海上自衛隊を中心に安全保障上の機密情報である「特定秘密」が不適切に扱われていた問題は、施行から10年となる特定秘密保護法が現場でおざなりに運用されている実態を浮き彫りにした。同法は、政府による恣意(しい)的な秘密指定が懸念されているが、衆院情報監視審査会は特定秘密の範囲が過度に広がっている可能性を指摘した。同法の経済安保版とも言える新法が先の国会で成立。秘密保全法制が拡大する中、制度そのものへの信頼が揺れている。(近藤統義) 特定秘密 日本は行政機関の長が防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野の情報のうち、漏えいが安全保障に支障を与える恐れがあるものを特定秘密に指定。この要件を満たさなくなれば解除するが、基準が曖昧と指摘されている。米国では大統領令に基づき秘密指定し、国立公文書館の部局として設置された「情報保全監察局」に解除請求権が与えられ、恣意的な指定を防ぐ実効的な仕組みが整えられてい