介護労働安定センターが先月に公表した新たな調査結果で、介護サービスの利用者・家族による介護職に対するハラスメントの実態が浮き彫りになった。【結城康博】 今、介護事業者が最優先すべきことの1つはハラスメント対策ではないか。本稿ではその点を論じていきたい。 ◆ 利用者ファーストから職員ファーストへ 私は社会福祉学者として、「利用者の尊厳」「権利擁護」「自己決定の原則」といった「利用者ファースト」が、福祉や介護の真髄だと十分に認識している。 しかし昨今、介護現場の人材不足が極めて深刻になってきている中で、単純な「利用者ファースト」だけでは事業継続が難しくなってきたと感じる。まず介護職を守る「職員ファースト」がなければ、事業者が生き残っていけない時代が到来しているのではないだろうか。 言うまでもなく、事業者にとって目下の最大の課題は人材の確保・定着だ。その成果につながるマネジメントができなければ、