島田庸一編述『小学博物金石学,下』(梶田喜蔵、北村幸太郎、前川善兵衛、一八八二年)。下卷のみ200円だった。本文は木版刷、貼り込みの図版は銅版画に木版刷(?)の彩色。雲母(キラ)で表現しているのが注目に値する。この書物については「明治の鉱物学教科書(和本)に影響をあたえたドイツ鉱物学書について」に触れられている。 《明治14年(1881),小学校教則綱領が制定され,小学中等科・高等科に「博物」が置かれ,その一科として金石(鉱物)が選ばれた。教科書は明治19年の小学校令で文部大臣の検定したるものに限ると定められたが,それ以前は自由採用の時代であり,金石に関する教科書が和装本で次々と刊行された。》 《博物学に図は欠くことができない。これらの教科書でも鉱物結晶の説明に図を加えるものが多く,中には彩色を施した印象的な教科書も作成された。島田庸一編『小学博物金石学 附金石一覧図』(明治15)や大坪源