【北京=三塚聖平】中国広東省深圳で昨年9月に起きた日本人男子児童の刺殺事件は、24日の初公判で被告の男に死刑が言い渡されるというスピード判決となった。前日の23日には江蘇省蘇州で昨年6月に日本人母子らが切り付けられて死傷した事件でも死刑判決が出ており、幕引きを急ぐ中国当局の姿勢が鮮明になっている。 中国外務省の毛寧報道官は23、24両日の記者会見で、蘇州と深圳の両事件に関して、「事件は既に司法手続きに入っている」と慎重な発言に終始した。中国政府系メディアは両事件の判決について目立った報道を行わず沈黙した。中国では景気低迷を背景に不満のはけ口が日本批判に向かいやすい環境にあり、死刑判決が国内世論を刺激しないよう当局が警戒した可能性がある。 トランプ米政権の対中圧力への対応に集中するため、対外関係を安定させたいのが中国政府の本音だ。そのため日中関係の懸案になっている邦人襲撃事件の幕引きを急いだ