定期特急列車なのに日本一乗るのが難しい――早朝と深夜しか走らないJR牟岐線の「むろと」。特に「2号」の乗車は現地宿泊が必須です。では利用実態はどのようなものか、全区間を乗ってみました。 「むろと」が唯一の特急である要素 日本全国には、ダイヤの関係で現地の住人以外は乗ることが困難なレア特急列車がいくつか存在します。定期運行されているJR特急で、最も乗りにくい列車――それはJR牟岐線の徳島~牟岐間を走る特急「むろと」だと筆者(安藤昌季:乗りものライター)は思います。 というのも、早朝と深夜に、全区間でほかの特急が走っていない路線を1日1往復している列車は、ほかにないからです。 拡大画像 JR牟岐線の特急「むろと」に使われるキハ185系ディーゼルカー(2024年8月、安藤昌季撮影)。 牟岐線はかつて、優等列車がそこそこ走る路線でした。最初の優等列車は1962(昭和37)年に運行開始した準急「むろ