを合わせたものです。実際の発表は、ここに書かれていること若干異なっていることをご承知おきください。 仏教学からの応答 師茂樹(花園大学) 重力に抗する哲学 普段から仏教哲学に対して言及されている清水先生に対して、あるいは清水先生がお書きになった『実在への殺到』に対して、仏教あるいは仏教学から応答するということを考えたときに、まず私が想起するのは、仏教がこれまでもしばしば、西洋哲学の諸伝統、あるいはそのときそのときの「現代思想」と対比されてきたことです。そのなかの一部では、仏教がある種のオリエンタリズムとして消費されたり、逆に仏教側がしばしば「西洋哲学が言っていることは、1000年前に仏教がす
先日、電子書籍をめぐる議論のつまらなさ - もろ式: 読書日記というエントリを書いたのだが、はてブやTwitterなどでの反応を見ていると、ちょっと誤解を生じてしまったようである。私は、今のインタラクティブ性のない(紙の書籍の延長線上にある)電子書籍がつまらない、と言いたいのではなく、電子書籍をめぐる現在の日本での議論がつまらない、と言いたいのである。 言うまでもないことだが、電子書籍のおもしろさ/つまらなさは、インタラクティブ性の有無とは関係がない(実際、『ユリイカ』の原稿でもほのめかしたことであるが、80〜90年代の様々な試みは一発芸的で、冷静に考えるとつまらないものが多かったようにも思う)。おもしろい作品は紙だろうと電子だろうとおもしろいし、つまらないものはどんなに先進的な技術を使っていてもつまらない。各メディアの特性を使っておもしろい作品を作る人はいるが、誰もがそのメディアを使えば
AppleがiBooks Authorを発表したが、「教科書」というキーワードを前面に出しているためか、所謂「電子書籍元年」の盛り上がりと比べると、いまいち話題になっていないような気がする。しかし、マルチメディアやインタラクティブ性を持つデジタル教科書、電子教科書とは、ある意味、広い意味での電子書籍(以下、マリー=ロール・ライアン氏の言葉を借りてDigital Narrative Textと言うことにする)の歴史を概観すれば、きわめて正統な継承者であるように、私には思われる。 以前、拙稿「なかなか変わらない世界―Digital Poetryに寄せて」(『ユリイカ2011年10月号 特集=現代俳句の新しい波』)や「電子書籍の/とインタラクティヴィティ」(『東洋学へのコンピュータ利用 第23回研究セミナー』、2012年3月)でも書いたことであるが、日本における電子書籍の議論は、Digital
これもちょっと前になりますが、『ユリイカ』2012年3月号に「ウェブという言葉の大河の中で 三浦しをん 『舟を編む』 に寄せて」という小稿を寄稿させて頂きました。 辞書の世界 - 「ユリイカ」「現代思想」の雑誌発行、人文諸科学の専門書の出版社「青土社」 ユリイカ2012年3月号 特集=辞書の世界 作者: 北原保雄,永江朗,三浦しをん,高山宏,小谷野敦出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/02/27メディア: ムック購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (20件) を見る 内容は電子辞書、ウェブ辞書の話です。『舟を編む』*1はたいへんおもしろい、辞書好きにはおすすめの小説だと思うんですが、紙の辞書作りにのみ焦点があたっている(21世紀が舞台なのに、メール以外にはコンピュータ絡みの話がぜんぜん出てこない)ことに対する違和感があったので、それを書きました。『漢字文献情報処
ちょっと前に東日本大震災の写真アーカイブであるPhotos from JAPAN(東日本大震災 写真保存プロジェクトと未来へのキオクのAPIを使って統合したサービス)を眺めながら、学生たちと写真のメタデータについて少し議論した。 Web上には膨大な写真が公開されているが、それらの大半は史資料として用いるのが難しい。なぜなら、メタデータに乏しいからだ。いつ、どこで撮影されたものなのか、どのようなライセンスで誰が公開しているのか等々、写真そのものだけでなく、付随する情報が(できれば機械可読な形で)セットになっていなければ、再利用しようにもできなかったりするのである。 東日本大震災に関する写真群も、現在は鮮烈な記憶がまだあるだろうから、どの写真がいつどこで撮影されたものかを撮影者が思い出すことができるかもしれない。でも、しばらく時間が経てば、何の写真だか思い出せなくなる人も多いだろう。東日本大震
末木文美士先生*1が、今回の東日本大震災について、ブログで意見を述べておられる。 自然災害説は間違っている: bunmaoのブログ このエントリの末尾に「あまつさえ、まじめに考えようという人を、議論もせずにツイッターとやらで嘲笑し、暴力的に抹殺しようというのであれば、それは仏教者とは言えない悪魔の所行であり、僕は絶対に許しません。断固闘います。」と書かれている*2。「嘲笑し、暴力的に抹殺しよう」としたりするつもりは私には毛頭ないが、私が末木先生のこれまでの発言に対してTwitter上で批判的なことを書き、そこで「ちなみに私はどちらかというと自然現象派」と言っていることも間違いない*3。Twitterがダメで他がよい、という理由がいささかわかりかねるところもあるが*4、ブログに卑見を書いておこうと思う。雑な文章なので、ご批正いただければ幸いである。 地震の原因は何か 最初に問題となった石原都
著者の小林龍生さんよりご恵贈いただきました。ありがとうございます。 ユニコード戦記 ─文字符号の国際標準化バトル 作者: 小林龍生出版社/メーカー: 東京電機大学出版局発売日: 2011/06/10メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 466回この商品を含むブログ (20件) を見る 内容も、語り口も、すばらしくおもしろかった、と言いたい。内容の一部は著者本人から直接聞いたことがあるものもあるし、すでに読んだことがある原稿の再録もあったりするのだが、それらも含めておもしろかった。 もっとも、文字コード関連の知識を多少なりとも持っていないと、「ISO/IEC JTC1/SC2/WG2/IRG」のようなメダパニ系呪文にやられてしまうかもしれない。逆に文字コードに詳しい人のなかでも、Unicodeの現状に不満を持っている人にとっては、規格制定側からの言い訳にしか読めないかもしれない。私の場
私が見ているTwitter界隈では鹿児島大学教育学部の先生が紀要に書いた日ユ同祖論論文がちょっとした話題になっている。 日本・イスラエル比較文化研究 : 日猶同祖論考: Kagoshima University Repository 日本・イスラエル比較文化研究(2) ―日本列島は誰が創った?―: Kagoshima University Repository 特に2番目の、法隆寺五重塔を「その設計図から見て、明らかに送電塔の模型である」、蚕の社の「三柱鳥居は月着陸船の三脚部分と考えて間違いないと思う」などは、なかなかに味わい深い。 ご本人はともかく、気になるのは鹿児島大学教育学部である。私の勤務先には、教員で構成されている紀要委員会があり、投稿された論文に対して軽いチェック機能があったりするのだが、鹿児島大学教育学部にはそういうのがないんだろうか。たしかに大学紀要は読者も少ないしチェック
ふと、次の匿名ブログが目にとまった。 ダメ修士課程学生の研究テーマ決定 この院生さん、論文の「新規性」にハマっているようである。 論文の新規性という言葉がわからない。意味はわかる、他の人の真似をしたんじゃだめだということだろう。じゃあどうすればいいのか皆目見当も付かない。 これに関連する話を、先日の4回生ゼミで(やはり同じような「何をやっていいのかわからない」対策として)話をしたので、彼の院生さんには今さらのことかもしれないが、ちょっとここで再録しておきたい。 学術論文における新規性とかオリジナリティとかについて、その辞書的な意味にとらわれて“これまでまったく存在していなかった説を他に依存せずに創造する”みたいに捉える学生がいるが、それはまったくの誤りである。学術論文においては、その存在意義や新規性などはすべて他人の口から語られなければならない。 ある領域についての先行研究を調査することに
五姓各別説の研究から始まり、菩薩戒における観仏体験の問題などを経て*1、最近手探りで進めているのが仏教における修行と身体の問題である。文献ベースの思想史研究などと違って定番の方法論があるわけでもなく、またこの手の話題を発表するような場もなかなかないので、本当にこれでいいのかと自問自答しながら、内輪の研究会などで発表を重ねている状況なのであるが、17〜18日に開催された「からだの文化 ―修行と身体像― 身体訓練の伝達を身体と言語・イメージの関係において考える2日間」というイベントに企画段階から参加させていただいくことができ、また一歩進むことができた(イベントの企画においては守岡知彦さんや近藤秀樹さんに大変お世話になりました。ありがとうございました)。イベントの案内はこちら: 7月17~18日にこんなのやります!:夏目房之介の「で?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ ほぼ週刊四谷会談:
最近忙しかったり、Twitterに足を取られたりして、更新ができずにすいません。内輪でダラダラするには本当に良いメディアですな、Twitterは。 ところで先日(7月10日)、漢字文献情報処理研究会で「公開シンポジウム 電子出版の動向と諸問題」というイベントをやりました。『電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか?』の田代真人氏、CHISEの守岡知彦氏、法学者の石岡克俊氏をお招きして、電子出版のコスト、検閲?の問題、愛国者法の問題、ハックする自由、電子書籍の永続性、ダイヤルQ2最高裁判決が及ぼす影響など、予想以上におもしろい(身も蓋もない (^_^;;)イベントになったと思います。 電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか? 作者: 田代真人出版社/メーカー: インプレスジャパン発売日: 2010/05/21メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人
昨日、第1回文化とコンピューティング国際会議の一セッション「日本における人文科学とコンピュータ研究の現状と課題―日本と国際動向の関係を探る―」に参加した。気まぐれでTwitter実況してみたので、リンクを貼っておく。 師茂樹 MORO Shigeki(@moroshigeki)/2010年02月23日 - Twilog 実況ハッシュタグ(こちらはそのうち見えなくなるでしょう) 下田正弘先生がハイデガーを参照しつつ、人文学におけるコンピュータ利用の問題は哲学における技術や道具の問題に接続できると述べたのは印象的であった。私はTwitterでもつぶやいたし、(司会の永崎さんにTwitter上でふられた―これは心臓に悪かったw)コメントでも述べたが、コンピュータ時代を念頭に置いた技術・道具の哲学的議論としては、ベルナール・スティグレールも参照した方がいいかな、と思う。コメント中で述べたスティグレ
『みすず』2009年12月号所収のロジェ・シャルチエ「デジタル化と書物の未来」を読んだ。シャルチエと言えばヨーロッパにおける読書の歴史の大御所である。その大御所が、昨今のGoogleをはじめとする書籍の電子化、あるいは電子図書館関連の問題を語るのだから必読であろう。 読むことの歴史―ヨーロッパ読書史 作者: ロジェシャルティエ,グリエルモカヴァッロ,Roger Chartier,Guglielmo Cavallo,田村毅,月村辰雄,浦一章,横山安由美,片山英男,大野英二郎,平野隆文出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 2000/05メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (16件) を見る 書物の秩序 (ちくま学芸文庫) 作者: ロジェシャルチエ,Roger Chartier,長谷川輝夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/04メディア: 文庫 クリック: 4
野村さんが見えないものを見るための占い - Under the Hazymoonで、 ユリイカの白川静特集*1で、もろさんが「“絶対に当たる占い”の場合、さらに一ひねりが加わっている。甲骨文字を使った占いでは、望ましい結果が出るまで何度も占いを繰り返したり、結果に応じて事前に行われた占いを改竄したり、結果が出た後に問いや占いを書き記したりするなど、現代人から見れば茶番とも言えるようなことを行っていた」と、占いの事後的解釈の原則性について述べている点に、たぶん落合敦思さん*2の議論を援用したのだと思うけど、で、落合さんはもっと踏み込んで、こうした甲骨占いの性格から実は古代王権はきわめて政治的に構築されたものであって、信仰は表面的なまやかしでしかないようなことを書かれてて、おいおいと思ったわけですが、どうにも違和感を感じるんですね。 と述べているが、そこのコメントにも書いたように、私としては落
最近ブログの記事がマンガばっかりなのは、ついこの間まで忙しすぎてマンガが読めなかったからである。今、積んでいたマンガを崩しているところ。ということで、Twitterの文字な人たちの間で話題になっていた『シュトヘル』。 シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) 作者: 伊藤悠出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/03/30メディア: コミック購入: 14人 クリック: 667回この商品を含むブログ (105件) を見るシュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) 作者: 伊藤悠出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/10メディア: コミック購入: 14人 クリック: 134回この商品を含むブログ (66件) を見る 舞台は13世紀、現在の中国の甘粛省あたり、モンゴルに滅ぼされる西夏近辺が舞台。背表紙に書かれているあらすじ
2002年3月、漢字文献情報処理研究会メールマガジンに「これがあれを滅ぼすだろう」というコラムを書いたことがある(http://www.jaet.gr.jp/mag/005.txt)。ちょっと長いが全文(一部改変)引用してみよう。 「いやはや、あなた、世も終わりですな。学生どものあんならんちき騒ぎは、生まれてこのかた見たこともありませんよ。近ごろのろくでもない発明とやらが、何もかもだいなしにしちまうんですよ。大砲だの、セルパンチーヌ砲だの、臼砲だの、とりわけドイツからはやりだしたあのやっかいな印刷術だの。もう写本もいらん、本もいらん! てわけです。印刷術は本屋殺しですよ。いよいよ世も終わりですなあ」 冒頭から引用で恐縮ですが、これはヴィクトル・ユゴーの小説『ノートル=ダム・ド・パリ』 で登場人物たちによって交わされる会話の一部です(『ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)』
寄稿しますた。 ユリイカ2010年1月号 特集=白川静 一〇〇歳から始める漢字 作者: 一海知義,石川九楊,石牟礼道子,梅原猛,多和田葉子,松岡正剛,高島俊男出版社/メーカー: 青土社発売日: 2009/12/28メディア: ムック購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (14件) を見る 全体の目次は 白川静 - 「ユリイカ」「現代思想」の雑誌発行、人文諸科学の専門書の出版社「青土社」 をごらん下さい。 「文字〔キャラクター〕を生み出す儀式 白川静の漢字論によせて」と題した駄文は、 【WebDB Forum 2009】 渦巻き絵文字は「台風」ではなく「まいった」、バイドゥが調査 -INTERNET Watchを参照しつつ携帯電話の絵文字が、元の意味とは違う意味で用いられていることを紹介。やや、これは象形文字の始まりか? しかし、白川静やルロワ=グーランが、絵文字と文字とのあ
私がTwitterを使っている理由にはいくつかあるが、研究用とか仕事用とかで言うと、以下の二つになる。 ひとつは、自分の興味関心に重なる人をfollowすることで、耳学問ができること。共同研究室なんかでだらだらしていると、他の先生や学生、院生が議論しているのが耳に入ってきて、それが結構勉強になったりするが、それに近いかもしれない。『Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)』でも述べられているように、Twitterのよさのひとつにfollowするのに承認がいらない(他人のつぶやきを勝手に見ることができる)という性質がある。コンピュータに関係のない学会や研究会、現在ではメーリングリストやSNS内のコミュニティ(古くはパソコン通信のフォーラム)などでは、「グループに入る」決心(というと大げさだが)やら手続きをある程度要求されるが、followはこの「グループに入る」感
うう、ちびが二人ともインフルエンザで入院してしまった(涙)*1。ということで、付き添いの合間に読書をしていたりするのだが、始終ばたばたしてそれどころではなかったりもする。そんなこんなで読んだうちの一冊がこれ: 振仮名の歴史 (集英社新書) 作者: 今野真二出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/07/17メディア: 新書購入: 1人 クリック: 35回この商品を含むブログ (26件) を見る 平安時代からサザンオールスターズまで、ふりがなの歴史を追いかける。左右のふりがななども、古い写本・刊本を見慣れている人には割と当たり前のことであるが、そういえばこういう風に手軽に俯瞰できる本ってなかったよなーとか思いつつ読む。ぜひ『零式』*2のふり〓*3もとりあげていただきたかったが、それは無い物ねだりというもの。 本書は単なる衒学的なものではなく、いくつかのキーワードによってふりがなの分類、分
読んだ。 白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) 作者: 松岡正剛出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2008/11/15メディア: 新書購入: 13人 クリック: 57回この商品を含むブログ (81件) を見る うーん、何だこれ? (^_^;; 売れてるの? 煽り文句は「博覧強記の著者が“巨知”白川静に挑み、その見取り図を示した初の入門書」とのことであるが、梅原猛氏との対談『呪の思想』と、かなりかぶってるような気が。 呪の思想―神と人との間 作者: 白川静,梅原猛出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2002/09メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (19件) を見る それはおいておくとしても、この本が、結局白川静氏の何をアピールしたいのかよくわからない。個人的に、白川静氏の業績において評価すべき点は、「口」が“サイ”であることを発見した!みたいな実証?的な部分ではなく
民主党政権下におけるデジタルアーカイブ政策の行方 (1) - もろ式: 読書日記の続報。 音声資源コンソーシアムの2009言語資源シンポジウム「言語・音声データの学術利用に向けて」における長尾真先生(国立国会図書館長)の講演「大量言語データ処理時代の幕開け」を、ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG)の岡本真さんがTwitterで実況して下さった(感謝!)。 それによると、やはり、というか、残念ながら、というか、国会図書館のための補正予算の凍結がなされたらしい: 今夏127億円の補正予算を得て、1968年までの図書、雑誌、博士論文、官報、古典籍約90万冊を2年間でデジタル化することができる見込み http://twitter.com/arg/status/4881155946 民主党による予算凍結の結果、今年度予算は確保されたが、来年度予算は凍結。現時点で実現可能なデジタ
南都文化研究組織でいつもご指導いただいている廣田收先生よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。 『宇治拾遺物語』 の中の昔話 (新典社新書39) 作者: 廣田收出版社/メーカー: 新典社発売日: 2009/08/24メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 『宇治拾遺物語』に収録された説話群の中にある、一般によく知られた昔話と同じような説話(瘤取爺、腰折雀、藁しべ長者・蜂の援助、博徒婿入・鳩提灯、猿神退治)について、日本の民話だけでなく、東アジア各国やヨーロッパの類話と比較しながら、構造主義的に読み解こうというもの。レヴィ=ストロースの『構造人類学』*1などを引いており、国文学よりもそっちの方に親近感を持つ者としては非常にすんなり読めたが、廣田先生曰く: …昔話は、今でも国文学の研究としては、一般にはなお認知されていません。国文学をめざす大学生であった私が、益田勝実氏
先に書いた民主党政権下におけるデジタルアーカイブ政策の行方 (1) - もろ式: 読書日記に対して、デジタルアーカイブについて雑感: やまもも書斎記からトラックバックを頂いた。実はそこで紹介されているデジタル・アーカイブの推進に向けた申入れ―「デジタル文明立国」に向けて― - コラム | 野田聖子オフィシャルホームページを、今回のネタにしようと思っていたので、グッドタイミングであった。 自由民主党の政務調査会に設置されたデジタル・アーカイブ小委員会の存在は、(広い意味での)デジタルアーカイブに関心がある人には広く知られていると思う。この委員会は2002年に坂井隆憲氏を委員長として設置され、以来、山口俊一議員、野田聖子議員が委員長をしている。 この3人の議員には共通点がいくつかある。ひとつは、靖国神社への参拝に積極的だということである。野田議員が先の終戦記念日において閣僚でただ一人靖国神社に
政権を取った民主党の一挙手一投足に注目が集まっている今日この頃であるが、デジタルアーカイブ(広い意味での資料のデジタル化による保存・活用)にも、いろいろ影響が出てきそうである。 7月、漢字文献情報処理研究会で2009年度公開討論会 著作権をめぐる新動向 〜Googleブック検索と著作権法改正案というイベントを開いた。そこで国会図書館の大場利康さんから、平成21年度補正予算で蔵書のデジタル化の予算が100年分(100億円超)がついたことを紹介してもらった(参照: 朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?)。100年分の予算を1年強(来年度も使えるらしい)で使えというのだから乱暴な話ではあるが、Googleが書籍のデジタル化をがんがん進め(これも米国5州の司法長官、Googleブックス和解案に異議を唱えたというので、先行きが不透明だが)、隣国(中国、韓国)でも国を挙げて書籍のデジタル
最近何冊か出たので科研費で買ってみた。 人文・社会科学のためのテキストマイニング 作者: 松村真宏,三浦麻子出版社/メーカー: 誠信書房発売日: 2009/04/24メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 79回この商品を含むブログ (10件) を見る Rによるテキストマイニング入門 作者: 石田基広出版社/メーカー: 森北出版発売日: 2008/12/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 18人 クリック: 250回この商品を含むブログ (29件) を見る テキストデータの統計科学入門 作者: 金明哲出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/04/28メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 70回この商品を含むブログ (12件) を見る 以前は、概論的過ぎて使えなかったり、いい加減だったりした本が多かったが、この3冊はいずれも内容もしっかりしており、実践的なのでおす
読んだ。 蒼頡たちの宴―漢字の神話とユートピア 作者: 武田雅哉出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/08メディア: (B) クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る 「蒼頡」というから漢字の話だけだと思い込んでいたら、普遍言語の話とかも載っていた。おお。目次はこんな漢字、じゃなくて感じ: 序 眼球コンプレックス 一 蒼頡の夜明け 漢字発明者の伝説 蒼頡のイコノロジー 漢字の起源伝説 二 中国人のお荷物 漢字の発音表記 漢字のバベルと普遍中国語 三 月に映じた普遍の夢 十六、十七世紀ヨーロッパの中国語観 普遍言語構想と中国語 月世界語をマスターせよ 四 円環をめぐる対話 『西儒耳目資』の誕生 レンズをのぞく二人 言語を生む円環 五 中国の言語ユートピアン トリゴーの子供たち 東洋の普遍言語計画 言語ユートピアの帝王学 六 蒼頡たちの画廊 バベルへの挑戦 世のなかは変
文字(character)をキャラクター化(擬人化)した作品。大谷大に行くバスの中でさくっと読んだ。 小さい“つ”が消えた日 作者: ステファノ・フォン・ロー,岩田明子,小林多恵,トルステン・クロケンブリンク出版社/メーカー: 三修社発売日: 2008/10/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (14件) を見る どうやら世間的には「「必要のないものなんてない」というメッセージ」の本として受け取られているようだが*1、文字=キャラクター研究者の立場から見れば、この本は音声言語中心主義に対する書記言語による反逆の話として読める。 以下、曲解に基づくあらすじ紹介:ある日、ひらがなたちは、誰が一番偉いかを争っていた。諍いがだんだん盛り上がって収拾がつかなくなったとき、誰かが思わずこんなことを言い出した。 「誰が一番えらいかはわからないけど、誰が一番えらくな
石岡克俊氏よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。 石岡克俊「「校訂」の著作権法における位置」(『慶應義塾女子高等学校 研究紀要』第26号、2009年3月) 漢字文献情報処理研究会でここ数年連続で開催している「東洋学情報化と法律問題」のシリーズ(今年もやります)で、石岡さんには毎度知的興奮に満ちたご講義を頂いている。これまで活字化された分についてリストアップしておこう。 石岡克俊「東洋学情報化と法律問題―第1回 所有権の行使と無体財産の法的保護 判例の分析と解説」漢字文献情報処理研究 4、2003年 石岡克俊「東洋学情報化と法律問題―第2回 収蔵作品へのアクセスと法」漢字文献情報処理研究 5、2004年 石岡克俊「東洋学情報化と法律問題―第3回 「校訂」の著作権法上の位置 校訂権とその周辺(その一)」漢字文献情報処理研究 第6号、2005年 石岡克俊「東洋学情報化と法律問題―第4回
やっとAmazonで見えるようになった(が、これを書いてる時点ではまだ“Eメールでお知らせします”状態*1)。 情報歴史学入門 作者: 後藤真,田中正流,師茂樹出版社/メーカー: 金寿堂出版発売日: 2009/03メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る とりあえずこんな目次: 情報歴史学の目指すもの この本の読み方 第1部 データベースの読み方 第1章 木簡データベースを読む 第2章 正倉院文書データベース(SOMODA)を読む 第3章 怪異・妖怪伝承データベースを読む 第4章 文化庁「子ども文化教室」を読む 第2部 デジタル化の技法 第1章 目録類のデータベース 第2章 文献史料 第3章 モノ史料/建物/遺跡 第4章 無形民俗文化財 第5章 地理情報 第3部 情報を引き出す 第1章 はじめに 第2章 検索 第3章 数理的分析 第4章 シミュレーション
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『moroshigeki's blog』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く