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衆院選
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グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。 6月27日は、デザイナー / アーティストの小田島等さんからの紹介で、イラストレーターのスージー甘金さんが登場。電気グルーヴのロゴの制作秘話や、ヘタウマブーム当時の話などについて伺いました。 弟子・小田島等さんデザインのTシャツを着用して登場 タカノ(MC):スージーさんはラジオにはあまり出演されないと伺っております。 スージー:ほとんど出ていないですね。昔、えのきどいちろうさんがJ-WAVEでされていた番組に誘われて出たことはありますが、それくらいです。 タカノ:ということは2回目でしょうか? スージー:そうですね。2回目になります。 Celeina(MC):貴重な時間となりますけれども、早速プロフィールを紹介させていただき
作家の「意図」と、その作品における「実現」が完全に一致しているものを目にしたとき、興奮や熱狂を覚えることがある。でも一方で、「なぜこんな作品を作ったのか」「どうしてこんな作品になったのか」を作家自身が説明できないタイプの作品があり、それに大きく心を揺さぶられることもある。 OGRE YOU ASSHOLEからのラブコールで実現した研究者の郡司ペギオ幸夫との以下の対話では、そんなことが話されているように思う。正直にいうと、私も編集者としてこの記事がどんなものであるのか、把握しきれてはいない。 自分にとって意味のあるものだけを取り込み、自らの世界や身体を拡張する知性を「人工知能」としたとき、その対極に浮き上がる「天然知能」の考え方。本稿はその入り口に触れながら、創造体験の深淵を覗き、考えさせられた約100分間の対話を記録したものだ。まずは、取材執筆を手がけた評論家の柴崎祐二による序文から。 O
映画監督・山中瑶子。生前の坂本龍一も激賞した『あみこ』(2017年)で一躍、注目を浴びた才能だ。そんな才能に心惹かれた人物がもう1人。それがドラマ『不適切にもほどがある!』や映画『あんのこと』『ルックバック』に出演し、大活躍する俳優・河合優実である。 高校時代の河合は『あみこ』を観て、山中監督に直接ファンレターを渡したと多くの媒体で語っている。そんな河合の山中監督への愛がついに実現したのが2024年9月6日公開の『ナミビアの砂漠』。河合は、自分を大切にしてくれる恋人を平気で裏切り、仕事も惰性で続けているような主人公カナを演じている。一見すると、理解しづらい人物であるカナの物語を、どんな思いでつむいでいったのか。監督本人に聞いた。 はじまりは、一通の手紙だった。主演・河合優実との縁 ―主演・河合優実さんが高校時代、山中監督の『あみこ』を見て、監督の映画に出たいと言われたそうですね。 山中:ポ
今、大型の野外音楽フェスに現代美術の作品や作家が関わる機会が増えている。文化芸術のグローバル発信拠点へと日本を成長させることを目標として文化庁が始めたプロジェクト『MUSIC LOVES ART』は『SUMMER SONIC』とコラボレーションし、会場内にアート作品を展示する取り組みを通じてアートと音楽の協働や共生を目指している。 しかし、その実、『MUSIC LOVES ART』や文化庁が目指すグローバル展開の思想を元にした取り組みはおおよそ音楽に愛されるアートとは言い難い。2024年に万博記念公園に会場を移転した『サマソニ大阪』では、フェス本体が果たした音楽とアートの刺激的な出会いと、『MUSIC LOVES ART』の達成度の格差が浮き彫りとなってしまった。 両者のイベントを振り返り、アートと音楽が愛し合うために必要なことを考える。 アートと音楽フェスの関わりーー2022年に始まった
韓国インディーの大注目バンド、OBSG(オバンシングァ)が初来日を果たす。毎週のようにアジア各地のインディーアーティストが来日公演を行う現在であっても、10人もの大所帯編成である彼らが日本にやってくるとは。まさに奇跡の初来日といっていいだろう。 中心人物は京畿民謡の歌手であり、韓国インディーの異端児であるイ・ヒムン。かつては民謡グループであるSsingSsing(シンシン)のフロントマンとして、NPRの人気企画「Tiny Desk Concert」に出演したことで世界的な注目を集めた。同グループの解散以降はさまざまなプロジェクトで活動し、昨年は3人組ジャムバンドのCADEJO(カデホ)を伴って来日公演も行っている。OBSGはそんなイ・ヒムンのプロジェクトであり、昨年リリースされた最新作『SPANGLE』を携えた初来日となる。 バンドの音楽面を取り仕切るのは、ベーシストのノ・ソンテク。韓国の
なぜ音楽家たちは「ライブ」をするのだろう。なぜ私たちは「ライブ」に足を運ぶのだろう。そのとき、その場所で起こる奇跡、あるいは事件を、その唯一無二の「時間」を複製することは、今後どれだけ録音技術、映像技術が発達してもきっと不可能だ。ceroが作り上げたライブ作品『Live O Rec』を聴くと、過去・現在・未来を自由に行き来し、あらゆる可能性を内包する、その「時間」について考えさせられる。 『Live O Rec』という作品は、2日間にわたって行われたライブ録音を下地にしているが、いわゆる「実況録音」的なものではない。編集、録り直し、オーバーダビング、あらゆる音響操作が積極的に施されたこの作品には、いくつもの時間と空間が混在している。しかし、それでいてceroの三人の意識は、あの日、あのとき、あの場所の「ライブ」に収斂しており、それが作品としての独特な手触りを担保している。 ドキュメンタリー
8月30日(金)よりアニメ映画『きみの色』が劇場公開中。何より注目は、監督・山田尚子×脚本・吉田玲子×劇伴・牛尾憲輔という、映画『聲の形』のクリエイター陣による最新作であることだろう。 若者の感情やコミュニケーションという共通のテーマを持ちながら、『きみの色』は穏やかで心地よい空気に満ちた「溢れ出る感情」を肯定する映画だった。 『聲の形』と共通する「感情」や「コミュニケーション」というテーマ 映画『聲の形』はたくさんの絶賛の声が届いた一方で、原作マンガから小学生時代のいじめを発端とした物語でもあり、観るのがつらい、拒否反応を覚えたという声も少なくなかった。 そして、同じクリエイターチームが手がけた『きみの色』は、若者たちが傷つけ合う様を捉えた『聲の形』のアンサーともいえる。後述する「溢れ出る感情」を肯定的に捉えた作品で、いじめが描かれることもなく、関係がギスギスしたりもせず、穏やかで心地よ
ファッション業界随一の有識者である栗野宏文に「現代ファッションにおけるオルナタティブ」をテーマに縦横無尽に語ってもらった、約10,000字ものインタビュー(前編はこちらから)。 後編ではさらに話が広がり、ファッションとアートの関係から、パンデミック後の業界動向について、そしてファッションの価値についての話へと続く。 本稿で栗野は、「脱エリーティズム」を自身の大きなテーマとしてトピックに掲げた。そこでは、資本主義によってビジネス優位になった業界の問題点を真っ向から上げている。それと相反するオルタナティブな事象として挙げられたのが「coconogacco」。栗野はどんなファッションショーよりも、ここで出会う作品に気持ちの昂りを感じるそうだ。その視線に、ファッションの本質を見た。 ファッションは一見、消費的で表層的なもの、と思われがちだが、記事を一読すれば、その奥深さと無限に広がる可能性に気づく
広く「テクノ」を志し、メンバーそれぞれがDJとしても活動、「友達と二人で音楽をはじめた」という共通点を持つパソコン音楽クラブとLAUSBUB。互いのイベントでの共演、楽曲へのゲスト参加などを経て関係を深めた2組の初対談が実現した。 明確にダンスミュージックとして打ち出された決定打的アルバム『Love Flutter』をリリースしたパソコン音楽クラブ、さまざまな音楽を貪欲に取り込み、実験精神を胸にサウンドとビートをさらに拡張した1stアルバム『ROMP』を作り上げたLAUSBUB。互いの第一印象と最新作、ローカルで育まれる音楽の可能性、テクノ / ダンスミュージックを生業に生きていくことについて、4人の対話は止まることがなかった。 以下、ミュージシャン / 映像作家としても活動し、パソコン音楽クラブのリリースライブのアフターパーティーにも出演する小鉄昇一郎がお届けする。 ※「高橋芽以」の「高
山口つばさによる『マンガ大賞2020』受賞の同名漫画を原作とする実写映画『ブルーピリオド』が8月9日(金)より公開中。同作の「この夏いちばん熱い映画」という公式の触れ込みは伊達ではない。美術をテーマにしながらも万人におすすめできる「王道スポ根映画」であり、甘さなんてない「青春の戦い」を描いた傑作だった。 空虚な日常を過ごしていた少年が、藝大受験を志す物語 主人公の高校生・矢口八虎は、同級生たちと渋谷の街を出歩きサッカーの試合を見て騒ぐ日々を送っていたが、美術の授業の課題「私の好きな風景」で悩んだ末に「明け方の青い渋谷」を描いたことをきっかけに、美術に興味を持ち、のめりこんでいく。 そして、彼は「日本一受験倍率が高い学科」「東京大学よりも受かるのが難しい」とさえいわれる、東京藝術大学の絵画科の受験に挑む。現役生の倍率はなんと約200倍、受かるのは毎年5人ほどで、三浪、四浪は当たり前。しかも、
マルコ・ベロッキオ監督『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』が8月9日(金)より公開となる。1978年のイタリア元首相誘拐暗殺事件を、犯人グループの一人、被害者の妻、ローマ法皇など関係者の多角的な視点から、ときに幻想やあからさまな虚構をも交え、虚実の境界を曖昧にしながら描いていく大作だ。 評論家の柴崎祐二は、本作の「虚構」について、単に幻惑的な演出であるのみならず、歴史的事件を物語として扱うことについての内省的な問いになっているのではないかと指摘する。連載「その選曲が、映画をつくる」第17回。 ※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。 イタリア元首相誘拐事件を「外」から多面的に描く 1978年3月16日、午前9時2分、ローマ市中心部のマリオ・ファーニ通り。元首相でキリスト教民主党党首のアルド・モーロが、何者かによって誘拐された。 当時のイタリア社会で
和歌山毒物カレー事件を多角的に検証したドキュメンタリー映画『マミー』が公開された。映画では、犯人と目された林眞須美が、夫・林健治とともに犯した保険金詐欺事件との関係が読み解かれ、確定死刑囚の息子として生きてきた林浩次(仮名)は、母の無実を信じるようになった胸中を打ち明ける。私たちは「あの事件」の何を知り、何を知らないのか。ライターの武田砂鉄がレビュー。 ポップに消費されるように仕向けられた、和歌山毒物カレー事件 映画の推薦コメントを書いたり、こうしてレビューしたりする時には、基本的に「観て欲しい」との気持ちを込める。でも、記事を読んでくれても大半の人は観ない。この記事だってそうだろう。これを読んだところで観ない。別の映画を選ぶかもしれないし、これだけ暑いんだから、家でじっとしているかもしれない。無理はさせられない。 映画の中でもドキュメンタリー映画のコメントを書く機会が多いが、コメントをい
36歳の女性が13歳の少年と不倫関係となり逮捕、獄中出産し出所後に結婚—— 実際にあった衝撃的な事件をモチーフに、『ベルベット・ゴールドマイン』『エデンより彼方に』『キャロル』などで社会的な題材を巧みに扱ってきたトッド・ヘインズ監督がメガホンを取り、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアが共演した映画『メイ・ディセンバー ゆれる真実』が、7月12日(金)に公開となる。 音楽ディレクター / 評論家の柴崎祐二は、本作の特異な音楽使用や、作中にも登場するキーワード「認識論的相対主義」に着目。本作から垣間見える製作陣の誠実さと批評性を読み解く。連載「その選曲が、映画をつくる」第16回。 ※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。 象徴的な、「feel seen」という慣用句 「I want you to feel seen」。本作『メイ・ディセンバー ゆれる真
近年のCorneliusのアンビエント的楽曲を収めた作品集『Ethereal Essence』。そのリリースのアナウンスに触れた際、意外な驚きがあった。 アンビエントポップを意識したアルバム『夢中夢 -Dream In Dream』(2023年)や、『AMBIENT KYOTO 2023』への参加、あるいは近年のアンビエントリバイバルの背景を考えれば自然な成り行きとも思えるけれど、Corneliusはアンビエントに対して慎重な距離感を保っていたようにも感じていた。 本稿では、Cornelius=小山田圭吾がどのようにアンビエントミュージックに親しみ、その音楽性に取り込んできたかについて話を訊いている。そしてそれは同時に、ミニマルミュージックを通過した独自のサウンドデザインの美学を紐解くことにもつながっている。インタビューは旧知の間柄で、『STUDIO VOICE』の元編集長・松村正人を聞き
キッチンの一角に佇む折坂悠太の姿をとらえたアルバムジャケット。暮らしのワンシーンを切り取ったその写真からも伝わるように、コロナ禍のヒリヒリとした空気をまとった前作『心理』(2021年)から一転、ひさびさの新作『呪文』には穏やかで心地のいい風が吹いている。 昨年末に先行リリースされた“人人”(BS-TBSドラマ『天狗の台所』主題歌)で示されていたように、収録曲の半数には静かな歌の風景がゆったりと広がっている。その一方で、“凪”や“努努”にはsenoo ricky(Dr)、宮田あずみ(Cb)、山内弘太(Gt)を中心とする骨太なバンドのグルーヴが渦巻く。ラストを飾るのは希望に満ち溢れた“ハチス”。いずれの楽曲からも現在の折坂の好調ぶりが伝わってくる。 多様な歌の数々をまとめているのは、『呪文』という意味深なタイトルだ。2023年に音楽活動10周年を迎え、新たな10年へと歩み出した折坂が綴る生活の
『アバウト・シュミット』『サイドウェイ』『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のアレクサンダー・ペイン監督による最新作『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』が、6月21日(金)より公開となる。 美術や衣装から撮影手法、音楽まで、徹底して「1970年代らしさ」を演出した本作。しかし、そこには単なるヴィテージ風のシミュレーションにとどまらない、歴史や過去を通じて現在を考えることへの「信念」が見て取れると、評論家の柴崎祐二は指摘する。 ある作中人物が好きだったアーティストとして、1930〜1940年代に活躍したクラリネット奏者アーティ・ショウの名前が挙げられる、その意味とは。連載「その選曲が、映画をつくる」第15回。 ※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。 1970年代の寄宿学校を舞台にしたヒューマンドラマ 細部へのこだわりと、品の良いリアリズム。ドラ
音楽家・北村蕗の頭の中にはどんなイマジナリーが広がっているのだろうか。2023年に『FUJI ROCK FESTIVAL』「ROOKIE A G-GO」に出演、2024年も「GYPSY AVALON」への出演決定が話題を呼んでいる現在21歳の北村は、これまで童謡、クラシック、ジャズ、フューチャーソウルといった幅広い音楽を吸収し、それをピアノ弾き語りや同期を用いたエレクトロニックセットなど、多彩な表現方法でアウトプット。新作EP『500mm』ではダンスミュージックをコンセプトに掲げ、トラックメイカーとしても非凡な才能を見せつつ、さらにはそこにシンガーソングライターとしての個性も加わって、実にオリジナルな作品に着地している。歌も楽器演奏もトラックメイクも並列に行い、アートワークも自ら手掛けるマルチぶりは非常に現代的だが、やはりそのすべての源泉になっているのはイメージの海。現在も好奇心に突き動か
2020年5月。社会に閉塞感が立ち込め、人とのつながりや拠りどころが絶たれていったコロナ禍に亡くなった、1人の女性がいた。 プロデューサーが目にした1つの新聞記事をきっかけに、監督を務めた入江悠がその思いに共鳴したことからつくられた映画『あんのこと』は、実在したある女性の人生に基づいている。 個人では抱えきれない問題に「自己責任」を求める風潮や、弱い立場に置かれた人ほど不十分なシステムの影響を受けやすいこと、苦境にあえぐ人々がいるなかで勇ましく空虚な「希望」が掲げられること――。『あんのこと』は、そのような現在の社会のいびつさや、人が抱え持つ複雑さを、コロナ禍を背景に、香川杏(河合優実)という女性の人生に寄り添いながら描いている。 今回、監督の入江悠と、ライターの高橋ユキの対談を実施。薬物更生者のための自助グループをつくり、杏を支援しながらも、自助グループの参加者に性加害を行っていた、多々
「ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)はどんなアーティストなのか」という問いを投げられたとしたら、僕はうまく答えられる気がしない。言うまでもなくノラは“Don’t Know Why”の人ではあるのだが、それは最初期だけの話。その後、発表された作品群を聴いてみると、似たようなものがほとんどない。それぞれがその音楽性だけでなく、サウンドの質感なども含めて、いちいち異なっている。そのうえ、そこに傾向があるようにも思えない。プロデューサーやコラボレーターだって様々な人が起用されていて、その共演者に合わせて、大胆に変化もしている。それはノラのソロ作にも言えるし、The Little WilliesやPuss N Bootsなどのプロジェクトでも同様だ。おそらくノラは常に「そのときの自分」を表現してきた。それはまるでその時期のスナップショットのようなものにも思える。 しかも、そのときどきのノラの
文化関係者にとっても試練の季節となったコロナ禍を経た現在。他方、それ以前から山積みとなっていた高齢化や福祉の不足、地域コミュニティの衰退などの社会的課題は、さらにその切実さ、複雑さを深めている。こうした時代に求められる、文化の姿とは何か? 今回はそんな問いを、地域のなかでしなやかに活動する2人のプレイヤーが話し合った。 1人目は、日本各地で盆踊りを現代的にアレンジした祝祭の場をオーガナイズし、2023年には地元の東京・墨田でイベント『すみゆめ踊行列』も成功に導いたスタディストの岸野雄一。そしてもう1人は、長崎県長崎市で「長崎市北公民館」「長崎市チトセピアホール」「長崎市市民活動センター ランタナ」という3つの公共施設の指定管理者を務め、行政的には異分野とされるこれらの施設の連携を模索してきた出口亮太。2人は過去にも、公共施設の新しい使い方や、公共空間と文化の関係について対談を重ねてきた旧知
奇跡だ、と何度もうれしそうに、ミュージシャンの石橋英子は口にした。自身のライブパフォーマンスと共に上映する映像を、映画監督・濱口竜介にオファー。『GIFT』として企画が立ち上がっていくなかで、映画『悪は存在しない』も成立──その「奇跡」的なプロセスには、カルチャーを形作る私たちへの問いかけも潜んでいるように見える。『GIFT』と『悪は存在しない』に登場する、樹々の奥に潜む野生の鹿のごとく。 声や音もつき、石橋が音楽を手がけた映画『悪は存在しない』は「第80回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞」を受賞し、待望の全国公開を4月26日に控えている。『GIFT』もまた国内外で上演され、サイレント映画と拮抗する石橋の圧巻の演奏が、オーディエンスを未体験のゾーンへと導いて反響を呼んでいる。次々と変容していく、そのプロセスの最中に、石橋に話を聞いた。 失われた風景への思いがきっかけ。濱口竜介監督との「旅」を決
「浮き足立ったっていいし、先輩として僕らがなんとかするから、あんたらは一旦人生楽しんで!」と、現代を生きる若者世代にエールを贈るのは、アーティストのSIRUP。R&BやHip Hop、Neo Soulをルーツに、自分自身の心情、そして社会に対してまっすぐなメッセージを発信し続ける彼が、今回FRISKが企画する、新たなチャレンジをしようとしているフレッシャーを応援するプロジェクト『#あの頃のジブンに届けたいコトバ』に参加し、音楽を始めた頃の自分に向けて手紙を執筆した。 そこにはこれまでに過ごした人生のなかで直面した苦悩や葛藤の数々、多くの変化とともに成長してきた現在、私たちが生きるべき理想の社会のかたちについて赤裸々に綴られている。手紙の中では語りきれなかった、彼のこれまでの人生を振り返りながら、どのように多くの苦悩や葛藤と向き合ってきたのか、不安定な社会のなかで生きる人々に向けてのメッセー
「これはカントリーのアルバムではない、ビヨンセのアルバムだ」(ビヨンセInstagramより) 過去10年間自らの作品を通じて黒人音楽の伝統を追跡し、その位置を確立してきたビヨンセ。3部作となるシリーズの1作目『RENAISSANCE』では、ハウスやダンスサウンドに傾倒し、ダンスホール、ブラックネスとクィアへの賛辞を描いた。 続編となる今作『COWBOY CARTER』は、カントリーミュージックを出発点として、その周辺のナッシュビルサウンド、クラシックロック、現代のラップ、そしてR&Bまでもを探求しながら、文化的な「アメリカらしさ」を問いかける作品となった。なぜビヨンセは今、カントリーを選んだのだろう。そして、「ビヨンセのアルバムだ」という言葉の意味とは? カントリーミュージックとは そもそもカントリーミュージックとは、1920年代、北米の南北に聳えるアパラチア山脈の南方にて生活していたイ
© Universal Pictures. All Rights Reserved. © Universal Pictures. All Rights Reserved. 近年、映画『オッペンハイマー』以上に賛否両論の度を越して醜聞と賛辞が噴出した作品はなかっただろう。 本作はクリストファー・ノーラン監督に、自身初『アカデミー賞』作品賞受賞の栄誉をもたらした。しかし一方で、現代の価値観に則って言い逃れし難い批判も存在しているのもまた事実だ。その一部はここでも紹介しているが、本作は政治的には必ずしも正しい作品ではないかもしれない。しかしその先で、映画監督としてクリストファー・ノーランが世界に対して描き出そうとしたものがたしかにあった。それは一体何だったのだろうか。ライター/マンガ研究家の小田切博が論じる。 ※本記事には映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
3月29日(金)より全国公開される映画『オッペンハイマー』(原題:Oppenheimer)を一足先に鑑賞した各界の著名人ら22名によるコメントが公開された。 同作は、第二次世界大戦下、原子爆弾を開発したアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話にもとづき描いた物語。クリストファー・ノーランが監督、キリアン・マーフィーが主演を務め、日本時間3月11日(月)に発表された『第96回アカデミー賞』では最多となる7部門を受賞した。 コメントは日本版予告のナレーションを担当した俳優・渡辺謙のほか、白石和彌、樋口真嗣、原田眞人、森達也といった多くの映画監督が寄稿。『ゴジラ-1.0』で監督を務めた山崎貴はコメントに加え、クリストファー・ノーランとのアカデミー賞受賞監督同士による対談映像も公開されている。 このほかにも計算機科学者の落合陽一、物理学者の橋本幸士、『この世界の片隅に』
柴田聡子が、7枚目となるアルバム『Your Favorite Things』をリリースした。前作『ぼちぼち銀河』から表面化してきたダンスミュージック〜R&B的な志向が、ライブでも演奏をともにする岡田拓郎との共同プロデュースによってより一層鮮やかに開花し、柴田のキャリアにおける新たな転換点というべき作品となった。その一方で、繊細なサウンドメイクにもさらに磨きがかかり、一個のアルバム作品としての完成度もかつてないレベルに達している。 また、彼女の歌唱にもこれまでにない細やかなニュアンスが宿っている上、そこに乗せられる言葉の機微も一段と切れ味を増し、一人のシンガーソングライターとして新たな「ゾーン」に突入したことを告げている。 そんな柴田の才能をかねてより高く評価し、シャムキャッツとして活動していた時代から度々共演を重ねてきたのが、夏目知幸だ。彼もまた、ソロプロジェクトSummer Eyeのデビ
毎週月曜~木曜夜10時45分から放送中のテレビドラマ『作りたい女と食べたい女』(NHK)。2022年11月~12月にかけてシーズン1が放送され、2024年1月からはシーズン2が放送されている。原作のゆざきさかおみによるマンガ『作りたい女と食べたい女』(KADOKAWA)、通称「つくたべ」は、『このマンガがすごい!2022』オンナ編で第2位に選ばれ、シリーズ累計発行部数は80万部を突破する人気作。ドラマ化が決定した当時から話題となった。 その人気の理由は、主人公の「作りたい女」こと野本ユキと「食べたい女」こと春日十々子の微笑ましい日常と美味しそうなごはんの数々もさることながら、女性が生きていく中でのモヤモヤを丁寧に掬い上げている点も大きいだろう。野本さんと春日さんの関係だけでなく、仕事先の人や親戚との関係など様々な人間関係の難しさに一つひとつ向き合っていく姿勢に勇気をもらい、励まされる読者も
等身大な日本を扱い、きわどい題材にも踏み込む『龍が如く』シリーズ 『龍が如く8』をプレイして「ひさしぶりに日本製RPGらしいRPGをたっぷり遊んだ」と嬉しくなった。クリアまでの時間は90時間超。仕事と生活に追われる社会人としては危険なボリュームだが、その蕩尽も惜しくない。小学生のとき、ジョブ(ナイトや白魔道士などの職業)やアビリティ(職業固有の能力)を習得するために夢中になって遊んだ『ファイナルファンタジーⅤ』を思い出す。 2005年から続く長寿シリーズである『龍が如く』は、しかし『FF』や『ドラクエ』とはまったく違う世界観のゲームだ。主な舞台になるのは歌舞伎町そっくりの繁華街・神室町や、横浜伊勢崎町そっくりの異人町など。メインの主人公は「堂島の龍」と呼ばれる元極道・桐生一馬で、彼がかつて属した広域指定暴力団・東城会を中心に、全国のヤクザや中国系・韓国系マフィアらとの血で血を洗う抗争がシリ
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