都市に林立するタワーマンションが宅配便やフードデリバリーなどの配達員を苦しめている。1棟に多くの世帯が集まっているので一見、効率的に配達できそうだ。だが、現実は全く異なる。 【関連画像】配達員が作業に要した時間の内訳(全体で255分)、建物内の移動とエレベーター待ちに時間がかかる 「セキュリティーをはじめ、様々なルールがある。手間と時間がかかり、過疎地の配達より大変なケースも多く、赤字が前提だ。別料金をもらいたいくらいだ」。ある大手宅配事業者の関係者は声を上げる。ドライバーの時間外労働時間の上限が4月から制限され、人手不足などの「2024年問題」に直面している物流業界にとって、タワマンへの宅配は切実な問題となっている。 日鉄興和不動産(東京・港)が大手物流会社に集配の実態をヒアリングしたところ、東京都内のタワマン(約50階・約1000戸)の1日あたりの集配では、配達27件、集荷5件、不在5