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衆院選
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がんの「基本」を数回に分けて解説しています。今回は5回目です。この「番外篇」は、今回で最後となります。(第1回、第2回、第3回、第4回) がんは消えても患者さんは… わが国では、がんの患者さんも治療にあたる医師も、ともかくがんを治すことだけを考えてきました。完治(かんち)はもう無理とわかっていても、亡くなる前の日まで抗がん剤を使ったりするのです。 こんな例がありました。直腸がんの手術後に、肝臓(かんぞう)の転移が見つかった患者さんのケースです。ずっと強い抗がん剤の治療を受けていて、結局は副作用で白血球が減り、感染症で亡くなりました。 解剖をしたときに担当医が患者さんの奥さんに満足そうに「よかった、抗がん剤は効いていました。肝臓のがんは消えています」と言ったというのです。 がんは消えても治療で患者さんは亡くなっている、本末転倒です。 治癒率より大切なこと 現在、がんの治癒率(5年生存率)は、
がんの「基本」を数回に分けて解説しています。今回は4回目です。(第1回、第2回、第3回) がん細胞の誕生と転移、そして治療の可能性 おさらいをしておきます。がんは、ある臓器にできた、たった1つの異常な不死細胞が、免疫の攻撃をかいくぐって生き残った結果できるものです。 この細胞がつぎつぎと自分と同じ不死細胞をコピーしていき、どんどん大きくなります。ただし、実際に検査でわかるような「がん」になるまでには10~30年かかることが普通です。 がんは、自分が生まれた臓器から栄養を奪い取って成長しますが、やがて住処(すみか)が手狭(てぜま)になると新天地をもとめて移動したがります。これを水際で捕える「関所」のようなものがリンパ腺(リンパ節)です。 さらに、がん細胞の中には血液のなかに泳ぎだして、新大陸である別の臓器をめざす不埒者(ふらちもの)もいます。こうなると治癒(ちゆ)はむずかしくなります。まだ血
がんの「基本」を数回に分けて解説しています。今回は3回目です。(第1回、第2回) がん細胞との闘いは、毎日5,000回も起きている 細胞が分裂するときには、元のDNAを2倍にコピーして、新しい2つの細胞に振り分けます。人間(の細胞)がやることですから、コピーのときにミスがおこることがあります。これが突然変異です。 こうした細胞は多くの場合、死にますが、ある遺伝子に突然変異がおこると、細胞は止めどもなく分裂を繰り返すことになります。 最近の研究では、がん細胞は健康な人の体でも一日に5,000個も発生しては消えていくことがわかっています。がん細胞ができるとそのつど退治しているのが免疫細胞(リンパ球)です。免疫細胞は、ある細胞を見つけると、まず自分の細胞かどうかを見極めます。そして、自分の細胞でないと判断すると、殺してしまいます。 がん細胞は、もともと私たちの正常な細胞から発生していますので、カ
これから数回にわたって、がんの基本を説明していきます。前回の内容はこちらをご覧ください。 がんは増えている がんが増えています。日本人は毎年およそ100万人が死亡していますが、そのうち32万人くらい、つまり3人に1人ががんで亡くなっています。65歳以上では、2人に1人ががんで亡くなるのです。 実は、「がん登録」(がんが診断されると、そのタイプや進行度の他、治療方法とその結果を詳しく登録して、がん対策に活用する仕組み)が行われてこなかったわが国には、何人に1人ががんになるかについて、正確なデータがありませんが、おおざっぱに言って、日本人の「2人に1人」ががんになると言えるのです。 がん増加の原因は長寿 国民の半数がかかり、3人に1人が命を落とす、こんな病気は他にありません。まさにがんは国民病で、世界でも類を見ません。では、なぜこれほどがんが増えているのでしょうか? 日本人が長生きするようにな
放射線被ばくパニックに、収束の見通しが立ちません。しかし、私たちは、いったい、何を怖がっているのでしょうか? あるいは、何を怖がるべきなのでしょうか? 脱毛や白血球の減少といった「確定的影響」は、福島原発の近隣を含めて、一般の方々には起こりえません。起こるとすれば、「確率的影響」すなわち「発がんリスクの上昇」です。(ヒトの場合、子孫に対する遺伝的影響は“観察されていません”。) 広島・長崎のデータでも、100ミリシーベルト以下では、発がんリスクが増えたというデータはありません。100ミリシーベルト以下の被ばくでは、がんは増えないということではなく、放射線被ばくよりはるかに発がんに影響を与える生活習慣のなかに、被ばくによるリスクが「埋没してしまう」のです。 だからといって(一部に誤解があるようなので急いで付け加えておきますが)「放射線による多少の被ばくを心配するには及ばない」などと言っている
先月末の4月29日、東大病院放射線治療チーム(team_nakagawa)のメンバー5名(医師3名、物理士2名)で、福島県を訪問し、地域の方との対話や飯舘村の菅野村長との面談、福島市・飯舘村・浪江町・南相馬市の空間放射線量の測定、土壌・山菜の採取を行いました。また、文部科学省のモニターカーによる測定結果の追試を行いました。 突然の訪問となったことに対し、調整をくださった地域の関係各者にお詫び申し上げるとともに、休日にもかかわらず、私たちのプライベートな要求に対応頂いたことに感謝申し上げます。 今回の訪問で空間線量率や土壌調査をおこなったのは、福島県の訪問直前に南相馬市教育委員会に連絡を取ったところ、学校の放射線量を測定し、土壌・環境汚染を評価してほしいという話であったことと、政府・自治体で公表されるデータではわからない、放射線量分布の不均一さについて調査したかったことなどがその主な理由です
マスコミ関係者からの電話による問い合わせが多く、診療の妨げになっています。 福島での一連の調査に関する、取材を目的としたお問い合わせは下記アドレス までメールにてお願いします。その際には、お手数ですが、問い合わせの趣旨もご記入ください。 team_nakagawa2011@yahoo.co.jp よろしくお願い申し上げます。
空間線量率に引き続き、福島県を訪問した際に採取した、飯舘村小宮周辺、浪江町津島周辺、南相馬市(鹿島幼稚園・小中学校、八沢小学校、上真野小学校)の土壌サンプルおよび飯舘村で採れた山菜やほうれん草、浪江町で採れたふきのとうの放射能についての結果を報告いたします。 【ゲルマニウム検出器及び広窓GM管サーベイメータによる測定】 土壌や作物に含まれる放射性物質の種類と量を調べるには、放射性物質から発せられる“ガンマ線のエネルギー”を同定できるゲルマニウム検出器を使います。放射性ヨウ素131は崩壊によって、364 keV(キロエレクトロンボルト)のガンマ線を放出します。放射性セシウム134と放射性セシウム137はそれぞれ604 keVと661 keVのガンマ線を放出します。エネルギーの違うガンマ線の量を調べることで、土壌や作物に含まれる放射性物質の種類と量を調べることができます。 【ゲルマニウム検出器
国際放射線防護委員会(ICRP)レポート111の解説に記載したように、“線量の管理”を行う際には、ある地域における「平均的な個人の振る舞いとその被ばく量」を想定し、対策を立てることは適切とは言えません。個人や生活習慣が似ているグループ毎に行われるべきです。その理由には、屋内外に滞在する時間の違いや放射線量の局所的な汚染の分布、食生活の違いなどが挙げられます。 今回の訪問により得られた知見から、地域住民の皆さん、政府や自治体に、対策していただきたい事例(既に提案しています)を以下に挙げます。 1. 警戒区域・計画的避難区域の設定について 政府は4月21日、22日付の報告で原発20km以内を一律警戒区域に、20-30km圏内の一部地域を計画的避難区域に設定しました。 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/shiji_1f.html http://ww
東大病院で放射線治療を担当するチームです。医師の他、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで、今回の原発事故に関して正しい医学的知識を提供していきます。 Twitter:team_nakagawa2011年4月29日にteam_nakagawa 5名(医師3名、物理士2名)で福島を訪問しました。福島市にある福島大学附属中学校、飯舘村草野周辺、浪江町津島周辺、南相馬市(市役所、鹿島幼稚園・小中学校、八沢小学校、上真野小学校)の土壌や空間線量率の測定を行い、地域の代表の方には、データに基づいた報告や提案を始めています。本日は、実際に私たちが4月29日に観測した空間線量率についてご報告します。 1. ワンボックス車に線量計をつけて福島市~飯館村、浪江町、南相馬市、南相馬~福島市の空間線量を測定しました。 2. 福島市および南相馬市のいくつかの学校について空間線量を測定しました。
先月末、チームのメンバー5名(医師3名、物理士2名)で、福島県を訪問しました。福島市、南相馬市などの、幼稚園、小学校、中学校で、校庭などの空間放射線量の測定と土壌の採取を行いました。また、文部科学省のモニターカーによる各地の測定結果が正しいかどうかのダブルチェックも行いました。詳しい測定結果は、順次、ブログで紹介していきます。 飯舘村にも入って、住民の皆さんのお気持ちを伺い、菅野村長と面談もさせて頂きました。東京では見えなかった多くのことに気づかされました。とくに、菅野村長との面談や、特別養護老人ホーム(いいたてホーム)訪問などを通して、現場が直面する問題を知ることができました。今回は、とくに、飯舘村の特別養護老人ホームについて、当チームの見解をご紹介します。 福島県飯舘村は、福島第一原発事故の影響で「計画的避難区域」に指定され、5月下旬をめどに避難を求められています。国から村民の避難を求
2008年にまとめられた「国際放射線防護委員会」レポート111号「原子力事故もしくは緊急放射線被ばく後の長期汚染地域住民の防護に関する委員勧告」(注1)が、2011年4月4日付けで特別無償配布されています。 注1: ICRP Publication 111, Application of the Commission's Recommendations to the Protection of People Living in Long-term Contaminated Areas after a Nuclear Accident or a Radiation Emergency. http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20111 このレポートは、適応される状況が異なる「緊急時被ばく状況における放射線防護に関す
福島第一原発の事故により、野菜や水道水に放射性ヨウ素(I-131)が検出され、大きな話題となりました。原発から大気中に放出されたI-131が、風に乗って各地に運ばれ、さらに雨と一緒に、畑や河川に降ったことが原因です。 I-131による「内部被ばく」で、がん、とくに甲状腺のがんが増えるのではないかという無用の懸念も広がりました。 たしかに、チェルノブイリでは、住民の避難や食品規制の乱れなど、不適切な対応があり、小児の甲状腺がんが増加しました。これまでの原発事故で、がんの増加が認められた唯一の例が、この甲状腺がんです。(放射性ヨウ素について4/8まとめも参照ください) しかし、逆に、同じI-131が甲状腺がんの治療に利用されることもあります。私たちのチームでも、I-131を使った甲状腺がんの治療を年間、60-70名ほどの患者さんに行っています。 私たちのカラダは、おもに、水素、炭素、窒素、酸素
福島県から避難してきた子供たちが、避難先で偏見を持たれるケースが生じています。一時帰宅された方の受け入れを、避難所などで問題にするケースもあるようです。拒否された方々は、深い心の傷を負うことでしょう。また、心ない言葉をかけた方々のことを想像すると、その人々が、よくわからない放射能の不安から、過剰な反応をしてしまうことも理解できます。 放射線や放射性物質は目で見ることができず、一見影響も全く見えません。このことが不安を大きくしてしまう原因の一つであると思います。そして、放射能への偏見や風評が広がることが被災地の復興・復旧に大きな影響を及ぼします。今私たち(特に大人)は、放射線を“正しく”怖がることが必要です。 私たちteam_nakagawaは、放射線治療のチームです。患者さんに治療として与える放射線は、福島第一原発敷地内で観測されている放射線よりも何倍も強力です。ですが、患者さんの体の外か
私たち、東大病院放射線治療部門のチームでは、白血病など「血液のがん(注1)」の骨髄(こつずい)移植を成功させるために、体全体に放射線を照射する全身照射を行っています。 注1: 「がん」には、胃がんや肺がんのように臓器にできる「がん」の他に、白血病のように血液の細胞から発生する「がん」があります。このような血液の細胞由来の「がん」を「血液のがん」と呼びます。 放射線に対する強さは臓器によって異なります。骨髄や腸管のように放射線の影響を受けやすい臓器と、筋肉や神経のように放射線に対して比較的強い臓器があります。一般的に、放射線治療では放射線に弱い臓器にあたる放射線を最小限にし、がんの病巣(びょうそう)に集中して放射線を照射することで、体に優しいがん治療を行っています。 骨髄移植の前に行う全身照射は、体全体に均等に放射線を照射する点で他の放射線治療と大きく異なります。全身照射の目的は、白血病細胞
私たち“team_nakagawa”は、東大病院で、がんの放射線治療を行っているチームです。私たちの本業の放射線治療を直接に通して、福島原発の事故で懸念されている放射線被ばくの問題を考えてみたいと思います。 “放射線治療シリーズ”の初回は、総論にあたる「イントロダクション」です。このあと、前立腺がん、白血病、甲状腺がん、などの放射線治療について、順次、解説をしていきます。一見、関係が薄いように見える、放射線治療と原発事故ですが、密接な関係があることを知っていただければと思います。 * * * * * * * * * 放射線は細胞内のDNAに傷を作ります。DNAは細胞を作る設計図面のようなものですから、DNAに傷が作られると、その細胞は生きてゆけなくなる可能性があります。 ただし、DNAに書き込まれた設計図にも重要な部分とそうでない部分があり、実は、重要な部分はごくわずかしかありません。たと
福島第一原子力発電所の事故から間もなく4週間が過ぎようとしています。大気中の放射線量は、ほとんどの地点で減少か横ばいとなってきました。 これまで、観測されていた放射線量の主な原因は、放射性ヨウ素131(I-131)でした。I-131の半減期は8日です。3/15以降、放射線の大きな漏洩がないと考えられるので、I-131から生じる放射線量は約1/8まで減少しているはずです。 (早野龍五先生の連続tweetを参照;http://togetter.com/li/119437) 今後も原子炉からの放射性物質の大量飛散が生じなければ、環境や人体に及ぼす影響について、今後注意が必要となってくるのが、半減期の長い放射性セシウム(注1)と放射性ストロンチウムです。この影響を検討し、必要な対策を十分に練っておく必要があります。 注1: 「Cs(セシウム)による被ばくの影響について」を参照下さい。 放射性セシウ
放射線に関するいろいろな数値や単位(シーベルト〔Sv〕、ベクレル〔Bq〕等々)が発表されていますが、それらの数値が体にどのように影響を及ぼすのか、結局わからない、かえって不安になる、という意見を多くいただいています。繰り返しになることも多いですが、放射性ヨウ素について再度以下に取り上げます。 【まとめ】 *放射性ヨウ素131の現状について(I-131) 「放射性物質」というのは「安定していない状態の物質」で、より安定な物質に変化しようとします。「放射性物質」が変化する際にエネルギーを放出します。これが“放射線”です。 ヨウ素131は放射性物質であり、つまり絶えず変化する物質です。その変化する(=崩壊する)際に放射線の一つであるβ(ベータ)線を出して、キセノン131になります。キセノン131に変化した後は、別の放射線の一つであるガンマ線を出してこれ以上変化しない安定した物質に変わります。(こ
一昨日(2011年3月31日)、一部が福島第一原発30km圏内に含まれる飯舘村の住民全員を、退避させるか否かで議論が沸き起こり、戸惑われた方も多くいらっしゃると思います。 発端は、国際原子力機関(IAEA)が、「飯舘村で観測された放射性物質の量は、避難基準を上回っている」とし、飯舘村の状況を注視していくよう、日本政府や関係する機関に促したことにあります。 (4月1日の発表では、3月19日から29日の間の平均では、避難基準内と発表リンク) これを受けて、原子力安全委員会は、「日本は空間線量率(注1)や浮遊物の呼気による吸入、飲食物の摂取などを勘案し、土壌ではなく人が受ける放射線レベルで退避などの防災基準を判断している」として、現在の避難区域の設定は妥当であるとの見解を示しました。 注1: 環境放射線測定で得られる「1時間あたりの線量(μSv/h)」のこと。 また、原子力安全・保安院も「24時
(twitter更新日2011.3.21の再掲) 放射性ヨウ素(I)やセシウム(Cs)による内部被ばくによって、具体的にどの程度の健康被害が起きるのでしょうか。内部被ばくについて考える前に、「放射能(Bq:ベクレル)」と「被ばく量(Sv:シーベルト)」の違いについて見てみましょう。 Bq(ベクレル)というのは、一秒間あたりの放射性物質の崩壊数を表します。いわば「放射能」のことです。「崩壊」を理解するには、Cs-137を例に、東京大学の早野龍五先生が作成くださった図を参照ください(図1)。 例えば、放射線物質であるCs-137(セシウム137)は、安定なCs-133に比べて中性子の数が多過ぎ、一個の中性子が陽子に変わります。これをベータ崩壊と言います(図1参照)。 Cs-134(セシウム134)も同様です。 一方、崩壊した時に出てくるベータ線やガンマ線(放射線)が、人体に与えるダメージを「被
(twitter更新日2011.3.23の再掲) 多くのご質問をいただいている、放射線の「妊婦・胎児への影響」について、お話しします。 妊娠中、「器官形成期」と呼ばれる妊娠初期の2か月間がとくに放射線の影響を受けやすいのです。また、妊娠2か月以降の「胎児期初期」も比較的影響を受けやすいとされています。 放射線が胎児に及ぼす影響には、奇形、胎児の致死、成長の遅延などがあります。ただし、少なくとも10~20万マイクロシーベルト(累積)以上の放射線被ばくがないと、これらの影響は生じないことが知られています。 また、受胎(妊娠)前に被ばくしても、それが原因となって、胎児・子供に影響が出た、ということは報告されていません。 このことは、国際放射線防護委員会の勧告「妊娠と医療放射線」に示されています。http://bit.ly/hC5pC6 要旨には「胎児が浴びた放射線の総量が100ミリグレイ(=10
(twitter更新日2011.3.21の再掲) 福島第一原発の冷却システムの復旧が視野に入ってきました。(3 月21 日当時) いまだ、予断を許しませんが、仮にこのまま、新たな放射性物質の放出が減っていくとすると、これまでに飛散した放射性物質のなかで、“セシウム(Cs)”が問題となるはずです。 飛散した放射性物質のうち、最も多いのが、放射性ヨウ素(I-131)で、次が、放射性セシウムです。ただ、I-131(ヨウ素131)は8 日毎に半分になっていきますから、3 ヶ月もすれば、ほぼゼロレベルになりますが、放射性セシウムの半減期はもっと長いので問題になります。(理由は後述) 3月21日以降、かなり微量(基準値の1%程度)ですが、東京都の水道水中に、2 種類の放射性セシウム、Cs-134、Cs-137 が検出されています(健康安全研究センター@新宿区による測定)。Cs-134 の半減期は約2
(twitter更新日2011.3.15~20の再掲) 東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一です。 東北関東大震災の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。 現在、東大病院で放射線治療を担当するチームの責任者をしており、医師の他、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで、今回の福島第一原発事故に関して正しい医学的知識を提供していきます。 2011年3月15-19日現在の状況を踏まえた事故に関するコメントを若干整理してまとめました。ご参照ください。 【放射線と被ばく】 放射線とは電離を与える光や粒子のことです。 多くの放射線は、ものを通り抜ける能力を持ちます。そしてこれをあびる量が多くなると、遺伝子にダメージを与え人体に影響を及ぼすことがあります。 放射線を出す能力を放射能、それを持つ物質を放射性物質と呼んでいます。 今回の原発事故では原発から放射性物質が飛散しています
(twitter更新日2011.3.24の再掲) 3月23日、東京都葛飾区金町にある都の浄水場の水から210Bq/L(1リットルあたり210ベクレル)の放射性ヨウ素131が検出されました。 水道水中の放射性ヨウ素濃度の上昇は、空気中のヨウ素が昨日の雨と共に江戸川などの河川に流れ込んだことによると考えられます。 原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値は、300Bq/Lとなっており、210Bq/Lは基準内です。ただし、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値の100Bq/Lを超えてしまっています。 このため、東京都は、23区と武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市の都民に対して、乳児に限って水道水の摂取を控えるよう呼びかけました。(注1をご参照ください。) これを検証しましょう。もし210Bq/Lが長期間続くと仮定し、成人でがこの水を毎日1リットル飲むとすると、約1年
放射線が生物に与える影響には、「確率的影響」と「確定的影響」があります。「確率的影響」は、ズバリ、「発がん」のことです。放射線による発がんは、がんの発生に関わる遺伝子(DNA)が放射線により障害を受けることで起こります。(注1) 注1: 確率的影響には遺伝的影響(子孫に対する影響)も含まれます。しかし、これは動物実験で認められたことがあるものの、原爆被爆者を中心とした長年の詳細な研究にも関わらず、ヒトでは認められたことがありません。 「確率的影響」=「発がん」が起こる確率は、ごくわずかな量の被ばくであっても上昇し、被ばくした放射線の量に応じて増加すると考えられています。これ以下の線量であれば、大丈夫という“境目”=「しきい値(閾値)」がないのです。しかし、実効線量で100~150mSv(ミリシーベルト)未満の放射線被ばく(蓄積)では、発がんの確率が増すかどうか、はっきりした証拠はありません
2011年3月24日に、福島第一原発作業員3名が足に大量の放射線を浴びたと報じられました。足の皮膚が受けた被ばく量は2〜3 Sv(シーベルト)であり、昨日(3月28日)無事退院されました。 原発事故に関連したニュースでよく耳にするようになった、被ばく量を表す単位Sv(シーベルト)ですが、それが「全身被ばく」で用いられたのか、はたまた「局所被ばく」で用いられたのかでは、誤解が生じてきてしまいます。 上のニュースでは、「皮膚」の被ばく量として2〜3 Sv(シーベルト)と述べています。しかし、より正確には“(局所的な)皮膚の吸収線量が2〜3 Gy(グレイ)”もしくは“皮膚の等価線量が2〜3 Sv(シーベルト)”であると記述すべきでしょう。 「全身被ばく」と「局所被ばく」の混同、専門用語で言うと「吸収線量」「等価線量」「実効線量」の混同が、こうした記述を生む原因にあるのではないかと考えられます。
ニュース等の報道で耳にする機会が多くなった、飲食物摂取制限に関する「暫定(ざんてい)規制値」の意味、また「暫定規制値」を決める根拠について多数のご意見•ご質問を頂いています。 ここでは特に、放射性ヨウ素の暫定規制値がどのように決められているかを文献に沿って、私たちが知りうる範囲でなるべくわかりやすく解説します。 ※なお、参考にした文献は以下のもので、引用した数値もこの文献から引用しています。 ・「飲食物摂取制限に関する指標について」(平成10年3月6日原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会環境ワーキンググループ) ・「日本の防災指針における飲食物摂取制限指標の改定について」(須賀新一、市川龍資、保健物理35(4),449-466(2000)) これらは、国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)等の考え方に基づいています(詳細は以下を参照ください)。 ・国際放
Twitterの「@team_nakagawa」の一連のtweetsをまとめて再編集したものをupします。今後、更新する際には、お知らせ致します。 (3/30更新:PDFからブログに転載しました) 福島原発における放射線被ばくの解説 (Twitter投稿日:3/20以前) Cs(セシウム)による被ばくの影響について (Twitter投稿日:3/21) 「放射能(Bq:ベクレル)」から「被ばく量(Sv:シーベルト)」への変換について (Twitter投稿日:3/21) 放射線の妊婦・胎児への影響について (Twitter投稿日:3/23) 水道水中のヨウ素からの被ばくについて (Twitter投稿日:3/24)
今回の福島第一原子力発電所の事故に対して、国際放射線防護委員会が「緊急時における一時的な回避線量」について勧告をおこなっています。この勧告では、現在のような緊急事態において一時的に市民の被ばくが20-100mSvになるように上限を定め、原発事故が制御された以降、上限を年間1-20mSvとし、元の上限である1mSvに戻すよう長期的目標を定めることを勧告しています。また救助隊員の線量回避レベルについても勧告しています。 以下をご参照ください。 <INTERNATIONAL COMMISSION ON RADIOLOGICAL PROTECTION> (ICRP March 21, 2011)原文 (ICRP 2011 3月21日)日本語訳(非公式) ※日本語版を用意いたしましたが、正確な内容等には原文のご確認をお願います。 以下は、日本学術会議が出した和訳です。 http://www.scj.
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