ニューヨークのヤンキースタジアムに息子と訪れるも、律法(トーラー)の書をイニングの合間に読むことを忘れない正統派ユダヤ人(著者撮影) ユダヤ教を信仰する民族、ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのでしょうか。本書は、古代文明からイスラーム帝国下の繁栄、迫害が現れた近代、激動の現代まで、3000年のユダヤ史を雄大なスケールで描きました。『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』を著した鶴見太郎さんに、執筆の背景を伺いました。 ――鶴見先生のご専門は、ロシア東欧のユダヤ史です。そもそも、ユダヤ人に関心をもったきっかけは何でしょうか。 鶴見: 学部1年のときに2000年の第2次インティファーダが始まり、ちょうど今のようにパレスチナ問題(イスラエル・パレスチ