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衆院選
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ナノ構造の性質(I) 独立行政法人 物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所ナノ物性グループ ディレクター 木戸 義勇 目で見えない大きさナノメートル(百万分の一ミリメートル)級の構造体を物質の表面に作製する方法については前回までに述べたので、今回からは、これらの大きさの物資の持つ性質について説明する。 ところで、物質を小さくしたことで現われる性質は、物質を構成する元素の種類によって大きく異なり、多種多様の材料の元として用いられるが、中には元素の種類によらず、ほとんど構造だけに依存して現われる共通の性質がある。今回と次回はこのような性質について述べたいと思う。 トンネル接合 電気を流さない性質の物質を絶縁体と言うが、絶縁体の薄板を二枚の金属や半導体など電気を流す性質を持つ物質でできた板で挟むと、図1の電気を貯める性質を持つ蓄電器(コンデンサー)素子ができる。対向する導電性板の面積をA(平方
光を受けて虹のように輝くシャボン玉。とてもきれいです。 でも、どうして虹のように見えるのでしょう? なぜ、同じシャボン玉に赤く見えるところや青く見えるところがあるのでしょう? これは、光の性質と大きく関係があります。 光は波の性質を持っています。 波の大きさが光の明るさを、波の細かさが光の色を決めています。 波の細かさは一つの波の長さ(山から山までの長さ)によって表すことができます。 この「波の長さ」を「波長」といいます。 絵の具はたくさんの色を混ぜるほど黒くなりますが、光は色々な色の光を集めると白くなります。 白く見える太陽の光や電球の光は、実は多くの色の光が混ぜ合わさったものです。 波の性質をもつ光は、条件がそろうと明るくなったり、暗くなったりすることがあります。 波の山と山が重なる ⇒ 強め合って明るくなる 波の山と谷が重なる ⇒ 弱めあって暗くなる これを「干渉」
培養皿の中で拍動する組織。それは生きた心筋細胞からなる細胞シートだ。細胞シートを構成する細胞は構造的にも機能的にも連結し、その臓器や組織特有の機能を示す。岡野氏は新しい医療を目指し、『細胞シート工学』を創出した。 高分子化学が専門だった岡野氏は、人工臓器研究の権威である櫻井靖久氏(当時:東京女子医科大学教授)のもと医学部助手として研究をスタート、生体の異物認識に関心をもった。最初に手がけたのは、抗血栓性の表面をもつ材料の開発。高分子材料表面の疎水性・親水性を制御することによって、粘着性の高い血小板に認識されないステルス性の表面を創り出し、血小板の粘着を抑制することに成功した。「もともと僕は細胞がついたり離れたりというのに、すごく興味を持っていました。最初は細胞が粘着するのをどうやって止めるかという仕事をしていたわけです。でも、細胞は粘着して増殖する。今度は逆に、細胞が粘着して増えた後のこと
小さな光の粒が救世主 〜「ナノフォトニクス」で拓く光新時代〜 ナノサイズの物質に光があたると、その物質にまとわりつくようにできるナノサイズの“光の膜”。この光の膜を「近接場光」という。大津氏は、光ファイバーの先鋭化により近接場光を作り出し、実用化への道を切り開いた。「ナノフォトニクス」研究のパイオニアだ。 近接場光は、1873年にマックスウエルが打ち出した電磁場理論体系の中に潜んでいる。大津氏によれば「この中の方程式を解けば近接場光が出てくるが、当時は無線通信という遠くに電波を送ることを目指したため、近接場光は注目されなかった」そうだ。そして、1928年に英国の科学者、シンゲが「板に小さな穴を開けると、パーッと広がる光のほかに、わずかに染み出している光もあるはず。それを使えば小さな光源になる。でも、それが私にできるとは思わない」と論文で示したという。 1980年代の初め、21世紀は光の時代
電子相転移の醍醐味 〜強相関電子が生み出す材料科学の新しいベクトル〜 たった1つの電子を制御することを目指す半導体エレクトロニクス。それに対し、一度にたくさんの電子を制御するのが、十倉氏が対象とする強相関エレクトロニクスだ。「磁性とか電気伝導性とか光物性とか、電子がいっぱいないと実現できない機能ってたくさんあるんです」。真性半導体の基本的な構造であるバンド絶縁体では、結晶の格子点にある2つの席をパウリの排他律に従って上向きと下向きのスピンを持つ電子が1つずつ占め、電子が飛び移れる空席はない。対する強相関系の主役、モット絶縁体や電荷秩序系では、格子点に配置する電子は1つで空席はあるものの、隣り合う電子間のクーロン斥力によって電子は飛び移れない。電子は格子点に局在し、結晶状態となる。だが、これらは本来伝導電子であるため、外部からの微少な刺激によって電子の結晶状態が壊れると、金属的な電気伝導性が
図3. 光子情報を蓄えていない4つの分子が、可視光照射により光子を蓄えたオン状態へ変換し、さらに紫外光照射によりオフ状態へもどる様子。 拡大 九州大学大学院 工学研究院 応用化学部門 教授 入江 正浩 氏 100万枚のDVDが1枚のディスクになる日 〜 ジアリールエテンの開発と応用 〜 氷砂糖のような無色の結晶に紫外光を当てると、結晶はたちどころにルビーのような赤に変わる。ある結晶は青に、ある結晶は黄色に・・・・。着色した結晶は可視光を照射すると、一瞬にして元の無色に戻る。 この不思議な結晶こそ、入江氏が1988年に開発したジアリールエテンだ。これら一群の化合物は、中央にエテンの環があり、その両側にアリール基が結合した構造をもつ。紫外光を照射すると中央のヘキサトリエン部が開環構造から閉環構造へ変化し、可視光を照射すると元に戻る。この構造変化が、色の変化をもたらし、置換基の違いにより
Japan Nanonet Bulletin 第68号 : 2004年 7月21日 ナノネットインタビュー ステンドグラスの美しい色は、ガラス中に分散された金や銀などの金属超微粒子のなせる技だ。金属の伝導電子は集団で振動するプラズマ状態にあり、この状態の電子は、一般には光などの電磁波と相互作用をしない。しかし、金属のごく表面には表面プラズモンと呼ばれる振動モードが生じ、これは光と相互作用する。この表面プラズモンと、ステンドグラスに入射した光とが共鳴した結果、美しい色が現れる。「超微粒子じゃなきゃいけない。小さくなることで表面の割合が大きくなって、表面プラズモンの影響が大きく現れるんです」。中村氏は早くから超微粒子に注目し、その光物性の解明に努めてきた。 金属超微粒子が分散されたガラスなどの透明な絶縁体に光を入射すると、誘電率の大きさが違う超微粒子のまわりに局所電場が生じる。「光をレンズで絞
量子力学を超えるもの 〜ホログラフィ電子顕微鏡の挑戦〜 “The Most Beautiful Experiment”昨年、イギリスのPhysics World誌が科学史上最も美しい実験を読者に募集したところ、見事一位に輝いたのが外村氏の行った電子の二重スリットの実験だ。「二位以下を見るとガリレオやニュートンといった面々が並んでいるんですよ」と外村氏は思わず顔をほころばせる。電子は粒子であり波であるという、量子力学の概念的な本質を、目で見える形にして直観的に理解させる。ファインマンをして「量子力学の神髄だが実行は不可能」と言わしめた二重スリットの実験は、ホログラフィ電子顕微鏡を駆使した研究で世界をリードしてきた外村氏だからこそ実現できたものだ。 「子供の頃から、水の波紋を見てきれいだなと思っていたんです。それが、大学で量子力学を習ったら、電子も波だという。それならその波紋を見てみたいと思っ
Keyword: NIST; George Washington University; Simulation; resistivity 地域: 米国 分野: 研究 情報源: http://www.nanotechweb.org/articles/news/5/1/12/1 理論上、単層カーボンナノチューブは、最大で約20%の引張り歪(tensile strain)をもつ。しかし、高温でナノチューブが約280%伸びることを、ボストン大学、ローレンス・リバモア国立研究所そしてマサチューセッツ工科大学の研究者たちが確認した。 「我々は偶然“超可塑性(superplasticity)”現象を発見した」と、ボストン大学のJianyu Huang氏は語った。 「学生と私がナノチューブの高バイアス輸送の特性を研究していたとき、STM装置の探針であるナノチューブがいつももう片方の電極に引き寄せられて曲が
Japan Nanonet Bulletin 第59号 : 2004年3月23日 ナノネットインタビュー 「白っていうのは色じゃありません。光の散乱なんです。成分粒子のサイズを細かくすれば、光は散乱しない。牛乳だって透明になるんです」。ミリサイズの物質に当たると光は屈折や反射をし、マイクロサイズの物質では散乱をする。しかし、ナノサイズの物質は、光に対して透明になる。光の作用の基本原理にまで立ち返ることで、小池氏はいくつもの壁を乗り越えてきた。 プラスチックは散乱損失が大きいため、光ファイバの材料として用いるのは難しいと考えられていた1980年代初め。小池氏は、ギガビット以上の高速通信を実現可能なプラスチック光ファイバを提案した。高速で光通信を行うためには、ファイバに入射する前と後で光の波形が保たれなければならない。そこで、ファイバコア構造として、ファイバの中心に向かって屈折率が高くなるよう
理論物理がpredictする無限の可能性 〜物性を支配する法則を求めて〜 物質が絶縁体になる起源は5つ。パウリの排他律に従って、各格子点に上向きと下向きのスピンを持つ電子が一つずつ詰まって、電子が動けなくなるバンド絶縁体。格子点の電子は奇数個でも、クーロン斥力が電子の飛び移りやすさに勝り、電子が動けなくなるモット絶縁体。格子点の配置に一重結合と二重結合が存在するために、近いもの同士がペアになったかの如く振る舞い、電子が動けなくなるパイエルス転移。さらに電荷秩序系。「これらは結晶が完全であっても起こる絶縁体の原因。残る五番目が、私が特に興味を持った、乱れに起因するアンダーソン局在なんです。少なくとも物性物理の範囲でこれ以外の絶縁体の起源は知られていない」と福山氏。乱れた系における電子状態を理論的に追求し多様な物性との関連を明らかにした。 完全に規則的な結晶に対し、欠陥や不純物がある、つまり不
Japan Nanonet Bulletin 第58号 : 2004年3月16日 ナノネットインタビュー 物理から見た生命現象 〜生命と工学の接点〜 生物は、分子から細胞、組織、器官、個体へと、階層的に構築されている。和田氏はDNAをはじめ、細胞内で情報の伝達、記録、および発現を担う高分子のさまざまな物性を新しいアイデアと新しい手法を導入して調べ、生命現象を説明してきた。「生命と物性との間には、どのような関係があるのか?」 研究の視点はいつもそこにあった。 和田氏は理学部化学科の出身。物理学的な手法で分子の化学的性質に迫り、ジクロロエタンの内部回転など、低分子の物性を調べることから研究をスタートした。その後、興味は高分子へと移り、留学先のハーバード大学Paul Doty研究室ではタンパク質の光散乱やヘリックス-コイル転移の解析を行った。この研究室はタンパク質のほかDNA等の生体高分子を扱い
細菌べん毛の謎に迫る 〜揺らぎが実現する高効率モーター〜 固定子、回転子、反転制御装置、軸受け、自在継ぎ手、スクリュー。船を動かそうと言うのではない。この直径30nmのモーターで動くのは、1ミクロンの体に長さ10〜15ミクロンのべん毛を持つサルモネラ菌だ。1974年、アメリカで発見された細菌べん毛の回転モーター機構は、人工モーターに似たその構造とともに人々を驚かせた。しかし、さらに驚くべきはその能力で、回転数は1分間に2万回、消費エネルギーは10−16W、そして、エネルギー変換効率はほぼ100%。人工物を凌ぐ高効率モーターの仕組みが、今、難波氏の率いるグループの研究によって明らかになりつつある。 べん毛は約25種類のタンパク質から作られている。まずFliFというタンパク質が細胞膜の中に回転子リングを形成する。「FliFは細胞の中で勝手にリングを作りますが、その後はリングをテンプレートにして
量子ドットは、半導体を、10nm程度の小さな塊にしたもので、その中に電子を閉じ込めることができます。また、量子ドット同士を10nm程度の間隔で並べると、各量子ドットに閉じ込められた電子同士の間で、マイナスの電荷による反発力が働くようになります。さらに、隣り合った量子ドット間で電子がトンネル効果により移動することも可能になります。 そのような現象を利用して、量子ドットをつかったデジタル回路を実現しようとする研究が進められています。量子ドットでデジタル回路が構成できれば、電力をほとんど使わない超小型のコンピュータが実現できるかもしれません。その原理をここで紹介しましょう。 量子ドットを図のように、平面に5個あるいは4個並べ、そこへ電子を2個注入すると、電子同士は同じマイナスの電荷をもつので反発しあい、2つの電子は、対角線上にある量子ドットへ1個づつ位置するようになります。また、このように量子ド
「金属ガラス」で材料科学に新領域 〜軽量・高強度材料創製の担い手に〜 引っ張り強度や弾性特性などの力学的性質を飛躍的に高めた『金属ガラス』を創製し、材料科学分野で世界をリードしているのが井上氏だ。固体を構成する原子や分子の結晶配列が不規則(アモルファス状態)になると、力学的性質が高まることが一般的に知られている。しかしながら、アモルファス合金を作製するためには、超急冷という製法が必要であると考えられてきた。井上氏は、この既成概念を覆し、バルク材料への応用が可能な金属ガラス合金が存在することを初めて明らかにした。材料科学に新領域を興した井上氏これらの業績は論文被引用数でも世界のトップクラスにランクされ、2002年の日本学士院賞をはじめとして数々の賞を受賞している。 井上氏は、博士課程修了後の1975年からアモルファス金属の研究に向かう。液体状態(溶融)の金属を1MK/secという高速で冷却す
わかる入門講座:ナノテクの世界 2002年1月から12月に、12回にわたって Science & Technology Journal に掲載された「わかる入門講座 ナノテクの世界」を、財団法人 科学技術広報財団の許諾により掲載しています。
半導体と磁性体の融合 〜強磁性半導体で広がる スピントロニクスの可能性〜 半導体は電子の電荷を使って情報を処理し、磁性体は電子のスピンを利用して情報を記録する。これまで別々に用いられてきた2つの属性を、同じ土俵で共に活かそうというのがスピントロニクスだ。金属を中心とした磁性体に電荷を持ち込む方法と、半導体にスピンを持ち込む方法の2つのアプローチがある中、大野氏はⅢ-Ⅴ族化合物半導体を強磁性体にすることで、すでに多様な構造と機能を持つ半導体の可能性をさらに広げた。 大野氏が作り出した強磁性半導体は、インジウムヒ素の一部を磁性元素のマンガンに置換した(In,Mn)As。「1988年にIBMの研究所に行った時、せっかくのチャンスだから何か絶対できないようなことと、ちゃんと論文が書けるようなことと、2つやって帰ろうと思ったんです」。半導体が磁性を持つほどMnの濃度を上げようとすると、MnAsの相が
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